絶対的な価値のあるもの
2017/02/05

「陸上なんて、ただ走ってるだけじゃん。つまんねくねーのか?」
中学2年生のとき、確かバスケットボール部の同級生にこう言われました。
私は幼稚園の頃から走ることが好きで、小学校のクラブ活動も、中学校の部活も、陸上をしていました。
特に中学生のときは、とにかく部活の時間が待ち遠しく、朝学校に来ると、部活のことを考えて心臓が高鳴っているという、今にして思えば信じられないほど幸せな時期でした。
そんなある日、バスケ部の同級生から、こう言われたのです。
「陸上なんて、ただ走ってるだけじゃん。つまんねくねーのか?」
私は、驚いて言葉が出ませんでした。
ショックはありませんでした。陸上を辞めようとも思いませんでした。
ただ、私は、他の同級生も、「スポーツの中で陸上が一番素晴らしいスポーツだ」と思っているのだろうと思っていたのです。誰もが速く走れるわけではないので、それでしょうがなく、他のスポーツをしているだけで、もしもできるなら、誰もが速く走れるようになりたい、そして陸上をやってみたいと思っているんだろうな、と思っていました。
今にして思えば、とんでもない勘違いです。
しかし、そのくらい、当時の私にとって、陸上は絶対的な価値を持っていると思っていました。
サッカーを見ても、「ボール蹴っ飛ばして何が楽しいんだ?」と思いましたし、バレーボールを見たときには、「下にボールを落とさないようにするスポーツなんて、誰が考えたんだろう?」くらいに思っていました。
しかし、この時の同級生の言葉は、私に、実は周りは陸上をそんな風にしか見ていなかったのだ、ということと、私が陸上に対して抱いているのと同様に、自分がしているスポーツに対してみんなそれぞれ価値を見出しているのだと気づかされました。
これは、何もスポーツに限ったことではないでしょう。
自分が「最高だ!」と思うことであっても、他の誰かは、それを全く素晴らしいと思わない、何の価値も感じないということがあります。
私が特に驚いたのは、古代ギリシャの哲学者である「セネカ」の書いた本の中の「生の短さ」という話のある一節を読んだ時でした。以下にその部分を引用します。
「見苦しきは、高齢になってなお、自分とは縁もゆかりもない訴訟当事者のために裁判で弁護に立ち、取り囲む無知な傍観者らの賛同を得ようと躍起になっているうちに息を引き取る者である。」
セネカは、「人生は短いので、自分が本当に好きで、楽しいと思えるものに時間を費やすべきだ」ということを主張するために、色々な例を出しているのですが、上記の引用部分は「弁護士」について述べています。
弁護士は、日本でも、欧米でも、人気の職業であるでしょう。
やりがいにもあふれ、報酬も他の職業と比べると高額。誰もが憧れる職業であると言えるだろうと思っていました。
しかし、セネカは上記の通り、どこまで本気かはわかりませんが、違った見方をしています。
ここで私は、弁護士という職業の良し悪しをいいたいのではありません。一見誰しもが憧れる、価値のある職業と思われる仕事も、そうは感じない人がいる、ということです。
では、だからどうだというのか?絶対的な価値を持つものはないと知って、何がどうなるのか?
それは、「人生は、他人にとって価値があるものではなく、自分にとって価値がある」と思えるものを追い求めることでよいのではないか?ということです。
誰にとっても価値があるものなんて、ないのでしょうから・・・。
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