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本郷塾で学ぶ英文契約

英文契約で「上記の」→the foregoing、「下記の」→the following

2024/01/13
 
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英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
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今回は、「下記の」と「上記の」という表現をご紹介します!

 

「下記の」という表現が使われる場面

 

英文契約には、「条文」が定められています。

 

その条文は、「~の場合には、・・・となる」という内容であることがよくあります。

 

この「~の場合には」に当たる部分を「条件」、「・・・となる」に当たる部分を「効果」、と呼びます。

 

そして、この条件や効果が、複数あることがあります。

 

その場合、次のような条文の形となることが多いです。

 

下記の事項を満たす場合には、・・・となる。

 

条件1・・・

条件2・・・

条件3・・・」

 

または、

 

「~を満たす場合には、下記の効果が生じる。

 

効果1・・・

効果2・・・

効果3・・・」

 

つまり、箇条書きにするのです。

 

なぜ箇条書きにするかといいますと、ズラズラと複数の条件や効果をただ書き並べるよりも、箇条書きにした方が分かりやすくなるからです。

 

実際に、箇条書きとそうでない場合とを以下で比較してみましょう。

 

箇条書きにしない場合:

「不可抗力、法令変更、請負人の責めに帰さない事由に基づく注文者の仕様変更命令、請負人の責めに帰さない事由に基づく注文者の作業中断要求、または注文者の契約違反のいずれかが生じた場合には、納期は延長される。」

 

箇条書きにした場合:

以下のいずれかの事由に該当する場合には、納期は延長される。

(1)   不可抗力

(2)   法令変更

(3)   請負人の責めに帰さない事由に基づく注文者の仕様変更命令

(4)   請負人の責めに帰さない事由に基づく注文者の作業中断要求

(5)   注文者の契約違反」

 

いかがでしょうか?

 

箇条書きにした方が、すっきりして見やすいですよね?

 

 

「下記の」を表す表現

 

これは、followingという表現がよく使われます。

 

例文

If the Contractor terminates this Contract in accordance with the Article 20 hereunder, the Owner shall pay to the Contractor the following amounts:

(i)              A;

(ii)             B; and

(iii)            C.

 

訳:コントラクターが本契約の第20条に従って本契約を解除した場合、オーナーは、以下の金額をコントラクターに支払わなければならない。

(1)   A

(2)   B

(3)   C

 

 

「上記の」という表現が使われる場面

 

契約書では、前の条文に定められた事項を引用することがよくあります。

 

例えば、次のような感じです。

 

上記の定めに関わらず、コントラクターはオーナーが被った間接的な損害については責任を負わない。」

 

もっとも、この「上記の」というのが、どれを指すのかわかりにくいことが時々あります。

 

つまり、「上記っていうけど、上には色々なことが定められてるじゃん。具体的にはどれ??」という疑問を感じてしまうようなときです。

 

これでは、場合によっては、当事者間で「上記」とはどれを指すのかについて争いに発展する可能性もありますので、契約書を読んでいる際にそのような疑問を感じたら、「上記の」という表現は使わずに、多少冗長になってしまうとしても、「上記の」に当たる部分を再度そこに明確に書くようにするべきです。

 

「上記の」を表す表現

 

これは、複数あります。

 

  • foregoing
  • aforementioned
  • aforesaid
  • abovementioned

 

英文契約書の中で特によく見かけるのは、「foregoing」だと思います。

 

例文:

Notwithstanding the foregoing, the Contractor is not required to be liable for any indirect damages suffered by the Owner.

 

訳:

上記に関わらず、コントラクターはオーナーが被ったいかなる間接的な損害も賠償する責任を負わない。

 

 

今回ご紹介したfollowingやforegoingといった表現は、英文契約書に限らずメールなどでも使える表現ですので、ぜひ覚えて使いこなしていただければと思います。

 

目次
第1回 義務 第10回 ~に関する 第19回 知らせる
第2回 権利 第11回 ~の場合 第20回 責任
第3回 禁止 第12回 ~の範囲で、~である限り 第21回 違反する
第4回 ~に定められている、~に記載されている 第13回 契約を締結する  

第22回 償還する

第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足) 第14回 契約締結日と契約発効日 第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD)
第6回 ~に従って 第15回 事前の文書による合意 第24回 故意・重過失
第7回 ~に関わらず 第16回 ~を含むが、これに限らない 第25回 救済
第8回 ~でない限り、~を除いて 第17回 費用の負担 第26回 差止
第9回 provide 第18回 努力する義務 第27回 otherwise

 

 

第28回 契約の終了

第38回 権利を侵害する 第48回 遅延利息
 

第29回 何かを相手に渡す、与える

第39回 保証する 第49回 重大な違反
 

第30回 due

第40回 品質を保証する 第50回 ex-が付く表現
第31回 瑕疵が発見された場合の対応 第41回 補償・品質保証 第51回 添付資料
第32回 ~を被る 第42回 排他的な 第52回 連帯責任
第33回 ~を履行する 第43回 第53回 ~を代理して
第34回 果たす、満たす、達成する 第44回 第54回 下記の・上記の
第35回 累積責任 第45回 瑕疵がない、仕様書に合致している 第55回 強制執行力
第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害を表す表現 第46回 証明責任 第56回 in no event
第37回 補償・免責 第47回 indemnifyとliableの違い 第57回 for the avoidance of
 
第58回 無効な 第68回 representations and warranties
第59回 whereについて 第69回 material adverse effect
第60回 in which event, in which case 第70回 to the knowledge of
第61回 株主総会関係 第71回 GAAP
第62回 取締役・取締役会関係 第72回 covenants
第63回 indemnifyとdefendの違い
第64回 Notwithstandingと責任制限条項
第65回 M&Aの全体の流れ
第66回 conditions precedent
第67回 adjustment

【私が勉強した参考書】

基本的な表現を身につけるにはもってこいです。

ライティングの際にどの表現を使えばよいか迷ったらこれを見れば解決すると思います。

アメリカ法を留学せずにしっかりと身につけたい人向けです。契約書とどのように関係するかも記載されていて、この1冊をマスターすればかなり実力がupします。 英文契約書のドラフト技術についてこの本ほど詳しく書かれた日本語の本は他にありません。 アメリカ法における損害賠償やリスクの負担などの契約の重要事項についての解説がとてもわかりやすいです。

 

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