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本郷塾で学ぶ英文契約

英文契約で「権利を侵害する」(infringement)とは?

2024/02/11
 

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英文契約基礎から実践講座

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英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
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今回は、「権利を侵害する」という時に使う「~を侵害する」という表現をご紹介します。

 

実は、この表現は、「第37回 補償する・免責する」でご説明したindemnity/hold harmless条項で取り上げた以下の例文のところで出てきています。

 

The Seller shall indemnify and hold harmless the Purchaser from and against all damages, claims, losses, expenses, including without limitation, reasonable attorney’s fees, made against the Purchaser in respect of the infringement of any patent, trademark, design, utility model, copyright or other industrial property right in connection with the Product.

 

上記の黄色部分の「infringement」が「(権利の)侵害」という意味です。

 

そしてこの動詞が、infringeで「(権利)を侵害する」という意味を持ちます。

 

 

infringeを使う際の注意点

 

このinfringeについて英英辞典を引いてみると、次のようになっています。

 

to break a law or rule

 

つまり、「法律やルールを破る行為」を意味するのです。

 

確かに、上記の例文でも、infringementの対象はany patent, trademark, design, utility model, copyright or other industrial property rightのinfringementとなっており、「法律上の権利の侵害」という文脈で使われていますよね。

 

「~を侵害する」という訳だけを見ると、例えば、人を傷つけたり、製品を損壊したりする行為にもinfringeを使ってもよさそうですが、そうではないのです。infringeは、法律上の権利やルールを侵す場合に使う、と覚えておいてください。

 

実際、英文契約書に中で、このinfringeが使われるのは、上記で示した第三者の知的財産権侵害のindemnity/hold harmless条項の場合を除いてほとんどありません。

 

 

第三者の知的財産権の侵害におけるindemnity/hold harmless条項で使われる権利の表現

 

せっかくなので、ついでに、第三者の知的財産権侵害についてのindemnity/hold harmless条項でよく使われる様々な「権利」を表す表現をここで確認しておきましょう。

 

patent

特許

 

trademark

商標

 

design

意匠

 

utility model

実用新案

 

copyright

著作権

 

industrial property right

産業財産権

英文契約の頻出英単語レベル3! 契約違反と責任関係の表現です!

1.契約に違反する

2.liability

3.リキダメ、LD、liquidated damages

4.(損害等)を被る

5.故意・重過失

6.保証

7.契約不適合

8.不適合がない

9.保証・免責する

10.権利を侵害する

これを覚えれば英文契約をずっと読みやすくなる!英単語レベル2

1.「契約を締結する」

2.契約締結日と発効日の違い

3.「~を履行する」

4.「費用を負担する」

5.例示列挙(非制限列挙)

6.事前の通知と事前の同意

7.「添付資料

8.英文契約でwhereとは?

9.「in which case/event」とは?

10.「契約の終了」

英文契約を読むなら、まずはこの英文契約の基本的な表現と型を押さえましょう!レベル1

英文契約を読む際に、まずこれだけは押さえておくべき!という英文契約の基本的な型を構成する英単語は以下のようなものです。

hereto/hereof/herein/hereinafterやthereof/thereby/thereafterなど

shall 義務

shall not 禁止

may 権利

if, when, whereなど、「~の場合」を表す表現

unlessやexceptなど、「~でない限り」、「~を除いて」を表す表現

otherwise「別途」を表す表現

notwithstanding ~にかかわらず

regarding, in connection with, in respect ofなど「~に関して」を表す表現

to the extent ~の範囲で

pursuant to, in accordance withなどの「~に従って」を表す表現

provided inやspecified inなど、「~に定められている」を表す表現

however provided that 「ただし」を表す表現

目次
第1回 義務 第10回 ~に関する 第19回 知らせる
第2回 権利 第11回 ~の場合 第20回 責任
第3回 禁止 第12回 ~の範囲で、~である限り 第21回 違反する
第4回 ~に定められている、~に記載されている 第13回 契約を締結する  

第22回 償還する

第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足) 第14回 契約締結日と契約発効日 第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD)
第6回 ~に従って 第15回 事前の文書による合意 第24回 故意・重過失
第7回 ~に関わらず 第16回 ~を含むが、これに限らない 第25回 救済
第8回 ~でない限り、~を除いて 第17回 費用の負担 第26回 差止
第9回 provide 第18回 努力する義務 第27回 otherwise

 

 

第28回 契約の終了

第38回 権利を侵害する 第48回 遅延利息
 

第29回 何かを相手に渡す、与える

第39回 保証する 第49回 重大な違反
 

第30回 due

第40回 品質を保証する 第50回 ex-が付く表現
第31回 瑕疵が発見された場合の対応 第41回 補償・品質保証 第51回 添付資料
第32回 ~を被る 第42回 排他的な 第52回 連帯責任
第33回 ~を履行する 第43回 第53回 ~を代理して
第34回 果たす、満たす、達成する 第44回 第54回 下記の・上記の
第35回 累積責任 第45回 瑕疵がない、仕様書に合致している 第55回 強制執行力
第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害を表す表現 第46回 証明責任 第56回 in no event
第37回 補償・免責 第47回 indemnifyとliableの違い 第57回 for the avoidance of
 
第58回 無効な 第68回 representations and warranties
第59回 whereについて 第69回 material adverse effect
第60回 in which event, in which case 第70回 to the knowledge of
第61回 株主総会関係 第71回 GAAP
第62回 取締役・取締役会関係 第72回 covenants
第63回 indemnifyとdefendの違い
第64回 Notwithstandingと責任制限条項
第65回 M&Aの全体の流れ
第66回 conditions precedent
第67回 adjustment

【私が勉強した参考書】

基本的な表現を身につけるにはもってこいです。

ライティングの際にどの表現を使えばよいか迷ったらこれを見れば解決すると思います。

アメリカ法を留学せずにしっかりと身につけたい人向けです。契約書とどのように関係するかも記載されていて、この1冊をマスターすればかなり実力がupします。 英文契約書のドラフト技術についてこの本ほど詳しく書かれた日本語の本は他にありません。 アメリカ法における損害賠償やリスクの負担などの契約の重要事項についての解説がとてもわかりやすいです。

 

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