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Force Majeureとリスクの負担(risk of loss)の違い

 
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英文契約に必ずと言ってよいほど定められることが多いForce Majeureとリスクの負担(risk of loss)は、どちらも、契約当事者のせいではない事象によるものです。

この2つは似ているためか、これら2つについて定める条文を適用する際の区別を知らないという人は結構います。

中には、この2つは矛盾しているのではないか?という人もいます。

しかし、この2つは異なるものであり、また、矛盾もしていません。

この記事では、Force Majeureとリスクの負担の違いについて、わかりやすく解説します。

 

Force Majeureとは?

Force Majeureについての条文は、天災などの契約当事者のせいではない事象で契約上の義務の履行が妨げられた場合には、その義務を果たさなかった当事者は責任を免れるということを定めるものです。

 

たとえば、建設契約において、建設業者が建設作業を行っているときに大洪水が生じたために建設サイトが水浸しになり、水が引くまでの数日間建設作業を行うことができない状態になったとします。

その結果、納期までに建設物を完成させることができなくなりました。

 

納期に遅れた場合、通常、建設業者は納期遅延の損害賠償を注文者に支払わなければならなくなります。

 

しかし、大洪水がForce Majeureに該当するのであれば、Force Majeureの条文により、建設業者は納期遅延の責任を免れることになります。

 

つまり、Force Majeureは、契約違反の責任を免れさせることになる条文であるといえます。

リスクの負担(risk of loss)とは?

一方、リスクの負担についての条文が定めるのは、「売買や請負契約の目的物が、どちらの当事者のせいでもない理由で毀損・滅失した場合の修理・交換費用をどちらの当事者が負担するのか」というものです。

 

よって、契約の目的物が毀損・滅失していない限り、契約に定められたリスクの負担の条文が適用されることはありません。

 

そのため、Force Majeureのところで例として示した大洪水でサイトが水浸しになり、水が引くまで建設業者が数日間建設作業を行うことができないという場合には、目的物が毀損・滅失していないのであれば、リスクの負担の条文は適用されず、Force Majeureの条文のみが適用され、建設業者は納期遅延の責任を免れることになります。

 

一方、大洪水の結果、サイトに置かれていた建設途中の物が水につかってしまい、修理・交換しなければならなくなったという場合には、その修理・交換費用の負担を誰が負うのかはリスクの負担について定める条文が適用されることで決まります。

ここで、通常、検収まではリスクを負担するのは建設業者となっているはずなので、その場合には、修理・交換費用を負担するのは建設業者となります。

まとめ

つまり、大洪水によって建設作業が遅れて納期遅延に陥った点については、Force Majeureの条文が適用されて建設業者は納期遅延の責任を免れますが、大洪水で建設物が毀損・滅失した場合の修理・交換費用の負担については、リスクの負担の条文が適用されて、建設業者が負担することになります。

 

以上のように、Force Majeureとリスクの負担(risk of loss)は似ていますが、異なるものであるということを押さえておきましょう。

 

Force Majeureに関するその他の記事は以下からご覧ください。

Force Majeureとは?

Force Majeureの効果

Force Majeureの効果を得るための手続き

Force Majeureが長期間継続した場合

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