英文契約書で「~に定められている」「~に記載されている」とは?

      2022/05/23

 

今回は、「~に定められている」「~に記載されている」(以下、「~に定められている系」といいます)という表現についてご紹介したいと思います。

 

この表現は契約書中で本当によく使われます。

 

どの程度使われているかと言いますと、例えば、ENAAという全部で73ページある契約フォーム中では、合計で135回この表現が出てきます。これは、mayが出てくる回数である127回を上回ります。契約書が、当事者間の権利義務を明確に定める文書だということから、義務を表すshallや権利を表すmayが使われる回数が多いことはみなさん容易に想像がつくかと思いますが、そのmayを上回るということは、如何にこの「~に定められている系」の表現が契約書中によく出てくるかを表している、と言えるのではないでしょうか。

(ちなみに、shallが使われている回数は486回です。このことからも、契約書は、当事者の義務の記述で埋め尽くされている文書であることもご理解いただけるかと思います。)

 

 

頻出する理由

 

でも、どうして契約書中では、この「~に定められている系」の表現がこんなにも多く使われるのでしょうか。

 

上記のように、契約書は、「当事者間の権利義務、特に義務を数多く定める文書」です。つまり、当事者がしなければならないことがたくさん書き連ねられていると言えます。そしてその当事者の義務は、具体的には以下のような表現で記載されます。

 

「○○は、本契約書の第3条に定められている支払条件に従って、契約金額をまでに支払わなければならない。」

 

「○○は、本契約に添付される仕様書に記載されているスケジュールに従って作業を履行しなければならない。」

 

「本契約に定められているいかなる条文にも関わらず、○○が本契約に関して負う責任は、契約金額の100%を上限とする。」

 

といった感じで、契約書では、「当事者は、ある事柄が詳細に記載されている条文または仕様書等に従ってある行為をしなければならない」という書き方をすることが多いのです。

 

これが、契約書で「~に定められている系」の表現が多く使用される理由です。

 

また、例えば、契約金額を支払わない顧客がいたとします。その場合、当社はいきなりその顧客を訴えるのではなく、何度か支払を催促するレターを顧客に出すことになります。

 

その際には、単に「契約金額を支払ってください」ということをレターに書くのではなく、「契約書の○条に定められている支払条件に従って支払いがなされていないので、直ちに支払ってください」と書くでしょう。やはりここでも、「~に定められている」という文言が使われるのです。

 

 

使用頻度と使用例の紹介

 

では、この「~に定められている系」には、具体的にいかなる表現があるのでしょうか。以下にその主な表現、その使用例およびその訳の一覧をご紹介します。

 

表現 使用例とその訳
…specified in the test(s) specified in Appendix 7

添付資料7に定められている試験

…provided in approval of design provided in Article 20

第20条に定められている図面の承認

…stated in all the conditions stated in Article 11

第11条に定められている全ての条件

…described in any test not described in this contract

この契約に定められていない試験

…listed in the documents listed in Article 1.1

第1.1条にリスト化されている図書類

…stipulated in interest stipulated in Article 12.3

第12.3条に定められている利息

…set forth in the period set forth in this contract

この契約書に定められている期間

…prescribed in the conditions prescribed in Article 6

第6条に定められている条件

…defined in payment schedule defined in Appendix 5

添付資料5に定められている支払スケジュール

 

表現は色々あるものの、どれも、「~に定められている系」だと覚えておいていただければ、英文契約を読む際に役に立つと思います。

 

ちなみに私は、できるだけspecified inかset forth inを使うと決めています。「自分はこれを使う!」と決めておくと、いざ自分でドラフトするときに、迷わずに済みます。

英文契約の基本的な表現

Shall

 

~に定められている

 

「~に定められている」の補足

 

Notwithstanding

 

~を除いて、~でない限り

 

~に従って

 

~に関する

 

~の場合

 

Whereについて

 

~の範囲で

 

例示列挙の方法

 

事前の文書による同意と承認

 

契約締結日と発効日

 

LDとpenaltyの違い

 

Gross negligenceと結果の重大性

 

間接損害(indirect damage)と逸失利益(loss of profit)の違い

 

知らせる

 

Liquidated damages

 

Otherwise

 

~を被る

 

~を履行する

 

累積責任

 

~を補償する、免責する

 

Indemnifyとbe liableの違い

 

~を保証する(guarantee)

 

遅延利息

 

Warranty

 

排他的な

 

to one’s knowledge/to the knowledge of

 

Material adverse effect

 

Covenants

 

Representations and warranties

 

Notwithstandingと責任制限条項

 

Indemnifyとdefend

 

取締役・取締役会関係の単語

 

株主総会関係の単語

 

添付資料

 

連帯責任

 

下記の、上記の

 

一般条項(Notice)

 

一般条項(Term)

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