英語の契約書でprovided in/specified in/set forth inとは?
英語の契約書を読んでいると、provided inやspecified inといった表現がよく出てきますよね。
この表現の意味は、「~に定められている」です。
英語の契約書の中でこの「~に定められている」を意味する表現は、他にもいくつかあります。
それらを併せて押さえておくと、英語の契約書を読む際に、辞書を引く回数を減らすことができるので、以下の例文を読みながらしっかり理解しましょう。
なお、動画でも解説しておりますので、こちらもご覧ください。
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1.provided inやspecified inが使われる場面
以下ように、「~に定められている」「~に記載されている」という意味でこれらの表現が用いられます。
- the payment terms provided in Article 5 of this Agreement
(本契約の第5条に定められている支払い条件)
- the criteria specified in the Specifications
(仕様書に記載されている基準)
2.併せて押さえておきたい類義語
provided inやspecified inと同じ意味で使われる表現には、以下のようなものがあります。
- set forth in
the period set forth in this Contract
(この契約書に定められている期間)
- set out in
payment schedule set out in Appendix 5
(添付資料5に定められている支払スケジュール)
- described in
any test described in this Contract
(この契約に定められている試験)
- prescribed in
the conditions prescribed in Article 6
(第6条に定められている条件)
- stipulated in
interest stipulated in Article 12.3
(第12.3条に定められている利息)
- stated in
all the conditions stated in Article 11
(第11条に定められている全ての条件)
このように、表現は色々あるものの、どれも、「~に定められている系」だと覚えておいていただければ、英語の契約書を読む際に役に立つと思います。
ちなみに私は、自分で英文を書く場合に、「~に定められている」や「~に記載されている」と表したい場合には、specified inかset forth inを使うと決めています。そのように決めておくと、いざ自分でドラフトするときに、迷わずに済みます。
3.「…written in~」ではダメなのか?
「こんなに色々な表現を使うことが許されるなら、「~に書かれた」という意味になりそうな…written in~でもよいのでは?」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、契約書中で「~に定められた系」として…written in~という表現が使用されているのを私はこれまでに一度も見たことがありません。それはなぜか?
実は …written in~は、「~に書かれた」という意味にはならないようなのです。
といいますのも、ここで使用される“in”は、書く「方法」や「手段」を表すinとして使用されるもののようです。
つまり、…written in Englishであれば、「英語で書かれた…」という意味になり、…written in inkであれば、「インクで書かれた…」という意味になります。
したがって、「~に定められた系」の表現として、…written in~は使われないようです(「written in は「~に書かれた」という意味には絶対になりません!」と断言できなくて申し訳ありません)。
なお、writtenが契約書中に使用される場合としては、以下のようなものがあります。
written agreement 書面による合意
written consent 書面による同意
written notice 書面による通知
4.ご参考~Oxford現代英英辞典[第9版]における各表現の意味~
以下に、「~に定められている」「~に記載されている」という意味を表すときに使う表現について、Oxford現代英英辞典で調べた意味を記載しますので、ご参考ください。
表現 | Oxford現代英英辞典[第9版]での意味 | |
specify | to state something, especially by giving an exact measurement, time, exact instructions, etc. | ~に定められる系の意味でのspecify provide
stipulateそしてprescribeはsynonym(同じ意味)と記載されています。 |
provide | to state that something will or must happen | |
stipulate | to state clearly and firmly that something must be done, or how it must be done | |
prescribe | to say what should be done or how something should be done | |
state | to formally write or say something especially in a careful and clear way | |
set forth | to present something or make it know | |
define | to describe or show something accurately | |
describe | to say what something is like | |
list | to write a list of things in a particular order |
specify、provide、stipulate、prescribeは他と比較してよりフォーマルな場面で使用されるイメージが伺えますね。
英語の契約書は、以下にあるような「基本的な型」を押さえておくと、今よりもずっと読みやすくなりますので、以下も併せてお読みください。
英文契約を読むなら、まずはこの英文契約の基本的な表現と型を押さえましょう!
英文契約を読む際に、まずこれだけは押さえておくべき!という英文契約の基本的な型を構成する英単語は以下のようなものです。
・shall 義務
・shall not 禁止
・may 権利
・if, when, whereなど、「~の場合」を表す表現
・unlessやexceptなど、「~でない限り」、「~を除いて」を表す表現
・otherwise「別途」を表す表現
・notwithstanding ~にかかわらず
・regarding, in connection with, in respect ofなど「~に関して」を表す表現
・to the extent ~の範囲で
・pursuant to, in accordance withなどの「~に従って」を表す表現
・provided inやspecified inなど、「~に定められている」を表す表現
・however provided that 「ただし」を表す表現
・herein/heretoやthereunder/thereofなど
これを覚えれば英文契約をずっと読みやすくなる!英単語レベル2
3.「~を履行する」
7.「添付資料」
10.「契約の終了」
はじめて契約書を修正する人が知っておくと便利なこと
契約書の修正は、どんな場合にするの?修正理由はどう書けばいい?
そんなお悩みを解決するのがこちらの記事です。→「はじめて契約書の修正をする際に知っておきたいこと」
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