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本郷塾で学ぶ英文契約

M&Aの全体像・流れ

2024/02/28
 

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英文契約基礎から実践講座

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英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
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ある会社の株式を保有する会社が、他の会社にその株式を譲渡する形で行われる取引(以下、「M&A」)は、概ね、以下のような流れで行われます。

これから初めてM&A契約に携わる方々は、こちらとリンク先の記事をざっと理解することで、実務に入りやすくなります。

 

基本合意

買収の対象となる会社がどのような状態にあるのかについて買主が調査を行います。この調査をデューデェリジェンス(Due Diligence=略してDD)といいます。売主と買主間で結ばれる基本契約には、このデューディリジェンスをどのように行うかについて定められます。

 

デューディリジェンス

基本合意に定められた内容に基づき、実際にDDが行われます。

DDが終了したら、買収価格の検討・協議が行われます。

 

M&A契約(株式譲渡契約)

DDが終了し、買収価格について一応の合意に至れば、株式譲渡契約(以下、「M&A契約」)が締結されます。

M&A契約には、主に以下のような条項が定められます。

 

クロージングのための前提条件(conditions precedent)

通常、M&A契約締結後、すぐに株式の譲渡と対価の支払いが行われるわけではありません。それらを行うための一定の準備期間を経て、準備が整ったら、株式譲渡と対価の支払が完了します。それらの完了をクロージングといいます。

このクロージングのための条件は、conditions precedent(前提条件)と呼ばれます。

 

契約金額の調整(adjustment)

DDが終了した後、売主と買主の間では契約金額が一応合意されますが、それは仮のものです。

M&A契約締結後からクロージングまでの間には数ヶ月ほどの時間が空くのが通常で、その間、対象となる会社の価値は変化し得ます。

その変化を契約金額に反映させる必要があるので、そのための条文が定められます。これが価格調整と呼ばれます(adjestment)。

この価格調整と関係して重要となるのが、対象となる会社の財務諸表をいかなる会計基準に基づいて作成するかという点です。中でも、GAAPについての理解が重要となります。

 

レプワラ(表明保証=representations and warranties)

M&A締結時、およびクロージング時に、両当事者は相手方に対してレプワラ(representations and warranties)をします。これは主に、売主から買主に対して、対象となる会社がいかなる状態にあるのかについての保証という形で行われます。

このレプワラの範囲を狭めるために、「重大な悪影響(material adverse effect)を及ぼすレプワラ違反はない」や「レプワラをする当事者の知る限りで(to the knowledge of the Seller)」といった文言がレプワラの条文に加えられることがよくあります。

 

コベナンツ(誓約=covenants)

M&A契約締結後、およびクロージング後に各当事者が為すべき義務を定めます。これをcovenantsといいます。

 

レプワラ違反・コベナンツ違反の場合の補償(indemnity)

レプワラまたはコベナンツ違反の場合には、違反した当事者は、相手方に対して損害を賠償する責任を負います。これはindemnityと呼ばれます。

 

クロージング(closing)

前提条件(conditions precedent)が満たされたら、晴れてクロージングとなります。これにより、株式の譲渡と対価の支払いが行われます。

M&Aで登場する重要な表現を以下にまとめたので、そちらもご参考ください。

M&Aの全体像 conditions precedent adjustment
representations and warranties material adverse effect to the knowledge of ~
GAAP covenants

 

拙著『重要英単語と例文」で英文契約書の読み書きができる』では、以下のようなM&A契約の重要事項について解説しています。重要事項に絞って解説しているので、はじめてM&Aに関わる人でも短時間でポイントをつかめるようになっております。ぜひ、お試しください!→詳細はこちらから!

1.M&A契約とは何か?

2.M&A契約の全体像

3.M&A契約の重要ポイント

(1)取引の対象である株式の特定

(2)対価の決定~DD→クレージング時の価格調整(正味運転資本と純有利子負債の関係)

(3)表明保証

①株式、②財務状態、➂クレーム・訴訟など

(4)誓約

(5)補償

①補償期間、②責任上限

(6)表明保証・その補償と価格調整の関係

コラム~M&Aにおける成功とは何か?~

 

目次
第1回 義務 第10回 ~に関する 第19回 知らせる
第2回 権利 第11回 ~の場合 第20回 責任
第3回 禁止 第12回 ~の範囲で、~である限り 第21回 違反する
第4回 ~に定められている、~に記載されている 第13回 契約を締結する  

第22回 償還する

第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足) 第14回 契約締結日と契約発効日 第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD)
第6回 ~に従って 第15回 事前の文書による合意 第24回 故意・重過失
第7回 ~に関わらず 第16回 ~を含むが、これに限らない 第25回 救済
第8回 ~でない限り、~を除いて 第17回 費用の負担 第26回 差止
第9回 provide 第18回 努力する義務 第27回 otherwise

 

 

第28回 契約の終了

第38回 権利を侵害する 第48回 遅延利息
 

第29回 何かを相手に渡す、与える

第39回 保証する 第49回 重大な違反
 

第30回 due

第40回 品質を保証する 第50回 ex-が付く表現
第31回 瑕疵が発見された場合の対応 第41回 補償・品質保証 第51回 添付資料
第32回 ~を被る 第42回 排他的な 第52回 連帯責任
第33回 ~を履行する 第43回 第53回 ~を代理して
第34回 果たす、満たす、達成する 第44回 第54回 下記の・上記の
第35回 累積責任 第45回 瑕疵がない、仕様書に合致している 第55回 強制執行力
第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害を表す表現 第46回 証明責任 第56回 in no event
第37回 補償・免責 第47回 indemnifyとliableの違い 第57回 for the avoidance of
 
第58回 無効な 第68回 representations and warranties
第59回 whereについて 第69回 material adverse effect
第60回 in which event, in which case 第70回 to the knowledge of
第61回 株主総会関係 第71回 GAAP
第62回 取締役・取締役会関係 第72回 covenants
第63回 indemnifyとdefendの違い
第64回 Notwithstandingと責任制限条項
第65回 M&Aの全体の流れ
第66回 conditions precedent
第67回 adjustment

【私が勉強した参考書】

基本的な表現を身につけるにはもってこいです。

ライティングの際にどの表現を使えばよいか迷ったらこれを見れば解決すると思います。

アメリカ法を留学せずにしっかりと身につけたい人向けです。契約書とどのように関係するかも記載されていて、この1冊をマスターすればかなり実力がupします。 英文契約書のドラフト技術についてこの本ほど詳しく書かれた日本語の本は他にありません。 アメリカ法における損害賠償やリスクの負担などの契約の重要事項についての解説がとてもわかりやすいです。

 

 

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英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
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