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本郷塾で学ぶ英文契約

英文契約の合理的な努力義務(reasonable effort)

2024/01/13
 
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今回は、「努力する」という意味を表す表現についてご紹介します。

 

「~するように努力する」

 

このような言葉を聞いた時、みなさんはどう思われますか?

もっと具体的に書いてみます。

 

「契約金額を支払うように努力します」

 

こんな表現が契約書に書いてあったらどう思いますか?

 

「いや、努力するじゃなくて、とにかく支払ってよ」

 

こう思いますよね。

 

そうです。

努力することは尊いです。

百年以上前に、「努力することは、成功することよりも大切だ」と、オリンピック会長のクーベルタンは言ったくらいです。

 

とはいえ、契約においては、「努力する」では心もとないです。

 

つまり、「~するように努力する」という表現が契約書中に出てきたら、それは、相手は、「義務」にまではしたくなかった、ということです。「できないかもしれないが、その場合でも契約違反にはしたくない」という気持ちがあるときに、この「努力する」という表現を使ってきます。

次のように表します。

 

make a reasonable effort

make a commercially reasonable effort

make a best effort

 

上記のように、いろいろな書か方がありますが、どこまで行っても、努力義務です。

 

この努力義務と通常の義務の違いは何でしょうか。

 

それは、「自分が破産してでも、果たさなければならないか」、という点です。

 

努力義務の場合には、仮にmake a best effortという表現であっても、自社がつぶれるほどの経済的な努力をすることまでは求められていません。

 

しかし、通常の義務は、それをすることが法令に違反しない限り果たすことが求められます。

 

契約金額を支払う義務は、何が何でも果たさなければなりません。製品を納入する義務も同じです。

 

もっとも、これが努力義務になった場合には、そうではなくなります。

 

とにかく一生懸命に頑張ればよい、ということになります。

 

したがって、取引先から送付されてきた契約書の中に、この努力義務が定められているのを見つけたら、本当にそれでよいのかよく検討する必要があります。

 

一方で、自社にとって、義務までにはしたくないものがあるが、完全にしない、というのはどうか、と思える義務が契約書に書いてある場合には、この努力義務に修正する、ということで取引先に打診する、という方法があります。

 

以下、例文です。

 

The Contractor shall make its reasonable efforts to minimize any delay in the performance of its obligations under the Agreement.

 

訳:コントラクターは、本契約に基づく義務の履行の遅れを最小限にするために合理的な努力をしなければならない。

 

目次
第1回 義務 第10回 ~に関する 第19回 知らせる
第2回 権利 第11回 ~の場合 第20回 責任
第3回 禁止 第12回 ~の範囲で、~である限り 第21回 違反する
第4回 ~に定められている、~に記載されている 第13回 契約を締結する  

第22回 償還する

第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足) 第14回 契約締結日と契約発効日 第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD)
第6回 ~に従って 第15回 事前の文書による合意 第24回 故意・重過失
第7回 ~に関わらず 第16回 ~を含むが、これに限らない 第25回 救済
第8回 ~でない限り、~を除いて 第17回 費用の負担 第26回 差止
第9回 provide 第18回 努力する義務 第27回 otherwise

 

 

第28回 契約の終了

第38回 権利を侵害する 第48回 遅延利息
 

第29回 何かを相手に渡す、与える

第39回 保証する 第49回 重大な違反
 

第30回 due

第40回 品質を保証する 第50回 ex-が付く表現
第31回 瑕疵が発見された場合の対応 第41回 補償・品質保証 第51回 添付資料
第32回 ~を被る 第42回 排他的な 第52回 連帯責任
第33回 ~を履行する 第43回 第53回 ~を代理して
第34回 果たす、満たす、達成する 第44回 第54回 下記の・上記の
第35回 累積責任 第45回 瑕疵がない、仕様書に合致している 第55回 強制執行力
第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害を表す表現 第46回 証明責任 第56回 in no event
第37回 補償・免責 第47回 indemnifyとliableの違い 第57回 for the avoidance of
 
第58回 無効な 第68回 representations and warranties
第59回 whereについて 第69回 material adverse effect
第60回 in which event, in which case 第70回 to the knowledge of
第61回 株主総会関係 第71回 GAAP
第62回 取締役・取締役会関係 第72回 covenants
第63回 indemnifyとdefendの違い
第64回 Notwithstandingと責任制限条項
第65回 M&Aの全体の流れ
第66回 conditions precedent
第67回 adjustment

 

【私が勉強した参考書】

基本的な表現を身につけるにはもってこいです。

ライティングの際にどの表現を使えばよいか迷ったらこれを見れば解決すると思います。

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英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
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