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本郷塾で学ぶ英文契約

英文契約で「不適合がない」とは?→be free from any defect

2024/01/13
 
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英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
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40回で、「品質の保証」という意味を表す表現として、warrantyをご紹介しました。

 

このwarranty(または動詞であるwarrant)は、売買契約や請負契約等で、「瑕疵担保責任」または「保証」といったタイトルの条文の中でよく使われます。

 

具体的には、以下のような条文です。

 

「売主は、本製品が、その引渡時点で、仕様書に合致すること、および、本製品に設計、材料、および技量について何ら瑕疵がないことを保証する。」

 

これは、「瑕疵担保責任」「保証」の条文の典型例です。

 

つまり、

①    仕様書に合致すること

②    瑕疵がないこと

2点を定めます。

 

今回は、この2点を表す表現としてよく使われるものをご紹介します。

 

 

仕様書に合致すること

 

「仕様書」は、specificationsです。「スペック」と呼ばれることも多いです。

 

このスペックには、売主が買主に提供する製品が満たすべき基準が事細かに定められています。売主は、このスペックに適合した製品を製造して買主に納めなければなりません。

 

この表現で注意していただきたいのは、通常、specificationsというように「複数形」で使われるということです。

 

次に、「合致する」は、色々な表現があり得ますが、瑕疵担保保証の条文でもっともよく使われるのは、「conform to」でしょう。

 

つまり、「製品が仕様書に合致する」は、

the Product shall conform to the Specifications.

と書きます。

 

conform toに次いでよく見るのは、「comply with」という表現です。

 

complyの名詞形は、「compliance」です。

 

読みは、「コンプライアンス」。おそらく多くの方が聞いたことがある言葉ですよね?

 

そう。法律を守る、法令順守という意味で使われています。

 

つまり、comply withは、「~に従う」という意味です。

 

そのため、

The Product shall comply with the Specifications.

と書けば、「本製品は仕様書に合致していなければならない」という意味になります。

 

ところで、時々、in all respects(「あらゆる点で」という意味)という表現が上記の条文に挿入されている契約書も見かけます。

 

つまり、

The Product shall conform in all respects to the Specifications.

とか、

The Product shall comply in all respects with the Specifications.

といった形で定められていることがあります。

 

しかし、このin all respectsという表現は必ず入れなければならない表現だとは思えません。これは仕様への合致を強調しているだけで、この表現がないからといって、売主の「仕様書に合致させなければならない義務」が薄れ、多少仕様書からずれていても許容される、ということになりません。そんなことを言い出したら、「~をしなければならない」という条文には、常に、in all respectsを入れなければならなくなってしまいます。

 

したがって、

The Product shall conform to the Specifications.

The Products shall comply with the Specifications.

で製品の仕様書への合致を十分に保証することになります。

 

契約不適合がないこと

 

「契約不適合」は、defectと書きます。

 

そして「契約不適合」がないことを表す表現は少し特殊で、次のように書きます。

 

be free from defects in…

 

freeというと、「自由」という意味を真っ先に思い浮かべると思います。

 

自由であるということは、つまり、解放されている、ということです。

 

つまり、契約不適合から解放されている=契約不適合がない、という感じで覚えられるのではないでしょうか。

 

この点、なんとなく、「契約不適合」がない=「製品が契約不適合を持たない」とイメージして、

 

the Product doesn’t have defects…とか、there are not defects…などという表現かな?と思ってしまう方もいらっしゃることでしょう。

 

上記のような英文でも、意味が通じないわけではないので、ダメではないと思います。つまり、法的な拘束力はちゃんと認められると思います。

 

実際、上記のようなdoesn’t havethere is構文で定められている条文も見たことがあります。

 

しかし、「契約不適合がない」と定める条文の中で圧倒的に使われているのは、「be free from」という表現ですので、ぜひこの表現は覚えておいていただければと思います。

 

そして、このbe free from defectsという表現で注意したいのは、defectsの後に続く記載です。

 

ここには、「設計、材料、および技量」という表現が入ります。

 

つまり、

The Product shall be free from defects in design, materials and workmanship.

となります。

 

defectsの後ろには、inがくること(of ではない)、そして、設計、材料、および技量という3つが来ることに注意してください。

 

これによって、「設計、材料、そして技量に契約不適合がないこと」を保証することになります。

 

ときどき、自社が買主になる場合の売買契約で、売主がドラフトした契約書中に、defectsの後に「design」が定められていない保証の条文を見ることがあります。

 

これは、「設計上の契約不適合は責任を負いません」といっているようなものです。

 

製品は、まず設計し、その設計に基づき、適切な材料と製造技術(技量)を用いて製造することによって完成します。そのため、製造にかかる全工程である設計、材料、そして技量に契約不適合がないことを保証してもらうべきです。

 

以上から、売買契約や請負契約における保証の条文でよく使われる条文は、次にようになります。

 

The Seller warrants that, at the time of delivery, the Products (i) shall conform to the Specifications and (ii) shall be free from defects in design, materials and workmanship.

