実務で必要なスキルを24時間どこにいても学べる!

本郷塾で学ぶ英文契約

フロートとは何か?

2024/01/06
 

5月28日(火)開催!『2時間半でわかる!EPC契約の基礎』の概要と受講方法

→EPC契約の初学者の方に向けたセミナーを開催いたします。

営業・技術・法務問わず、EPC契約に関わり始めた方々のお役に立つセミナーです。詳しくは、こちらをご覧ください。

5月31日まで!企業法務部の新人・若手の方々のための英文契約基礎から実践講座

→この春から企業法務に配属された方に向けた英文契約を実務レベルに短期間で引き上げるための講座です。詳しくは、こちらをご覧ください。

この記事を書いている人 - WRITER -
英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
詳しいプロフィールはこちら

前回までは、クリティカルパスについて学びました。

今回は、クリティカルパスと密接な関係を持つ「フロート」について学びましょう!

 

フロートとは?(トータルフロート)・・・「余裕」のこと!

Delay Analysisを行う際に、必ず登場する言葉として、クリティカルパスとフロートというものがあります。これはfloatと書きます。

 

フロートとは何でしょう?webで検索すると、色々な意味が上がってきますが、Delay Analysisで登場する場合のフロートとは、簡単にいえば「バッファ」です。「余裕」といってもよいかもしれません。

 

この点、Delay Analysisの専門書では、フロートを次のように定義しています。

 

“the time by which an activity may be delayed or extended without affecting the total project duration.”

「トータルのプロジェクト期間に影響を及ぼすことなく、ある作業が遅れる、または延長され得る時間」

 

つまり、「工程のどこかの仕事が遅れたとしても、それによって納期が遅れずに済む期間」という意味です。例えば、以下の工程表中にフロートを示します。

いかがでしょう?S2の工程中の仕事bや仕事dが数日遅れても、全体の納期(3カ月目)には全く影響が出ませんよね。この部分がフロートです。

 

こうしてみると、フロートとは、クリティカルパス上には存在せずクリティカルパスではない工程上に存在するものであることがわかります。そして、クリティカルパスではない工程が何らかの理由で遅れると、このフロートは以下の図のようにその分減っていきます。

最終的に全てのフロートが消費された結果、その工程上のフロートがゼロになるとどうなるでしょう?この場合には、フロートがゼロになるまで減ってしまったその工程がクリティカルパスとなるのです。以下の図では、S1とS2の二つがクリティカルパスになります。

では、ここから更にS2の工程が遅れるとどうなるか?それは、以下の図のように、S2のみがクリティカルパスになるのです。そして、これまでクリティカルパスだったS1の工程がクリティカルパスではなくなり、逆にフロートを持つようになります

まず、フロートとは、「納期に遅れを生じさせることなくある仕事を遅らせることができる期間」を指し、それは「クリティカルパスではない工程上にある」という点を理解しましょう。

 

ちなみに、英語では、このフロートが減っていくことを、the float is used、the float is reduced, the float is consumedなどといった表現で表されます。

 

おさらい

ここで、これまでのおさらいです。

納期延長クレームは、どのような遅れが生じた場合にコントラクターがなし得るのか?

それは、クリティカルパスである工程上の仕事が遅れたとき。

なぜなら、そのような遅れの場合にだけ、契約上の納期に影響が出るから。

 

ここで、クリティカルパスではない工程が遅れ、フロート部分が消費される形で遅れが生じている場合には、納期に影響が出ないので、Extension of Time(EOT)、つまり、納期を延長する必要はない。

つまり、コントラクターは納期延長クレームを行うことはできない(行う必要がない)ということになります。

はじめに①一般的なフロー

はじめに②特殊なケース

真の同時遅延の処理方法 立証責任の緩和(Global Claim)
クリティカルパスとは? 納期遅延に伴って生じる追加費用 disruptionとは?
クリティカルパスは時々刻々変化する 本社経費と逸失利益
フロートとは? Delay Analysisとは?
フロートは誰のものか? impacted as-planned analysisの手法
同時遅延とは? 必要な立証の程度(balance of probabilities)

 

2020年6月に本郷塾から出版された『英文EPC契約の実務』は、お陰様で、これまでに出版から6度の増刷となっております。

プラントエンジニアリング業界や建設業界に勤めている多数の方々にご好評いただいております。ありがとうございます!

この本は、

①重要事項についての英語の例文が多数掲載!

②難解な英文には、どこが主語でどこが動詞なのかなどがわかるように構造図がある!

➂もちろん、説もこのブログの記事よりも詳しい!

④EPCコントラクターが最も避けたい「コストオーバーランの原因と対策」について、日系企業が落ちいた事例を用いて解説!

英文契約書の基本的な表現と型も併せて身につけることができる!

