契約不適合責任ボンド
瑕疵担保保証ボンド(現在は、瑕疵担保という言葉がなくなったので、契約不適合責任ボンドとなりました)
瑕疵担保保証ボンドとは、保証期間中に納入された製品(ここではプラントを想定しています)に発見された瑕疵のコントラクターによる修理・交換を保証するものです。
保証期間中に瑕疵が発見されたら、コントラクターはそれを修理・交換する義務があります。
その義務をコントラクターが適切に履行しない場合に、オーナーはこの瑕疵担保保証ボンドを没収することで、その損害を補填することができます。
瑕疵担保保証ボンドの保証金額
瑕疵担保保証ボンドの保証金額は、案件によって異なりますが、一つの目安として、履行保証ボンドの保証金額の半分程度にしてもらうべきだと思います。
というのも、一度プラントが検収されれば、その後瑕疵が発見されて、オーナーに損害が生じるリスクは、プラントが無事に検収されないリスク(プラントが完成しないリスク)よりは、はるかに小さいと一般的には言えるからです。
つまり、履行保証ボンドが対象としているリスクよりも、瑕疵担保保証ボンドが対象とするリスクの方がずっと小さいはずなので、保証金額も半額程度でよいのではないか、と思います。そして、実際そのような扱いになっているEPC契約が多いです。
よって、もしもEPC契約において、履行保証ボンドと瑕疵担保保証ボンドの保証金額が同じような金額とされている場合には、瑕疵担保保証ボンドの保証金額を減額してもらうようにオーナーと交渉してみるべきだと思います。
瑕疵担保保証ボンドと履行保証ボンドの関係
実は、この瑕疵担保保証ボンドと履行保証ボンドが一体になっているものもあります。
つまり、本来は、履行保証ボンドは、プラントの検収時に、瑕疵担保保証ボンドの差入と引き換えにコントラクターに返還されます。
しかし、履行保証ボンドが、プラントの検収時にコントラクターに返還されず、そのまま瑕疵担保保証の役割を担うように扱われていることも、EPC契約によってはあります。
このように、履行保証ボンドが瑕疵担保保証ボンドの役割も担っている場合には、履行保証ボンドはプラントの検収時にも返還されずにオーナーが持ち続けることになりますが、保証金額は、検収を境に、半額程度に減額されるべきだと思いますので、そのようにオーナーと協議することをお勧めいたします。
瑕疵担保保証ボンドの返還時期
瑕疵担保保証ボンドは、瑕疵担保期間が満了した時点で返還してもらうべきです。この時点で、保証するものがなくなるからです。
もしも返還時期が契約書中に明記されていない場合には、必ず定めるようにしましょう。
ボンドについて(これであなたもボンドマスター!)
・そもそも、ボンドとは?
・瑕疵担保保証ボンド(※民法改正後は、瑕疵担保は契約不適合責任と呼ぶようになったので、現在は「契約不適合ボンド」と呼ぶべきです)
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EPC契約のポイントの目次
【私が勉強した原書(英語)の解説書】
残念ながら、EPC/建設契約についての日本語のよい解説書は出版されておりません。本当に勉強しようと思ったら、原書に頼るしかないのが現状です。
原書で勉強するのは大変だと思われるかもしれませんが、契約に関する知識だけでなく、英語の勉強にもなりますし、また、留学しなくても、英米法系の契約の考え方も自然と身につくという利点がありますので、取り組んでみる価値はあると思います。
EPC/建設契約の解説書 | EPC/建設契約の解説書 | 納期延長・追加費用などのクレームレターの書き方 |
法学部出身ではない人に向けて、なるべく難解な単語を使わずに解説しようとしている本で、わかりやすいです。原書を初めて読む人はこの本からなら入りやすいと思います。 | 比較的高度な内容です。契約の専門家向けだと思います。使われている英単語も、左のものより難解なものが多いです。しかし、その分、内容は左の本よりも充実しています。左の本を読みこなした後で取り組んでみてはいかがでしょうか。 | 具体例(オーナーが仕様変更を求めるケース)を用いて、どのようにレターを書くべきか、どのような点に注意するべきかを学ぶことができます。実際にクレームレターを書くようになる前に、一度目を通しておくと、実務に入りやすくなると思います。 |
納期延長・追加費用のクレームを行うためのDelay Analysisについて解説書 | 海外(主に米国と英国)の建設契約に関する紛争案件における裁判例の解説書 | 英国におけるDelay Analysisに関する指針 |
クリティカル・パス、フロート、同時遅延の扱いに加え、複数のDelay Analysisの手法について例を用いて解説しています。 | 実例が200件掲載されています。実務でどのような判断が下されているのかがわかるので、勉強になります。 | 法律ではありません。英国で指針とされているものの解説です。この指針の内容は、様々な解説書で引用されていますので、一定の影響力をこの業界に及ぼしていると思われます。 |
Society of Construction Law Delay and Disruption Protocol
2nd edition February 2017 |