英文契約の基本的な表現~Material Adverse Effect~

      2022/09/22

Material Adverse Effectとは?

material adverse effectは、M&A契約でよく使われます。

略して、MAEということもあります。

これはどのような意味でしょうか?

 

materialには、「材料」という意味がありますが、ここでは、「重大な」という意味です。

これは、material obligation(重要な義務)やmaterial breach(重大な違反)などと同じです。

 

では、adverseとは何かというと、これは、「逆の、反対の、不都合な、ネガティブな」といった意味です。

 

よって、material adverse effectで、「重大な悪影響」という意味になります。

 

M&A契約での使われ方

このmaterial adverse effectは、例えば、レプワラ(representations and warranties=表明保証)において使われます(レプワラについてはこちら!)。

 

例えば、売主は取引の対象となる会社の状態について、レプワラをしますが、もしも売主が行ったレプワラに誤りがあるとわかった場合、売主は契約違反として、買主に対して補償(indemnity)をしなければならなくなります。つまり、損害の賠償です。

 

ここで、売主も、取引の対象となる会社の状態について、細部にわたるまで完璧に把握しているわけではありません。いくらか勘違いしてレプワラしてしまっていることあるでしょう。

 

そこで、「対象となる会社の○○について、重大な悪影響を及ぼすようなものはないことを保証する」という形でレプワラをするのです。

 

こうすることで、多少、○○について売主の認識に基づいて行われたレプワラと客観的事実との間にズレがあったとしても、それが重大な悪影響を及ぼすものではないとして、売主はレプワラ違反の責任を免れることができるようになるのです。

 

定義することもある

もっとも、「何がmaterial adverse effectなのか?」という点は曖昧です。

「重大な悪影響って何?」と感じますよね。

具体的には、「重大とは何か?」や「何についての影響がこれに当たるのか?」といった点がよくわかりません。

 

そこで、英文契約では、material adverse effectを定義(definition)することがあります。

 

その際には、①基準を数値化したり、また、②material adverse effectに当たらない事項を具体的に明記したりすることがよく行われます。

②については、例えば、”Material Adverse Effect” means ~ except for … と定めることで、except for以下に列挙した事由はmaterial adverse effectではないことを定めます。

また、同様に例外を定めるために、however, provided that S Vなどを用いて以下の様に定めることも行われます。

“Material Adverse Effect” means ~, provided, however, that a Material Adverse Effect shall not be deemed to include

(訳:「重大な悪影響とは、~を意味し、ただし、・・・を含むとはみなされないものとする」)

 

規模の大きなM&Aの場合には、相当に長い定義が設けられることもあります。

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1.M&A契約とは何か?

2.M&A契約の全体像

3.M&A契約の重要ポイント

(1)取引の対象である株式の特定

(2)対価の決定~DD→クレージング時の価格調整(正味運転資本と純有利子負債の関係)

(3)表明保証

①株式、②財務状態、➂クレーム・訴訟など

(4)誓約

(5)補償

①補償期間、②責任上限

(6)表明保証・その補償と価格調整の関係

コラム~M&Aにおける成功とは何か?~

 

目次
第1回 義務 第10回 ~に関する 第19回 知らせる
第2回 権利 第11回 ~の場合 第20回 責任
第3回 禁止 第12回 ~の範囲で、~である限り 第21回 違反する
第4回 ~に定められている、~に記載されている 第13回 契約を締結する  

第22回 償還する

第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足) 第14回 契約締結日と契約発効日 第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD)
第6回 ~に従って 第15回 事前の文書による合意 第24回 故意・重過失
第7回 ~に関わらず 第16回 ~を含むが、これに限らない 第25回 救済
第8回 ~でない限り、~を除いて 第17回 費用の負担 第26回 差止
第9回 provide 第18回 努力する義務 第27回 otherwise

 

 

第28回 契約の終了

第38回 権利を侵害する 第48回 遅延利息
 

第29回 何かを相手に渡す、与える

第39回 保証する 第49回 重大な違反
 

第30回 due

第40回 品質を保証する 第50回 ex-が付く表現
第31回 瑕疵が発見された場合の対応 第41回 補償・品質保証 第51回 添付資料
第32回 ~を被る 第42回 排他的な 第52回 連帯責任
第33回 ~を履行する 第43回 第53回 ~を代理して
第34回 果たす、満たす、達成する 第44回 第54回 下記の・上記の
第35回 累積責任 第45回 瑕疵がない、仕様書に合致している 第55回 強制執行力
第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害を表す表現 第46回 証明責任 第56回 in no event
第37回 補償・免責 第47回 indemnifyとliableの違い 第57回 for the avoidance of
 
第58回 無効な 第68回 representations and warranties
第59回 whereについて 第69回 material adverse effect
第60回 in which event, in which case 第70回 to the knowledge of
第61回 株主総会関係 第71回 GAAP
第62回 取締役・取締役会関係 第72回 covenants
第63回 indemnifyとdefendの違い
第64回 Notwithstandingと責任制限条項
第65回 M&Aの全体の流れ
第66回 conditions precedent
第67回 adjustment

 

Delay Analysis関係

必要な立証の程度(balance of probabilities)

 

フロート

 

同時遅延

 

仕事関係

これから法律・契約について勉強し始める社会人が陥りやすい勘違い

 

英語はある日突然聞き取れるようになるのか?

 

会社は誰のものか?

 

司法試験に落ちた後の人生とは?

 

休日を楽しめない理由とは?

 

ピカソがその絵で伝えようとしたこと

 

メンター(教育係)に初めてなる人へ①

メンター(教育係)に初めてなる人へ②

 

自分の勝因は相手の敗因にある(日露戦争から学ぶ)

 

Subject toとポツダム宣言の受諾

どうして議論がまとまらないのか?

 

歴史の本の紹介

 - 英文契約の基本的な表現の習得