英文契約書における例示列挙の方法

      2022/05/23

 

 

英文契約書を読んでいると、次のような表現を目にすることがあります。

 

…including, but not limited to,…

 

これは、どのような意味なのでしょうか。

 

おそらく、多くの人は、「~を含む」といった意味だと気が付くかと思います。

 

その理解はだいたいあっています。

 

より正確に訳すと、「~を含むが、それに限らない」となります。

 

では、単にincluding…という場合と、including, but not limited to,…との間に何か違いがあるのでしょうか?

 

 

 

違いは、あります。

 

 

 

では、どのような違いがあるのでしょうか。

 

単なるincluding…は、「…部分しか含まない」という意味になります。つまり、「限定列挙」です。

 

一方、including, but not limited to,…は、「…を含むんだけど、それに限らないよ」ということ、つまり、…は単なる例示であり、これ以外にも含みますよ、という意味の「例示列挙」となります。

 

具体的に見てみます。

 

英文契約書の中には、次の様なタイトルの条文が定められている場合があります。

 

Force Majeure

 

これは、「不可抗力」という意味です。

 

売買契約を例にとって説明します。

 

ある売買契約において、売主は、納期までに製品を海外にいる買主に引き渡す義務を負っているとします。

 

しかし、突然の大地震で、売主の国の港が壊滅的な状態になり、船で納期までに買主のもとへ運ぶことができなくなったとします。

 

この場合、売主は、「納期までに製品を買主に引き渡す」という契約上の義務を守ることができなくなってしまいました。

 

とすると、契約違反として、売主は買主に対して損害賠償を支払わないといけなくなりそうです。

 

しかし、ここで売主が契約上の義務を履行することができなくなったのは、不可抗力という、売主のコントロールの範囲外の出来事が原因です。売主が悪いわけではないのです。

 

このような場合には、売主は契約違反の責任を負わなくてよい、ということを定めているのが、このForce Majeure条項です。

 

ここで、何がForce Majeure、つまり不可抗力に該当するのか、ということを、英文契約では定めています。

 

具体的には、以下のような感じです。

 

The “Force Majeure” means any cause beyond the control of the Party obliged to perform the obligation including, but not limited to, act of God; acts of governments or governmental authorities; fires, storms, floods, explosions or earthquakes; wars (declared or not), rebellions, revolutions, terrorist attacks, or riots; strikes or lockouts.

 

ここで、including, but not limited to,…が使われます。これは、不可抗力に該当しそうなものを色々と列挙しつつも、ここに列挙していないような出来事が起きて、しかもそれが、起きてから考えてみると、不可抗力に当たるような場合もありえるので、それらも、契約上の不可抗力に該当することにしたいという意図です。

 

もしもここで、単にincluding…とだけ定めてしまうと、ここに列挙した出来事以外は不可抗力に当たらない、ということになってしまいます。しかし、不可抗力に当たりそうなものは契約締結時点で色々思い浮かべて定めたつもりでも、どうしても漏れが出てしまうことがあります。そのような漏れがあっても、何とか契約上不可抗力に当たると解釈してもらえる余地を残そうとするために、including, but not limited to,…という表現が使われるのです。

 

 

したがって、契約を読んでいる際に、including…という表現を見たら、次のように思ってください。

 

「including…となっているけど、果たしてここに列挙されているもので網羅されているのだろうか。ここはincluding, but not limited to,…とするべきではないだろうか?」

 

一方、including, but not limited to,…という表現を見たら、逆に、以下のように思っていただければと思います。

 

「including, but not limited to,…となっているけど、これは例示列挙であるので、不当に色々なものが含まれるようにされて、相手方に有利になっていないだろうか。ここは、限定列挙として、including…とするべきではないだろうか?」

 

このように、including…やincluding, but not limited to,…が定められている条文の文脈によって、どちらのほうが自社に有利になるのかは変わってきますので、この表現を見るたびに検討するようにしていただければと思います。

 

ちなみに、including, but not limited to,…は、including, without limitation…とも記載されることがあります。両者は同じ意味です。

 

契約書を読む際に、includingで検索してみると、すぐにこの表現を見つけることができます。

英文契約の基本的な表現

Shall

 

~に定められている

 

「~に定められている」の補足

 

Notwithstanding

 

~を除いて、~でない限り

 

~に従って

 

~に関する

 

~の場合

 

Whereについて

 

~の範囲で

 

例示列挙の方法

 

事前の文書による同意と承認

 

契約締結日と発効日

 

LDとpenaltyの違い

 

Gross negligenceと結果の重大性

 

間接損害(indirect damage)と逸失利益(loss of profit)の違い

 

知らせる

 

Liquidated damages

 

Otherwise

 

~を被る

 

~を履行する

 

累積責任

 

~を補償する、免責する

 

Indemnifyとbe liableの違い

 

~を保証する(guarantee)

 

遅延利息

 

Warranty

 

排他的な

 

to one’s knowledge/to the knowledge of

 

Material adverse effect

 

Covenants

 

Representations and warranties

 

Notwithstandingと責任制限条項

 

Indemnifyとdefend

 

取締役・取締役会関係の単語

 

株主総会関係の単語

 

添付資料

 

連帯責任

 

下記の、上記の

 

一般条項(Notice)

 

一般条項(Term)

EPC契約のポイント(『英文EPC契約の実務』で解説している事項の一部です)

 

スコープオブワーク

 

EPC契約の契約金額の定め方と追加費用の扱い

 

コストプラスフィーの注意点

 

ボンドについて

 

前払金返還保証ボンド

 

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リテンションボンド

 

仕様変更

 

プラントの検収条件と効果

 

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