英文契約の基本的な表現~GAAP~

      2022/06/15

GAAPとは?

GAAPとは、Generally Accepted Accounting Principlesの略です。

これは、「ぎゃーぷ」と読みます。

日本語にすれば、「一般に公正妥当と認められた企業会計の基準」となります。

これも、レプワラやコベナンツと同様に、M&A契約でよく使われる表現です。

 

具体的には、買収の対象となる会社の財務諸表はGAAPに従って作成されることを求められます。

 

買収価格の調整との関係

GAAPは、特に、買収価格の調整において重要となります。

買収金額は、M&A契約締結時とクロージング時の正味運転資本(Net Working Capital)純有利子負債(Net Debt)を比較して行われます。

これは、具体的には、両方の時点における財務諸表(特に貸借対照表=balance sheet)を見比べることで行われます。

契約締結時(基準日) クロージング時
正味運転資本 A B
純有利子負債 C D

例えば、上記のような場合には、価格調整額は、(B-A)-(D-C)となります。

(正味運転資本が増加する分、価格は上乗せされ、純有利子負債が増加する分、価格は減額される)

 

ここで、同じ会社の財務状況について、異なる会計基準を用いると、異なる財務諸表が作られることになります。こうなると、適切な比較ができなくなります。

 

そこで、両方の時点における財務諸表を作成する際に適用する会計基準を契約書に明記することになります。そうすれば、適切な比較が可能となります。

注意事項

ここで、例えば、「日本のGAAPに従う」とか、「米国のGAAPに従う」とするだけでは、実は不十分です。

 

というのも、日本のGAAPといっても、それだけで「唯一のもの」を意味することにはならないからです。GAAPは幅のあるものなのです。

 

そこで、契約書には、クロージング時に作成される財務諸表は、どこの国のGAAPであるかを定めると同時に、契約締結時(基準時)に作成される財務諸表と同一の会計基準に基づいて作成される旨を明記しておくことが重要です。

 

そうしないと、例えば、契約締結時には買収の対象となる会社にそれまで適用されてきたGAAPに基づく財務諸表が作られ、一方、クロージング時には、買主に適用されてきたGAAPに基づく財務諸表が作られる、ということになりかねません。

そして、この場合、適切に比較を行うために、どちらかの基準に合わせて一方の財務諸表を作成し直さなければならないことになりかねません。

こうなると、買主と売主間で紛争に発展しえます。

M&A契約(株式譲渡契約)の全体像とよく使われる重要英単語

M&Aの全体像 conditions precedent adjustment
representations and warranties material adverse effect to the knowledge of ~
GAAP covenants

 

目次
第1回 義務 第10回 ~に関する 第19回 知らせる
第2回 権利 第11回 ~の場合 第20回 責任
第3回 禁止 第12回 ~の範囲で、~である限り 第21回 違反する
第4回 ~に定められている、~に記載されている 第13回 契約を締結する  

第22回 償還する

第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足) 第14回 契約締結日と契約発効日 第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD)
第6回 ~に従って 第15回 事前の文書による合意 第24回 故意・重過失
第7回 ~に関わらず 第16回 ~を含むが、これに限らない 第25回 救済
第8回 ~でない限り、~を除いて 第17回 費用の負担 第26回 差止
第9回 provide 第18回 努力する義務 第27回 otherwise

 

 

第28回 契約の終了

第38回 権利を侵害する 第48回 遅延利息
 

第29回 何かを相手に渡す、与える

第39回 保証する 第49回 重大な違反
 

第30回 due

第40回 品質を保証する 第50回 ex-が付く表現
第31回 瑕疵が発見された場合の対応 第41回 補償・品質保証 第51回 添付資料
第32回 ~を被る 第42回 排他的な 第52回 連帯責任
第33回 ~を履行する 第43回 第53回 ~を代理して
第34回 果たす、満たす、達成する 第44回 第54回 下記の・上記の
第35回 累積責任 第45回 瑕疵がない、仕様書に合致している 第55回 強制執行力
第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害を表す表現 第46回 証明責任 第56回 in no event
第37回 補償・免責 第47回 indemnifyとliableの違い 第57回 for the avoidance of
 
第58回 無効な 第68回 representations and warranties
第59回 whereについて 第69回 material adverse effect
第60回 in which event, in which case 第70回 to the knowledge of
第61回 株主総会関係 第71回 GAAP
第62回 取締役・取締役会関係 第72回 covenants
第63回 indemnifyとdefendの違い
第64回 Notwithstandingと責任制限条項
第65回 M&Aの全体の流れ
第66回 conditions precedent
第67回 adjustment

 

上記のM&A関係については、本郷塾が出版している参考書『「重要英単語と例文」で英文契約の読み書きができる』にて例文付きで詳しく解説しております!ぜひ、書店さんなどでお手に取ってみてください!

 - 英文契約の基本的な表現の習得