英語の契約書で「添付資料」はappendix、attachment、exhibit等
英語の契約書には、appendixやattachmentといった表現が時々登場します。
これは、「添付資料」という意味です。
この添付資料を表す表現には、他にも色々なものがあります。
この記事では、次の事項についてわかりやすく解説します。
- 添付資料を表す類義語
- 「契約書」と「添付資料」の関係
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添付資料を意味する色々な表現
添付資料を表す表現には、以下のようなものがあります。
- appendix
- attachment
- exhibit
- annex
- schedule
上記のどれも意味に違いはありません。
ただし、一つの契約書で、添付資料を例えば「Appendixとする」と決めたら、その契約書内では常に同じ文言、つまり、「Appendix」という表現を使うようにしてください。
そして、添付資料が複数ある場合には、Appendix 1、Appendix 2、Appendix 3のように番号(またはアルファベット等)を付します。
全て最初の文字を大文字にしていますが、添付資料を意味する上記の文言は、定義されることが多いのでそのようにしました。
添付資料とは何か?
そもそも、「添付資料」とは何なのでしょうか?
その名の通り、「契約書に添付されている資料」ですよね。
あれ?ということは、「契約書そのものではない」という理解でよろしいでしょうか?
つまり、契約書本文には、当然、その契約の当事者を拘束する力が生じますが、添付資料は、あくまで契約書に添付されているものなのだから、法的拘束力はない?ただの参考程度のもの?そう考えてよいでしょうか?
答えは、「ダメ」です。
添付資料という言葉からは、上記の様に考える方もいるかもしれません。また、そのような誤解をされるのもやむをえません。
しかし、添付資料は、列記とした「契約書そのもの」なのです。
その意味では、添付資料は、「契約書に添付されたもの」ではなく、厳密には、「契約書の本文に添付された資料」と言った方が正確でしょう。
つまり、契約書は、「本文」と「それに添付される資料(添付資料)」からなる、というわけです。
よって、これまで、「添付資料?どーせ参考資料でしょ?そんなにしっかりチェックしなくてもいいんでしょ?」と思っていた方がいらっしゃったとしたら、ぜひこの機会にその考えを改めていただければと思います。
添付資料に書かれている内容も、契約本文と同じように、原則として、法的拘束力があるのです(明示的に、「添付資料には法的拘束力がない」と定められていれば、その通り、法的拘束力を生じさせないようにすることは可能です)。
とはいえ、通常、法務部門では添付資料まではそこまでしっかり読まないことが多いと思います。
というのも、添付資料は技術的な事項が詳細に定められることが多いからです。つまり、添付資料は主に技術部門の方々がチェックするべき書類と言えるでしょう。
そのため、ある問題が生じる場合があります。
添付資料と契約本文の内容に食い違いがある場合はどうなるのか?
その問題とは、「添付資料の内容が契約書本文と矛盾することがあり得る」という問題です。
例えば、契約書本文には、「保証期間は2年」と定められているのに、添付資料には、「保証期間は3年」と定められていた場合を考えてみましょう。
契約書本文も、添付書類も、どちらも法的拘束力があるのです。
その両方が矛盾している・・・。
本文が優先?
添付資料が優先?
両者の間を採って2年半とする?
このような悩みが出てくるので、例えばEPC契約や株式買取契約等の重要な案件の契約書の本文には、ほぼ必ずといってよいほど、次のような条文が定められています。
「優先順位を定める条文」
例えば、「契約書本文と添付資料が矛盾している場合には、契約書本文を優先する」とか、その逆の定めがあります。添付資料が多い場合には、添付資料の間の優先順位も定められている場合があります。
そして、その定めに従って契約書本文と添付資料の間の優劣関係が判断されることになります。
なので、「添付資料の内容はどのようなものか?」「契約書本文と重なるような記載はないか?」ということを、契約書本文と添付資料を見る担当者間で確認し合い、その結果、「優劣関係を決める条文を定めるか否か」、「定める場合、その内容はどうするか(どういう優劣関係にするか)」を決める必要があります(もっとも、そもそも、契約書本文と添付資料との間で矛盾が生じないように確認することが大事ですが・・・)。
特に、添付資料には「保証に関する事項」と「損害賠償に関する事項」が技術的な記載の中にどさくさにまぎれて定められていることがあるので、その点の整合性は社内の関係部門間でしっかりと確認するようにすることをお勧めいたします。
まとめ
- 添付資料も契約書!つまり、法的拘束力がある!
- 添付資料と契約書本文の記載に食い違いがある場合、どちらが優先するのか争いになる。よって、添付資料と契約書本文とで同種の事項について定める場合には、優劣関係を定める!(特に「保証に関する事項」と「損害賠償に関する事項」で食い違いが生じやすい)(そもそも矛盾しないように全体の整合性を採ることが一番大事であることはいうまでもありません)
英語の契約書をスラスラ読めるようになるために必要な基本的かつ重要な表現を下で紹介しておりますので、ご参考ください。
これを覚えれば英文契約をずっと読みやすくなる!英単語レベル2
3.「~を履行する」
7.「添付資料」
10.「契約の終了」
英文契約を読むなら、まずはこの英文契約の基本的な表現と型を押さえましょう!レベル1
英文契約を読む際に、まずこれだけは押さえておくべき!という英文契約の基本的な型を構成する英単語は以下のようなものです。
・hereto/hereof/herein/hereinafterやthereof/thereby/thereafterなど
・shall 義務
・shall not 禁止
・may 権利
・if, when, whereなど、「~の場合」を表す表現
・unlessやexceptなど、「~でない限り」、「~を除いて」を表す表現
・otherwise「別途」を表す表現
・notwithstanding ~にかかわらず
・regarding, in connection with, in respect ofなど「~に関して」を表す表現
・to the extent ~の範囲で
・pursuant to, in accordance withなどの「~に従って」を表す表現
・provided inやspecified inなど、「~に定められている」を表す表現
・however provided that 「ただし」を表す表現
【私が勉強した参考書】