英文契約の基本的な表現 第39回 保証する (guarantee)

      2022/05/23

37回では、「補償する」という表現をご紹介しました。

 

読みは同じですが漢字が異なる「保証」という言葉があります。

 

そしてこの「保証する」には、2つの意味があります。

 

一つは、「何かを確約する」という意味の「保証」です。

 

これは、例えば、「製品に欠陥がないことを保証する」という、いわゆる瑕疵担保責任で使われる用語です。

 

もう一つは、「保証債務を負う」という意味の「保証」です。

 

これは、みなさんがアパートを借りる場合に、両親にみなさんの賃貸料金支払い債務についての保証人になってもらった人が多いと思いますが、その保証です。

 

今回ご紹介するのは、2つめの「保証」、つまり、保証債務を負う場合の「保証」についてです。

 

 

保証債務を負うことになる場合

 

保証債務を負う場合の「保証」は、英文契約の中で頻出かと言われると、さほど頻出ではありません。

 

企業間でよく締結される契約である秘密保持契約や、売買契約といった契約の中で、保証債務についての条文は定められないのが通常だからです。

 

しかし、海外に子会社を持っている企業では、この保証は結構馴染みがあるのではないでしょうか。

 

例えば、海外の子会社が銀行からお金を借りる場合、つまり、融資を受ける場合には、その親会社が、子会社の返済債務について保証することがありますよね。

 

このように、親会社が子会社の債務を保証する場合を特に、親会社保証と呼びます。

 

銀行に対して親会社保証をする場合の方が、子会社は低金利で融資を受けられるのが一般的です。なぜなら、例え子会社が返済できなくなった場合でも、その親会社が代わりに返済することになっている方が、銀行が返済を受けられないリスクが減るので、その分金利を低く設定できるからです。

 

親会社保証が使われる他の場面としては、例えば、海外の子会社が海外でプラント建設等の比較的大きな案件を請け負った場合に、オーナー(プラント建設契約における注文者)は、請負人である子会社の親会社から、子会社の債務不履行の場合に備えて、親会社保証を提出するように求める、というものもあります。

 

このように、秘密保持契約や売買契約においては、保証債務についての条文は定められていないことが一般的ですが、上記のような融資や大型案件の場合に、保証債務を負う場合が多いと思います。

 

 

保証債務を負う場合の「保証」を表す表現

 

この場合の保証は、guaranteeという表現を使います。

 

特に親会社保証は、parent guaranteeと言います。

 

なお、「保証する」という動詞も、guaranteeです。

 

※もっとも、このguaranteeは、最近では、保証債務の場合に限らず、製品が仕様に合致していることを確約する際の「保証」の意味(つまり、上述の一つ目の保証の意味)で使われることもあるようです。

 

 

guaranteeについての注意点

 

時々、海外の子会社が、取引先からある文書を渡され、それに親会社の署名を得た上で提出するように求められることがないでしょうか?

 

その文書を見ると、どこにも、guaranteeという表現は使われていません

 

しかし、その文書の中身をよく読んでみると、「親会社は、子会社がこの契約を確実に遂行することを確認する」といったことが書かれているのです。

 

これは、親会社保証に当たるのでしょうか?

 

この点、タイトルに「parent guarantee」と書いてなければ、それは親会社保証ではない、という人が時々います。

 

しかし、それは間違いです。

 

契約書や誓約書の類は、その文書のタイトルはその法的拘束力と何ら関係ありません。

 

よって、タイトルからは到底親会社保証であるとわからないような文書でも、親会社保証となりえます。

 

一方、その文書の中にguaranteeという表現がないから、これは親会社保証ではない、と考える人もいます。

 

こちらも間違いです。

 

確かに、保証債務を負う場合の保証する、という表現には、guaranteeを使うべきです。しかし、この表現でない限り、保証債務を負うことにならない、というわけではないのです。

 

要は、実質的な中身が保証債務と判断されるものかどうか、という点が判断基準になります。

 

上記に書いたような「親会社は、子会社がこの契約を確実に遂行することを確認する」という文言がある文書に親会社が署名して相手方に提出した場合、それは、保証債務を負う誓約書である、と裁判所に判断される可能性は大す。

 

したがって、上記のような文書の提出を子会社がその客先から求められた場合には、その中身をよく検討し、ときには客先からその文書の利用目的等を確認し、不要な文書は親会社から出さないようにするようにするべきです。

 

あるいは、そのような文書を提出する場合には、親会社の社内においては、「これは保証債務を負うことになるんだ」という認識に下で、適切に社内で「保証債務を負う際に必要となる社内承認」を取るようにするべきです。この手続きを取らずに、「これは保証ではないだろう」と軽く考えて客先に提出後、子会社がその契約を履行できなくなったときに「あれは保証だった」ということになると、親会社社内でも、「どうしてそんな文書を社内承認も得ずに提出したのだ!」ということになり、最後は社内承認を取らずにその文書を提出した部門の長の責任問題に発展することにもなり得ます

英文契約の基本的な表現

Shall

 

~に定められている

 

「~に定められている」の補足

 

Notwithstanding

 

~を除いて、~でない限り

 

~に従って

 

~に関する

 

~の場合

 

Whereについて

 

~の範囲で

 

例示列挙の方法

 

事前の文書による同意と承認

 

契約締結日と発効日

 

LDとpenaltyの違い

 

Gross negligenceと結果の重大性

 

間接損害(indirect damage)と逸失利益(loss of profit)の違い

 

知らせる

 

Liquidated damages

 

Otherwise

 

~を被る

 

~を履行する

 

累積責任

 

~を補償する、免責する

 

Indemnifyとbe liableの違い

 

~を保証する(guarantee)

 

遅延利息

 

Warranty

 

排他的な

 

to one’s knowledge/to the knowledge of

 

Material adverse effect

 

Covenants

 

Representations and warranties

 

Notwithstandingと責任制限条項

 

Indemnifyとdefend

 

取締役・取締役会関係の単語

 

株主総会関係の単語

 

添付資料

 

連帯責任

 

下記の、上記の

 

一般条項(Notice)

 

一般条項(Term)

EPC契約のポイント(『英文EPC契約の実務』で解説している事項の一部です)

 

スコープオブワーク

 

EPC契約の契約金額の定め方と追加費用の扱い

 

コストプラスフィーの注意点

 

ボンドについて

 

前払金返還保証ボンド

 

履行保証ボンド

 

契約不適合責任ボンド

 

リテンションボンド

 

仕様変更

 

プラントの検収条件と効果

 

納期遅延①

納期遅延②

納期遅延③

納期遅延④

納期遅延LDの決め方(発電所建設の一例)

 

Time is of the Essenceとは?

 

性能未達LD

 

EPC契約における保険

 

責任制限①

責任制限②

 

対価をとりっぱぐれるリスクへの対処法

 

プロジェクトファイナンス

 

コンソーシアム契約

 

Delay Analysis関係

必要な立証の程度(balance of probabilities)

 

フロート

 

同時遅延

 

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 - 英文契約の基本的な表現の習得