 

訳:

売主は、本製品がその引き渡し時点で(1)仕様書に合致していること、および(2)設計、材料、および技量について契約不適合がないことを保証する。

 

 

なお、上記で、「at the time of delivery」という句を挿入しているのは、契約不適合が無い旨の保証は、あくまで、「引き渡し時点」の契約不適合を問題にしている点を明記するためです。

つまり、売主が責任を負う契約不適合は、あくまで、引き渡し時点ですでに製品に存在はしているものの、未だ発見されていないものであって、引き渡し後に新たに生じたものではないのです。

 

このat the time of deliveryが明記されていない契約書も時々見かけますが、明記しておいた方がよいでしょう。

英文契約の頻出英単語レベル3! 契約違反と責任関係の表現です!

1.契約に違反する

2.liability

3.リキダメ、LD、liquidated damages

4.(損害等)を被る

5.故意・重過失

6.保証

7.契約不適合

8.不適合がない

9.保証・免責する

10.権利を侵害する

これを覚えれば英文契約をずっと読みやすくなる!英単語レベル2

1.「契約を締結する」

2.契約締結日と発効日の違い

3.「~を履行する」

4.「費用を負担する」

5.例示列挙(非制限列挙)

6.事前の通知と事前の同意

7.「添付資料

8.英文契約でwhereとは?

9.「in which case/event」とは?

10.「契約の終了」

英文契約を読むなら、まずはこの英文契約の基本的な表現と型を押さえましょう!レベル1

英文契約を読む際に、まずこれだけは押さえておくべき!という英文契約の基本的な型を構成する英単語は以下のようなものです。

shall 義務

shall not 禁止

may 権利

if, when, whereなど、「~の場合」を表す表現

unlessやexceptなど、「~でない限り」、「~を除いて」を表す表現

otherwise「別途」を表す表現

notwithstanding ~にかかわらず

regarding, in connection with, in respect ofなど「~に関して」を表す表現

to the extent ~の範囲で

pursuant to, in accordance withなどの「~に従って」を表す表現

provided inやspecified inなど、「~に定められている」を表す表現

however provided that 「ただし」を表す表現

目次
第1回 義務 第10回 ~に関する 第19回 知らせる
第2回 権利 第11回 ~の場合 第20回 責任
第3回 禁止 第12回 ~の範囲で、~である限り 第21回 違反する
第4回 ~に定められている、~に記載されている 第13回 契約を締結する  

第22回 償還する

第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足) 第14回 契約締結日と契約発効日 第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD)
第6回 ~に従って 第15回 事前の文書による合意 第24回 故意・重過失
第7回 ~に関わらず 第16回 ~を含むが、これに限らない 第25回 救済
第8回 ~でない限り、~を除いて 第17回 費用の負担 第26回 差止
第9回 provide 第18回 努力する義務 第27回 otherwise

 

 

第28回 契約の終了

第38回 権利を侵害する 第48回 遅延利息
 

第29回 何かを相手に渡す、与える

第39回 保証する 第49回 重大な違反
 

第30回 due

第40回 品質を保証する 第50回 ex-が付く表現
第31回 瑕疵が発見された場合の対応 第41回 補償・品質保証 第51回 添付資料
第32回 ~を被る 第42回 排他的な 第52回 連帯責任
第33回 ~を履行する 第43回 第53回 ~を代理して
第34回 果たす、満たす、達成する 第44回 第54回 下記の・上記の
第35回 累積責任 第45回 瑕疵がない、仕様書に合致している 第55回 強制執行力
第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害を表す表現 第46回 証明責任 第56回 in no event
第37回 補償・免責 第47回 indemnifyとliableの違い 第57回 for the avoidance of
 
第58回 無効な 第68回 representations and warranties
第59回 whereについて 第69回 material adverse effect
第60回 in which event, in which case 第70回 to the knowledge of
第61回 株主総会関係 第71回 GAAP
第62回 取締役・取締役会関係 第72回 covenants
第63回 indemnifyとdefendの違い
第64回 Notwithstandingと責任制限条項
第65回 M&Aの全体の流れ
第66回 conditions precedent
第67回 adjustment

【私が勉強した参考書】

基本的な表現を身につけるにはもってこいです。

ライティングの際にどの表現を使えばよいか迷ったらこれを見れば解決すると思います。

アメリカ法を留学せずにしっかりと身につけたい人向けです。契約書とどのように関係するかも記載されていて、この1冊をマスターすればかなり実力がupします。 英文契約書のドラフト技術についてこの本ほど詳しく書かれた日本語の本は他にありません。 アメリカ法における損害賠償やリスクの負担などの契約の重要事項についての解説がとてもわかりやすいです。

 

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英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
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