英文契約書においてmake, enter into, conclude, executeとはどんな意味?
2020/01/30

make
この英単語を見たときに、真っ先に思いつく意味はなんでしょうか?
「作る」
こう思った人がほとんどではないでしょうか。
では、enter intoという表現を見た場合はいかがでしょうか?
「~の中に入る」
と思ったでしょうか?
さらに、concludeはいかがでしょうか。
少し難しいかもしれませんが、私のもっている英和辞典を引くと、「結論付ける」という意味が最初に記載されているようです。
では、最後に、executeはどうでしょうか?
これは、「死刑を執行する」という意味が思い浮かぶ方もいるかと思います。
実は、今列挙した4つの英語は、契約書の中では、ある一つの意味を表すために使われているのですが、何かわかりますでしょうか?
すごく意外な意味ではないでしょうか。
しかし、例えば、makeは「作る」が一般的によく知られている意味ですが、契約書を作ることは、契約を締結すること、と近い意味があるように思えますよね。
また、concludeは、「結論付ける」という意味が一般的によく知られた意味ですが、契約条件を相手方と協議して、結論に至るということは、つまり、契約を結ぶ状態になる、ということですので、concludeが契約を締結する、という意味を持っているというのも納得できるような気がします。
「契約を締結する」という意味を表したい場合には、この4つの表現のどれを使っても構いません。私の経験では、このmake, enter into, conclude, そしてexecuteの中で、「契約を締結する」という意味で頻繁に使われているのは、makeとenter intoではないかと思います。
例えば、契約書の一番初めは、以下のような英文で始まっていることが多いです。
“This Agreement made and entered into between Company A, a corporation duly organized and existing under the laws of Japanese, having its principle office at …and Company B, a corporation duly organized and existing under the laws of the State of Delaware, having its principle office at …”
これは、「Company AとCompany Bとの間で締結されたこの契約は・・・」という、契約書の一般的な書き出しの部分です。ここでは、makeとenter intoが過去分詞の形になり、This Agreementを修飾する形になっています。
ちなみに、ここの表現は、よりシンプルに、madeまたはentered intoのどちらか一方を削除して記載してもよいです。
“entered into”を削除すると、以下のようになります。
“This Agreement made between Company A, a corporation duly organized and existing under the laws of Japan, having its principle office at …and Company B, a corporation duly organized and existing under the laws of the State of Delaware, having its principle office at・・・”
目次 | ||
第1回 義務 | 第10回 ~に関する | 第19回 知らせる |
第2回 権利 | 第11回 ~の場合 | 第20回 責任 |
第3回 禁止 | 第12回 ~の範囲で、~である限り | 第21回 違反する |
第4回 ~に定められている、~に記載されている | 第13回 契約を締結する |
第22回 償還する |
第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足) | 第14回 契約締結日と契約発効日 | 第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD) |
第6回 ~に従って | 第15回 事前の文書による合意 | 第24回 故意・重過失 |
第7回 ~に関わらず | 第16回 ~を含むが、これに限らない | 第25回 救済 |
第8回 ~でない限り、~を除いて | 第17回 費用の負担 | 第26回 差止 |
第9回 provide | 第18回 努力する義務 | 第27回 otherwise |
第28回 契約の終了 |
第38回 権利を侵害する | 第48回 遅延利息 |
第29回 何かを相手に渡す、与える |
第39回 保証する | 第49回 重大な違反 |
第30回 due |
第40回 品質を保証する | 第50回 ex-が付く表現 |
第31回 瑕疵が発見された場合の対応 | 第41回 補償・品質保証 | 第51回 添付資料 |
第32回 ~を被る | 第42回 排他的な | 第52回 連帯責任 |
第33回 ~を履行する | 第43回 | 第53回 ~を代理して |
第34回 果たす、満たす、達成する | 第44回 | 第54回 下記の・上記の |
第35回 累積責任 | 第45回 瑕疵がない、仕様書に合致している | 第55回 強制執行力 |
第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害を表す表現 | 第46回 証明責任 | 第56回 in no event |
第37回 補償・免責 | 第47回 indemnifyとliableの違い | 第57回 for the avoidance of |
第58回 無効な | ||
第59回 whereについて | ||
第60回 in which event, in which case | ||
第61回 株主総会関係 | ||
第62回 取締役・取締役会関係 | ||
【私が勉強した参考書】