英文契約書の中によく出てくるshallってどんな意味?

      2022/05/23

英文契約中のshallの意味は?

 

では、早速ですが、以下の英文を日本語に訳すとどうなるでしょうか?

 

The Company A shall keep any information disclosed by Company B in confidence.

 

ちなみに、「disclose」は、「~を開示する」、「confidence」は「秘密」という意味です。

 

とすると、上記の英文は、

「カンパニーAは、カンパニーBから開示された情報を、秘密として保持・・・。」

 

おそらく、「shall」の意味がわかればこの英文を完璧に訳すことができる、という方は多いのではないでしょうか。

 

では、この「shall」の意味は何だと思いますか?

 

答えは、「義務」を意味します。つまり、上記の英文は、「カンパニーAは、カンパニーBから開示された情報を秘密として保持しなければならない。」となります。

 

「「義務」って、「must」じゃないの?」

 

「「shall」って、よく見る表現である「Shall we dance?」から考えるに、何か誘うような場合に使う表現なのでは?」

 

こう思う方は多いのではないでしょうか。

 

確かに、英文契約書の中で助動詞として「must」が使用されていれば、それは「義務」を意味すると考えてほぼ間違いないでしょう。

 

しかし、契約書中で「義務」を表す表現として最も多く使われるのは、「shall」なのです。

英和辞典中のshallの記載

 

ためしに今、仕事の関係で何らかの英文契約書がパソコン上に保存されている方は、それを開いてshallで検索してみてください。おそらく、かなりの数がヒットすることになると思います。逆に、その同じ契約書で、「must」で検索をかけてみてください。おそらく、意外にも、1個か2個程度しかヒットしないはずです。

 

ここで、大学受験向けの英和辞典としてよく使われている「ジーニアス」で「shall」を引くと、上から順に、以下のように意味が記載されています。

 

①    「提案・申し出」

②    「単純未来」

③    「意志未来」

④    「話し手の意志」

 

そして5つ目の意味としてようやく、「義務:・・・しなければならない」と出てきます。

きっと多くの方は、受験時代に、「単語の意味を調べるときは、一つの意味を確認して満足するのではなく、その下にあるいくつかの意味も確認する癖をつけるようにね」と英語の先生から言われた経験があるかと思いますが、まさか5つ目の意味まで毎回確認するようにしていた人はそう多くはないでしょう。なので、この「shall」の意味を知らなかったからといって、全くおかしなことではありません。むしろ、契約書を読んだこともないのにこの意味をご存じの方がいらっしゃるなら、それはものすごいことです。

 

ただ、英文契約書においては、これまで普通に英語を勉強していた過程ではなかなか出会わなかったような意味で使用される文言があります。ただでさえ難解な英文契約書において、そこで使用されている文言の意味が、それまで自分が出会った意味と異なる意味であるとなると、ますます読むのが苦しくなりますよね。

 

しかし、実はそのような厄介な文言の数は、私たちがこれまでに覚えた英単語の数に比べれば、一部に過ぎません。そのような文言を覚えていけば、英文契約書はこれまでよりもずっと読みやすいものになると思いますので、今後は、そのような文言を中心に、毎週少しずつ解説をさせていただきたいと思っています。

 

ちなみに、次回は「義務」の対概念である、「権利」を表現するために英文契約書中でよく使用される文言をご紹介したいと思います。

 

どんな文言か予想できますでしょうか?ヒントは、「権利」とは、つまり、「~できる」という意味を持つ助動詞です。


おそらく、多くの方々は、「「~できる」なら、あの表現しかない!」と思われて、ある助動詞を頭に思い浮かべられただろうと思いますが・・・。

 

ご参考~willshallについて~

契約書中では、「will」も義務を表すために使用されることがあります。ここで、一つの契約書の中で、shallとwillが混在して使用されていると、「shallではなく、あえてwillと記載されているということは、ここのwillは義務ではなく、未来を意味しているのか?」という疑義が生じ得ます。また、相手方がドラフトしてくる契約書において、相手方の義務をwill、こちらの義務をshallと書いてくる場合もあります。このような場合には、willをshallに修正した方がよいでしょう。

 

また、一般的に言えば、mustは、物が主語になる場合に使用されるべきものです。なお、物が主語になっている条文では、当然、義務を負うのは物である主語ではなく、別の者(人であったり会社であったりします)になりますので、誰が義務者となるのかを明確にしておくことが重要です。

 

その他の義務を表す表現

・be requird to do ~することを求められている→~する義務がある

・be obliged to do

・agree to do ~することを合意する→合意したのだから、「~する義務がある」ということになります。

上記のように色々な表現があり得るものの、shallが一語で済むので、一番簡単に使える表現です。

英文契約の基本的な表現

Shall

 

~に定められている

 

「~に定められている」の補足

 

Notwithstanding

 

~を除いて、~でない限り

 

~に従って

 

~に関する

 

~の場合

 

Whereについて

 

~の範囲で

 

例示列挙の方法

 

事前の文書による同意と承認

 

契約締結日と発効日

 

LDとpenaltyの違い

 

Gross negligenceと結果の重大性

 

間接損害(indirect damage)と逸失利益(loss of profit)の違い

 

知らせる

 

Liquidated damages

 

Otherwise

 

~を被る

 

~を履行する

 

累積責任

 

~を補償する、免責する

 

Indemnifyとbe liableの違い

 

~を保証する(guarantee)

 

遅延利息

 

Warranty

 

排他的な

 

to one’s knowledge/to the knowledge of

 

Material adverse effect

 

Covenants

 

Representations and warranties

 

Notwithstandingと責任制限条項

 

Indemnifyとdefend

 

取締役・取締役会関係の単語

 

株主総会関係の単語

 

添付資料

 

連帯責任

 

下記の、上記の

 

一般条項(Notice)

 

一般条項(Term)

EPC契約のポイント(『英文EPC契約の実務』で解説している事項の一部です)

 

スコープオブワーク

 

EPC契約の契約金額の定め方と追加費用の扱い

 

コストプラスフィーの注意点

 

ボンドについて

 

前払金返還保証ボンド

 

履行保証ボンド

 

契約不適合責任ボンド

 

リテンションボンド

 

仕様変更

 

プラントの検収条件と効果

 

納期遅延①

納期遅延②

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納期遅延LDの決め方(発電所建設の一例)

 

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