英文契約書の中で、「~に関する」とは?

      2022/06/15

 

 

今回は、「~に関する」という表現をご紹介します。

 

この表現は、たくさんあります。

 

具体的には、以下のようなものがあります(他にもあります)。

 

  • in respect of
  • with respect to
  • in regard to
  • with regard to
  • regarding
  • in connection with
  • concerning
  • as to
  • pertain to
  • on
  • about

 

随分ありますよね。

 

こんなにあると、その使い分けがあるのだろうか?と心配になります。

 

この点、私は、上記の表現の使い分けは、英文契約の中で特段なされていないと思います。

 

以前ご紹介させていただいた「~に定められている」や「~に従って」という表現と同様に、契約書をドラフトする人によって、どの表現を好んで使うか、といった、好みの問題であるように思います。

 

なお、plain Englishの観点からは、aboutやonが奨励されているようですが、特にaboutが「~に関する」の意味で英文契約書に中で使われていることは少ないように私は感じます。

 

ちなみに、私は、「~に関する」を英文契約書で書く場合には、regardingをよく使います。

 

ご参考に、Oxford英英辞典で調べた上記の表現の意味を以下に記載します。これをみると、これらの間に差はないように感じます。

 

表現 英英辞典における定義
in respect of concerning
with respect to concerning
in regard to concerning
with regard to concerning
regarding concerning
in connection with for reasons connected with something or somebody
concerning about something
as to used when you are referring to something
pertain to to be connected with something or somebody
on about something
about in connection with somebody/something

 

以下に、この「~に関する」という表現が英文契約書中でどのように使用されているのかについての具体例を3つほど列挙いたしますのでご参考ください。

 

  • the obligation with regard to the performance guarantee

訳:性能保証に関する義務

  • as emergency arising in connection with the execution of the Work

訳:仕事の履行に関して生じる緊急事態

  • the Seller’s liability with respect to the Seller’s failure

訳:売主の債務不履行に関する売主の責任

 

目次
第1回 義務 第10回 ~に関する 第19回 知らせる
第2回 権利 第11回 ~の場合 第20回 責任
第3回 禁止 第12回 ~の範囲で、~である限り 第21回 違反する
第4回 ~に定められている、~に記載されている 第13回 契約を締結する  

第22回 償還する

第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足) 第14回 契約締結日と契約発効日 第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD)
第6回 ~に従って 第15回 事前の文書による合意 第24回 故意・重過失
第7回 ~に関わらず 第16回 ~を含むが、これに限らない 第25回 救済
第8回 ~でない限り、~を除いて 第17回 費用の負担 第26回 差止
第9回 provide 第18回 努力する義務 第27回 otherwise

 

 

第28回 契約の終了

第38回 権利を侵害する 第48回 遅延利息
 

第29回 何かを相手に渡す、与える

第39回 保証する 第49回 重大な違反
 

第30回 due

第40回 品質を保証する 第50回 ex-が付く表現
第31回 瑕疵が発見された場合の対応 第41回 補償・品質保証 第51回 添付資料
第32回 ~を被る 第42回 排他的な 第52回 連帯責任
第33回 ~を履行する 第43回 第53回 ~を代理して
第34回 果たす、満たす、達成する 第44回 第54回 下記の・上記の
第35回 累積責任 第45回 瑕疵がない、仕様書に合致している 第55回 強制執行力
第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害を表す表現 第46回 証明責任 第56回 in no event
第37回 補償・免責 第47回 indemnifyとliableの違い 第57回 for the avoidance of
 
第58回 無効な 第68回 representations and warranties
第59回 whereについて 第69回 material adverse effect
第60回 in which event, in which case 第70回 to the knowledge of
第61回 株主総会関係 第71回 GAAP
第62回 取締役・取締役会関係 第72回 covenants
第63回 indemnifyとdefendの違い
第64回 Notwithstandingと責任制限条項
第65回 M&Aの全体の流れ
第66回 conditions precedent
第67回 adjustment

 

英文契約の基本的な表現

Shall

 

~に定められている

 

「~に定められている」の補足

 

Notwithstanding

 

~を除いて、~でない限り

 

~に従って

 

~に関する

 

~の場合

 

Whereについて

 

~の範囲で

 

例示列挙の方法

 

事前の文書による同意と承認

 

契約締結日と発効日

 

LDとpenaltyの違い

 

Gross negligenceと結果の重大性

 

間接損害(indirect damage)と逸失利益(loss of profit)の違い

 

知らせる

 

Liquidated damages

 

Otherwise

 

~を被る

 

~を履行する

 

累積責任

 

~を補償する、免責する

 

Indemnifyとbe liableの違い

 

~を保証する(guarantee)

 

遅延利息

 

Warranty

 

排他的な

 

to one’s knowledge/to the knowledge of

 

Material adverse effect

 

Covenants

 

Representations and warranties

 

Notwithstandingと責任制限条項

 

Indemnifyとdefend

 

取締役・取締役会関係の単語

 

株主総会関係の単語

 

添付資料

 

連帯責任

 

下記の、上記の

 

一般条項(Notice)

 

一般条項(Term)

EPC契約のポイント(『英文EPC契約の実務』で解説している事項の一部です)

 

スコープオブワーク

 

EPC契約の契約金額の定め方と追加費用の扱い

 

コストプラスフィーの注意点

 

ボンドについて

 

前払金返還保証ボンド

 

履行保証ボンド

 

契約不適合責任ボンド

 

リテンションボンド

 

仕様変更

 

プラントの検収条件と効果

 

納期遅延①

納期遅延②

納期遅延③

納期遅延④

納期遅延LDの決め方(発電所建設の一例)

 

Time is of the Essenceとは?

 

性能未達LD

 

EPC契約における保険

 

責任制限①

責任制限②

 

対価をとりっぱぐれるリスクへの対処法

 

プロジェクトファイナンス

 

コンソーシアム契約

 

Delay Analysis関係

必要な立証の程度(balance of probabilities)

 

フロート

 

同時遅延

 

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これから法律・契約について勉強し始める社会人が陥りやすい勘違い

 

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メンター(教育係)に初めてなる人へ①

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歴史の本の紹介

 - 英文契約の基本的な表現の習得