英文契約の基本的な表現 第38回 権利を侵害する

      2020/01/30

今回は、「権利を侵害する」という時に使う「~を侵害する」という表現をご紹介します。

 

実は、この表現は、「第37回 補償する・免責する」でご説明したindemnity/hold harmless条項で取り上げた以下の例文のところで出てきています。

 

The Seller shall indemnify and hold harmless the Purchaser from and against all damages, claims, losses, expenses, including without limitation, reasonable attorney’s fees, made against the Purchaser in respect of the infringement of any patent, trademark, design, utility model, copyright or other industrial property right in connection with the Product.

 

上記の黄色部分の「infringement」が「(権利の)侵害」という意味です。

 

そしてこの動詞が、infringeで「(権利)を侵害する」という意味を持ちます。

 

 

infringeを使う際の注意点

 

このinfringeについて英英辞典を引いてみると、次のようになっています。

 

to break a law or rule

 

つまり、「法律やルールを破る行為」を意味するのです。

 

確かに、上記の例文でも、infringementの対象はany patent, trademark, design, utility model, copyright or other industrial property rightのinfringementとなっており、「法律上の権利の侵害」という文脈で使われていますよね。

 

「~を侵害する」という訳だけを見ると、例えば、人を傷つけたり、製品を損壊したりする行為にもinfringeを使ってもよさそうですが、そうではないのです。infringeは、法律上の権利やルールを侵す場合に使う、と覚えておいてください。

 

実際、英文契約書に中で、このinfringeが使われるのは、上記で示した第三者の知的財産権侵害のindemnity/hold harmless条項の場合を除いてほとんどありません。

 

 

第三者の知的財産権の侵害におけるindemnity/hold harmless条項で使われる権利の表現

 

せっかくなので、ついでに、第三者の知的財産権侵害についてのindemnity/hold harmless条項でよく使われる様々な「権利」を表す表現をここで確認しておきましょう。

 

patent

特許

 

trademark

商標

 

design

意匠

 

utility model

実用新案

 

copyright

著作権

 

industrial property right

産業財産権

 

 

目次
第1回 義務 第10回 ~に関する 第19回 知らせる
第2回 権利 第11回 ~の場合 第20回 責任
第3回 禁止 第12回 ~の範囲で、~である限り 第21回 違反する
第4回 ~に定められている、~に記載されている 第13回 契約を締結する  

第22回 償還する

第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足) 第14回 契約締結日と契約発効日 第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD)
第6回 ~に従って 第15回 事前の文書による合意 第24回 故意・重過失
第7回 ~に関わらず 第16回 ~を含むが、これに限らない 第25回 救済
第8回 ~でない限り、~を除いて 第17回 費用の負担 第26回 差止
第9回 provide 第18回 努力する義務 第27回 otherwise

 

 

第28回 契約の終了

第38回 権利を侵害する 第48回 遅延利息
 

第29回 何かを相手に渡す、与える

第39回 保証する 第49回 重大な違反
 

第30回 due

第40回 品質を保証する 第50回 ex-が付く表現
第31回 瑕疵が発見された場合の対応 第41回 補償・品質保証 第51回 添付資料
第32回 ~を被る 第42回 排他的な 第52回 連帯責任
第33回 ~を履行する 第43回 第53回 ~を代理して
第34回 果たす、満たす、達成する 第44回 第54回 下記の・上記の
第35回 累積責任 第45回 瑕疵がない、仕様書に合致している 第55回 強制執行力
第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害を表す表現 第46回 証明責任 第56回 in no event
第37回 補償・免責 第47回 indemnifyとliableの違い 第57回 for the avoidance of
 
第58回 無効な
第59回 whereについて
第60回 in which event, in which case
第61回 株主総会関係
第62回 取締役・取締役会関係

 

【私が勉強した参考書】

基本的な表現を身につけるにはもってこいです。

ライティングの際にどの表現を使えばよいか迷ったらこれを見れば解決すると思います。

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 - 英文契約の基本的な表現の習得