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英文契約書の基本的な表現 第33回 「~を履行する」

      2018/11/23

「~を履行する」という表現が英文契約書の中で使われる場面

 

契約書は、当事者間の権利義務を定める文書です。

 

特に「義務」を中心に定められています。

 

その義務を行うことを、契約では、「義務を履行する」と言います。

 

よって、「~を履行する」という表現は、具体的には、「義務を履行する」という形で、以下のように使われます。

 

 

「当事者Aは、本契約に従い、自己の義務を履行しなければならない。」

 

「当事者Aが、本契約上の義務を履行するのが遅れた場合には、それによって当事者Bに生じた損害を賠償しなければならない。」

 

「当事者Aが本契約上の義務を履行することができない場合には、当事者Bは本契約を解除することができる。」

 

 

「~を履行する」という表現

 

この「~を履行する」という意味を表すために英文契約で使われる表現は、以下の4が主なものです。

 

  • perform

 

  • execute

 

  • carry out

 

  • conduct

 

なお、上記4つの表現の使い分けは特にありませんが、私がこれまで見てきた英文契約書において最もよく使われていたのは、performだと思います。

 

いくつか例文を見てみましょう。

 

 

The Contractor shall perform its obligation under this Agreement.

 

訳:コントラクターは、本契約に基づく義務を履行しなければならない

 

 

If the Contractor fails to perform the obligation under this Agreement, the Owner is entitled to terminate this Agreement by giving the written notice to the Contractor.

 

訳:もしもコントラクターが本契約に基づく義務を履行しなかった場合には、オーナーはコントラクターに書面の通知を提出することによって本契約を解除することができる。

 

 

ちなみに、「義務を履行する」を、do the obligationと書くことはまずありません。

 

 

また、英文契約書では、抽象的に「義務を履行する」という表現よりも、より具体的な表現で義務を定めるのが一般的です。

 

例えば、売主には、「製品を引き渡す義務」がありますが、このときは、

 

The Seller shall deliver the Product to the Purchaser.

 

と書きます。

 

deliverが義務の具体的な内容なので、この場合にはperformとかexecuteといった表現は使いません。

 

つまり、「~を履行する」という表現は、抽象的に「義務を行う」と書く場面で使われる表現なのです。

 

ちなみに、「権利を行使する」という場合には、上記の4つの表現は使わず、exerciseという表現を使います。

 

The Purchaser is entitled to exercise the right under this Agreement.

訳:買主は、本契約に基づく権利を行使することができる。

 

このように「義務」と「権利」とで異なる表現が使われるのは、「義務」はあることを「遂行する」もの、「やり通す」ものであるのに対し、「権利」は、「使う」もの、「行使する」ものである、という違いがあるからだと思います。

 

整理すると、以下のようになります。

 

義務の場合は、performexecutecarry outconduct

権利の場合は、exercise

 

 

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目次

第1回 義務

第2回 権利

第3回 禁止

第4回 ~に定められている、~に記載されている

第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足)

第6回 ~に従って

第7回 ~に関わらず

第8回 ~でない限り、~を除いて

第9回 provide

第10回 ~に関する

第11回 ~の場合

第12回 ~の範囲で、~である限り

第13回 契約を締結する

第14回 契約締結日と契約発効日

第15回 事前の文書による合意

第16回 ~を含むが、これに限らない

第17回 費用の負担

第18回 努力する義務

第19回 知らせる

第20回 責任

第21回 違反する

第22回 償還する

第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD)

第24回 故意・重過失

第25回 救済

第26回 差止

第27回 otherwise

第28回 契約の終了

第29回 何かを相手に渡す、与える

第30回 due

英文契約書の基本的な表現 第31回 英文契約書における「瑕疵(defect)」が発見された場合の救済方法の表現

英文契約の基本的な表現 第32回 「~を被る」という表現

英文契約書の基本的な表現 第33回 「~を履行する」

英文契約の基本的な表現 第34回 果たす、満たす、達成する

英文契約の基本的な表現 第35回 累積責任

英文契約の基本的な表現 第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害についての表現

英文契約の基本的な表現 第37回 補償する・免責する

英文契約の基本的な表現 第38回 権利を侵害する

英文契約の基本的な表現 第39回 保証する (guarantee)

英文契約の基本的な表現 第40回 品質を保証する(warranty)

英文契約の基本的な表現 第41回 補償・保証債務の負担・品質の保証の表現のまとめ

英文契約の基本的な表現 第42回 「排他的な」という表現 その1

第43回 「排他的な」を表す表現 その2 他社と組まない

第44回 「排他的な」を表す表現 その3 唯一の責任・救済

英文契約の基本的な表現 第45回 売買・請負契約の保証に関する条文における「瑕疵がない」「仕様書に合致している」という表現

英文契約の基本的な表現 第46回 証明責任

 

 

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