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for the avoidance of doubt 英文契約の基本的な表現 第57回

      2018/11/23

今回は、「for the avoidance of doubt」という表現について解説します。

 

これは、直訳すると、「疑義を避けるために」となりますね。

 

契約書は、権利義務を定めた文書です。

 

契約書の条文を書く際に一番重要なのは、曖昧さを無くすように努めることです。

 

曖昧だと、誰がどのような権利を持ち、義務を負うのかが分からなくなってしまうからです。

 

とはいえ、言葉なので、どうしても曖昧さは残ります。

 

そして、「この条文で自社の考えは、全て書き尽くされているといえるのだろうか」という疑問が残ることもあります。

 

そこで、「念のため」に書いておきたいことがでてくるのです。

 

そんなときに使えるのが、この「疑義を避けるために」という表現で始まる記述です。

 

これは、新たな権利義務を作り出す記述ではありません

 

既に定められている条文の解釈を補助するためのものです。

 

なので、次のような使い方はしません。

 

既に定められている内容を覆すような記述をするため

 

「Aである」と前に書いているのに、いや、そうじゃなくて、「Bである」ということを書くときに使うものではないのです。

 

「Aである」。でも、この「Aである」ことが条文でちゃんと書き切れているのか不安を感じる場合や、勘違いして解釈してしまい、「Aである」と判断されなくなる恐れがあると感じる場合に、「Aである」と解釈してもらえるようにAを補助するために使われるもの。

 

それがfor the avoidance of doubtです。

 

一方、「Aである」と前に書いてあるけど、ある特定の場合には「Bとなる」と言いたい場合に使うのは、for the avoidance of doubtではなく、notwithstandingという表現です。

 

具体的には、次のように使います。

 

例文:

The Seller shall be liable for damages suffered by the Purchaser due to the Seller’s failure to perform the Seller’s obligation under this Contract.

Notwithstanding the foregoing, the Seller is not required to be liable for indirect damages suffered by the Purchaser.

 

訳:

売主は、本契約に基づく売主の義務を履行し損ねたことによって買主が被った損害を賠償する責任を負う。

上記の定めに関わらず、売主は、買主が被った間接的な損害を賠償する責任を負わない。

 

 

上記の例文では、まず、「売主は、契約違反の場合には賠償責任を負う」としています。

 

しかし、損害の中でも、間接的な損害については、「責任を負わない」と定められています。

 

つまり、最初の条文と異なる内容を二番目の条文で書いているのです。

 

よって、「Notwithstanding」という表現をつかって、「上記でそうはいっているけど、間接的な損害については違うからね」と続くわけです。

 

ここでfor the avoidance of doubtを使うのは、誤りです。

 

 

for the avoidance of doubtの使い過ぎに注意

 

本来、for the avoidance of doubtは使わないほうが良い表現だと私は思います。

 

といいますのも、これを頻繁に使うと、契約書がどんどん厚くなります。

 

一度書いたことに、「念のため・・・」と更に文章が続くわけですから、その分長くなりますよね。

 

また、for the avoidance of doubt以下の内容次第では、読み手が混乱する可能性もあります。「疑義を避けるため」という言葉のせいで余計に疑義が生じる、という事態になりかねません。

 

仮に使う場合でも、あくまで「念のため」という意味合いであることを意識して使いましょう。そしてそれは、既に定められている条文を補助するもの、理解しやすくするために使われるべきものなので、表現もわかりやすい内容であることが必要です。

 

ちなみに、このfor the avoidance of doubtは、一つの契約書に一つも出てこない場合の方が多いです

 

例え使われている場合でも、せいぜい1個から2個というレベルです。

 

50ページ以上あるENAA(プラント建設契約についてのモデルフォームの一つ)には、for the avoidance of doubtは1つしかありません(しかも、ここで具体的な条文を示すことは避けますが、使い方を間違っているように私は思います。notwithstandingを使うべき場面ではないかと思うような場面です)

 

2個よりも多く使う場合には、for the avoidance of doubtを使って新たな文章を追記するのではなく、「そもそも既に定められている条文を直した方がよいのではないか?」と考えるべきです。

 

for the avoidance of doubtが出てきたら、それに続く条文は、あくまで、既に定められている条文の内容の範囲を超えるものになっていないかを確認するようにしてください。

 

もしも超えているようであれば、することは2つあります。

 

1つ目:

for the avoidance of doubtに続く文章のその内容を、受け入れてよいか?

2つ目:

  • 1つ目においてYesなら、for the avoidance of doubtは使わない。その代わり、notwithstandingを使う。
  • 1つ目においてNoなら、for the avoidance of doubtも含めてその条文は削除する

 

 

ご参考

 

・・・という私も、for the avoidance of doubtを乱発したことがあります。

 

その契約書は、欧州のある国の取引先がドラフトしたものでした。

 

欧州というと、なんとなく契約書のつくりはしっかりしているかなと思えますよね。

 

しかし、定義されている文言を使っていなかったり、通常はみられないような条文が入っていて、その意味が不明確だったり、更には、同じ内容が異なる場所に定められていたり、矛盾する条文が定められていたり・・・という、とても読みにくい契約書でした。

 

私は、全面改定する必要がある、と思って色々直したのですが、あまりの修正の多さに取引先は唖然としていました。

 

できる限り元の文言を生かしてほしいといわれ、やむなく、趣旨が不明確な条文については、for the avoidance of doubtを書いて、その条文の内容の明確化につとめました。

 

あのときは、おそらく、5~6個くらい使ったと思います。

 

結局その案件では何も問題は起きませんでしたが、できるだけfor the avoidance of doubtは使わないように、既に定められている条文を適切に修正するようにするべきです。

 

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