ぜひ、以下でEPC契約をマスターしましょう!

 

EPC契約のポイントの目次

Scope of Work ボンドのon demand性を緩和する方法 プラントの検収条件と効果
サイトに関する情報 コントラクターによる仕事の開始時期(納期の起算点)は? 危険の移転時期とその例外
オーナーの義務 仕事の遂行 債務不履行
契約金額の定め方と追加費用の扱い 設計(design)の条文について① 納期延長の場合のコントラクターの責任① 納期延長になる場合
追加費用の負担について 設計(design)の条文について② 納期延長の場合のコントラクターの責任② LD/リキダメ
ボンドについて 仕様変更① 仕様変更とは? 納期延長の場合のコントラクターの責任③ 納期LDの上限
入札保証ボンド 仕様変更② クレーム手続きと仕様書に書かれていない事項 納期延長の場合のコントラクターの責任④ sole and exclusive remedy
前払金返還保証ボンド 仕様変更③ 納期延長と追加費用の金額が合意に至らない場合の扱い 納期延長の場合のコントラクターの責任⑤ 中間マイルストーンLD
履行保証ボンド プラントの試験① 性能未達の場合のコントラクターの責任① 性能保証と性能確認試験
瑕疵担保保証ボンド プラントの試験② 性能未達の場合のコントラクターの責任② 最低性能保証・性能LD
責任制限条項① Limitation of Liability/LOL 不可抗力の扱い③ Force Majeureの効果を得るための手続き 私がEPC契約で真っ先に確認する点③
責任制限条項② 適用される場合と適用されない場合 不可抗力の扱い④ Force Majeureが長期間継続した場合 LOIの何がリスクなのか?
瑕疵担保責任① 総論 法令変更について LOIへの対処法(対外的)
瑕疵担保責任② オーナーの通知義務とコントラクターのアクセス権 契約解除① なぜ解除の理由によって解除の効果が異なるのか? LOIへの対処法(社内的)
瑕疵担保責任③ 保証期間の延長 契約解除② オーナーの義務違反に基づくコントラクターによる契約解除 EPC契約における支払い条件
瑕疵担保責任④ Disclaim(免責)条項 契約解除③ オーナーの自己都合解除
作業中断権① 中断権の存在意義 契約解除④ コントラクターの債務不履行に基づくオーナーによる契約解除
作業中断権② 中断権行使の効果 契約解除⑤ 不可抗力事由が長期間継続した場合
不可抗力の扱い① Force Majeureとは何か? 私がEPC契約で真っ先に確認する点①
不可抗力の扱い② Force Majeureの効果 私がEPC契約で真っ先に確認する点②

 

【私が勉強した原書(英語)の解説書】

残念ながら、EPC/建設契約についての日本語のよい解説書は出版されておりません。本当に勉強しようと思ったら、原書に頼るしかないのが現状です。

原書で勉強するのは大変だと思われるかもしれませんが、契約に関する知識だけでなく、英語の勉強にもなりますし、また、留学しなくても、英米法系の契約の考え方も自然と身につくという利点がありますので、取り組んでみる価値はあると思います。

EPC/建設契約の解説書 EPC/建設契約の解説書 納期延長・追加費用などのクレームレターの書き方
法学部出身ではない人に向けて、なるべく難解な単語を使わずに解説しようとしている本で、わかりやすいです。原書を初めて読む人はこの本からなら入りやすいと思います。 比較的高度な内容です。契約の専門家向けだと思います。使われている英単語も、左のものより難解なものが多いです。しかし、その分、内容は左の本よりも充実しています。左の本を読みこなした後で取り組んでみてはいかがでしょうか。 具体例(オーナーが仕様変更を求めるケース)を用いて、どのようにレターを書くべきか、どのような点に注意するべきかを学ぶことができます。実際にクレームレターを書くようになる前に、一度目を通しておくと、実務に入りやすくなると思います。
納期延長・追加費用のクレームを行うためのDelay Analysisについて解説書 海外(主に米国と英国)の建設契約に関する紛争案件における裁判例の解説書 英国におけるDelay Analysisに関する指針
クリティカル・パス、フロート、同時遅延の扱いに加え、複数のDelay Analysisの手法について例を用いて解説しています。 実例が200件掲載されています。実務でどのような判断が下されているのかがわかるので、勉強になります。 法律ではありません。英国で指針とされているものの解説です。この指針の内容は、様々な解説書で引用されていますので、一定の影響力をこの業界に及ぼしていると思われます。
Society of Construction Law Delay and Disruption Protocol

2nd edition February 2017

 

この記事を書いている人 - WRITER -
英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
詳しいプロフィールはこちら

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Copyright© 本郷塾で学ぶ英文契約 , 2022 All Rights Reserved.