「添付資料」を表す表現 英文契約の基本的な表現 第51回

      2022/06/15

今回は、英文契約書でよく出てくる「添付資料」を意味する表現をご紹介します。

 

添付資料とは何か?

 

まず、そもそも、「添付資料」とは何なのでしょうか?

 

その名の通り、「契約書に添付されている資料」ですよね。

 

あれ?ということは、「契約書そのものではない」という理解でよろしいでしょうか?

 

つまり、契約書本文には、当然、その契約の当事者を拘束する力が生じますが、添付資料は、あくまで契約書に添付されているものなのだから、法的拘束力はない?ただの参考程度のもの?そう考えてよいでしょうか?

 

 

答えは、「ダメ」です。

 

添付資料という言葉からは、上記の様に考える方もいるかもしれません。また、そのような誤解をされるのもやむをえません。

 

しかし、添付資料は、列記とした「契約書そのもの」なのです。

 

その意味では、添付資料は、「契約書に添付されたもの」ではなく、厳密には、「契約書の本文に添付された資料」と言った方が正確でしょう。

 

つまり、契約書は、「本文」と「それに添付される資料(添付資料)」からなる、というわけです。



よって、これまで、「添付資料?どーせ参考資料でしょ?そんなにしっかりチェックしなくてもいいんでしょ?」と思っていた方がいらっしゃったとしたら、ぜひこの機会にその考えを改めていただければと思います。

 

添付資料に書かれている内容も、契約本文と同じように、原則として、法的拘束力があるのです(明示的に、「添付資料には法的拘束力がない」と定められていれば、その通り、法的拘束力を生じさせないようにすることは可能です)。

 

とはいえ、通常、法務部門では添付資料まではそこまでしっかり読まないことが多いと思います。


 

というのも、添付資料は技術的な事項が詳細に定められることが多いからです。つまり、添付資料は主に技術部門の方々がチェックするべき書類と言えるでしょう。

 

そのため、ある問題が生じる場合があります

 

 

添付資料と契約本文の内容に食い違いがある場合はどうなるのか?

 

その問題とは、「添付資料の内容が契約書本文と矛盾することがあり得る」という問題です。

 

例えば、契約書本文には、「保証期間は2年」と定められているのに、添付資料には、「保証期間は3年」と定められていた場合を考えてみましょう。

 

契約書本文も、添付書類も、どちらも法的拘束力があるのです。

 

その両方が矛盾している・・・。

 

本文が優先?

 

添付資料が優先?

 

両者の間を採って2年半とする?

 

このような悩みが出てくるので、例えばEPC契約や株式買取契約等の重要な案件の契約書の本文には、ほぼ必ずといってよいほど、次のような条文が定められています。

 

優先順位を定める条文

 

例えば、「契約書本文と添付資料が矛盾している場合には、契約書本文を優先する」とか、その逆の定めがあります。添付資料が多い場合には、添付資料の間の優先順位も定められている場合があります。

 

そして、その定めに従って契約書本文と添付資料の間の優劣関係が判断されることになります。

 

なので、「添付資料の内容はどのようなものか?」「契約書本文と重なるような記載はないか?」ということを、契約書本文と添付資料を見る担当者間で確認し合い、その結果、「優劣関係を決める条文を定めるか否か」、「定める場合、その内容はどうするか(どういう優劣関係にするか)」を決める必要があります(もっとも、そもそも、契約書本文と添付資料との間で矛盾が生じないように確認することが大事ですが・・・)。

 

特に、添付資料には「保証に関する事項」と「損害賠償に関する事項」が技術的な記載の中にどさくさにまぎれて定められていることがあるので、その点の整合性は社内の関係部門間でしっかりと確認するようにすることをお勧めいたします。

 

 

添付資料を意味する表現

 

以下のようなものがあります。

 

  • Appendix
  • Attachment
  • Exhibit
  • Annex
  • Schedule

 

上記のどれも意味に違いはありません。

 

ただし、一つの契約書で、添付資料を例えば「Appendixとする」と決めたら、その契約書内では常に同じ文言、つまり、「Appendix」という表現を使うようにしてください。

 

そして、添付資料が複数ある場合には、Appendix 1、Appendix 2、Appendix 3のように番号(またはアルファベット等)を付します。

 

全て最初の文字を大文字にしていますが、添付資料を意味する上記の文言は、定義されることが多いのでそのようにしました。

 

 

まとめ

 

  • 添付資料も契約書!つまり、法的拘束力がある!

 

  • 添付資料と契約書本文の記載に食い違いがある場合、どちらが優先するのか争いになる。よって、添付資料と契約書本文とで同種の事項について定める場合には、優劣関係を定める!(特に「保証に関する事項」と「損害賠償に関する事項」で食い違いが生じやすい)(そもそも矛盾しないように全体の整合性を採ることが一番大事であることはいうまでもありません)

 

  • 添付資料を意味する表現は、以下の通り。

Appendix

Attachment

Exhibit

Annex

Schedule

 

目次
第1回 義務 第10回 ~に関する 第19回 知らせる
第2回 権利 第11回 ~の場合 第20回 責任
第3回 禁止 第12回 ~の範囲で、~である限り 第21回 違反する
第4回 ~に定められている、~に記載されている 第13回 契約を締結する  

第22回 償還する

第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足) 第14回 契約締結日と契約発効日 第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD)
第6回 ~に従って 第15回 事前の文書による合意 第24回 故意・重過失
第7回 ~に関わらず 第16回 ~を含むが、これに限らない 第25回 救済
第8回 ~でない限り、~を除いて 第17回 費用の負担 第26回 差止
第9回 provide 第18回 努力する義務 第27回 otherwise

 

 

第28回 契約の終了

第38回 権利を侵害する 第48回 遅延利息
 

第29回 何かを相手に渡す、与える

第39回 保証する 第49回 重大な違反
 

第30回 due

第40回 品質を保証する 第50回 ex-が付く表現
第31回 瑕疵が発見された場合の対応 第41回 補償・品質保証 第51回 添付資料
第32回 ~を被る 第42回 排他的な 第52回 連帯責任
第33回 ~を履行する 第43回 第53回 ~を代理して
第34回 果たす、満たす、達成する 第44回 第54回 下記の・上記の
第35回 累積責任 第45回 瑕疵がない、仕様書に合致している 第55回 強制執行力
第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害を表す表現 第46回 証明責任 第56回 in no event
第37回 補償・免責 第47回 indemnifyとliableの違い 第57回 for the avoidance of
 
第58回 無効な 第68回 representations and warranties
第59回 whereについて 第69回 material adverse effect
第60回 in which event, in which case 第70回 to the knowledge of
第61回 株主総会関係 第71回 GAAP
第62回 取締役・取締役会関係 第72回 covenants
第63回 indemnifyとdefendの違い
第64回 Notwithstandingと責任制限条項
第65回 M&Aの全体の流れ
第66回 conditions precedent
第67回 adjustment

 

英文契約の基本的な表現

Shall

 

~に定められている

 

「~に定められている」の補足

 

Notwithstanding

 

~を除いて、~でない限り

 

~に従って

 

~に関する

 

~の場合

 

Whereについて

 

~の範囲で

 

例示列挙の方法

 

事前の文書による同意と承認

 

契約締結日と発効日

 

LDとpenaltyの違い

 

Gross negligenceと結果の重大性

 

間接損害(indirect damage)と逸失利益(loss of profit)の違い

 

知らせる

 

Liquidated damages

 

Otherwise

 

~を被る

 

~を履行する

 

累積責任

 

~を補償する、免責する

 

Indemnifyとbe liableの違い

 

~を保証する(guarantee)

 

遅延利息

 

Warranty

 

排他的な

 

to one’s knowledge/to the knowledge of

 

Material adverse effect

 

Covenants

 

Representations and warranties

 

Notwithstandingと責任制限条項

 

Indemnifyとdefend

 

取締役・取締役会関係の単語

 

株主総会関係の単語

 

添付資料

 

連帯責任

 

下記の、上記の

 

一般条項(Notice)

 

一般条項(Term)

EPC契約のポイント(『英文EPC契約の実務』で解説している事項の一部です)

 

スコープオブワーク

 

EPC契約の契約金額の定め方と追加費用の扱い

 

コストプラスフィーの注意点

 

ボンドについて

 

前払金返還保証ボンド

 

履行保証ボンド

 

契約不適合責任ボンド

 

リテンションボンド

 

仕様変更

 

プラントの検収条件と効果

 

納期遅延①

納期遅延②

納期遅延③

納期遅延④

納期遅延LDの決め方(発電所建設の一例)

 

Time is of the Essenceとは?

 

性能未達LD

 

EPC契約における保険

 

責任制限①

責任制限②

 

対価をとりっぱぐれるリスクへの対処法

 

プロジェクトファイナンス

 

コンソーシアム契約

 

Delay Analysis関係

必要な立証の程度(balance of probabilities)

 

フロート

 

同時遅延

 

仕事関係

これから法律・契約について勉強し始める社会人が陥りやすい勘違い

 

英語はある日突然聞き取れるようになるのか?

 

会社は誰のものか?

 

司法試験に落ちた後の人生とは?

 

休日を楽しめない理由とは?

 

ピカソがその絵で伝えようとしたこと

 

メンター(教育係)に初めてなる人へ①

メンター(教育係)に初めてなる人へ②

 

自分の勝因は相手の敗因にある(日露戦争から学ぶ)

 

Subject toとポツダム宣言の受諾

どうして議論がまとまらないのか?

 

歴史の本の紹介

 - 英文契約の基本的な表現の習得