英文契約の基本的な表現 第41回 補償・保証債務の負担・品質の保証の表現のまとめ

      2020/01/30

今回は、第37回「補償」、第39回「保証債務を負うこと」、第40回「品質の保証」で扱った「ほしょう」関係の表現のまとめをします。

 

いちいち「まとめ」なんてしなくても、それぞれの解説を読むからいい!

 

・・・という方もいるかもしれませんが、もしかしたら、読みが同じの「ほしょう」に関して混乱してしまっている方もいるかもしれないので、一応まとめておきたいと思います。

 

1. 「ほしょう」の種類

 

これまで、「ほしょう」として以下の3種類の表現をご紹介しました。

 

(1)   補償:第三者が被った損害を一方当事者が賠償した分を他方当事者が負担すること→indemnity(名)

動詞はindemnify

 

この表現は、indemnity/hold harmless条項と呼ばれる条文で使われます。

 

そしてこのindemnity/hold harmless条項は、第三者の生命・身体・財産への侵害や、第三者の知的財産権の侵害が生じた場合に定められる条文です。

 

(2)   保証債務を負うこと→guarantee(名)

動詞もguarantee

 

この表現は、融資契約の際の主たる債務者の返済債務についての保証契約や、子会社が何らかの債務を保証すること、つまり親会社保証(parent guarantee)において使われます。

 

(3)   品質の保証:warranty(名)

動詞はwarrant

 

 

2. indemnity/hold harmless条項の一般的な形

 

この条項は一文が長くて読むのが面倒な条文ですが、以下のような形を概ね取っているので、まずはこれを覚えると読みやすくなるでしょう。

 

[主語]+[indemnify and hold harmless]+[補償される当事者(ここに、補償される当事者の役員や従業員、子会社等が列挙される場合もあります)]+[from and against]+[補償される事項]+[arising out of]+[損害を生じさせた原因となる事由]

 

例文:

The Seller shall indemnify and hold harmless the Purchaser from and against all damages, claims, losses, expenses, including without limitation, reasonable attorney’s fees, made against the Purchaser in respect of the death, human bodily injury or damage to any property arising out of the Seller’s performance of the obligation hereunder and due to the Seller’s negligence.

訳:売主は本契約に基づく売主の義務の履行から生じた生命、身体、その他の財産への侵害で、かつ、売主の過失に基づくものに関して買主に対して課せられた、合理的な弁護士費用を含むがこれに限らない全ての損害賠償額、損害賠償請求支払額、損失額、諸費用について、買主を補償し、免責する

 

 

3. warrantyの種類

 

warrantyには、「明示の保証」と「黙示の保証」があります。

 

明示の保証:express warranty

黙示の保証:implied warranty

 

さらに黙示の保証には、「特定目的適合性の黙示の保証」と「商品性の黙示の保証」があります。

 

特定目的適合性の黙示の保証:implied warranty of fitness for a particular purpose

商品性の黙示の保証:implied warranty of merchantability

 

契約書の保証条項では、売主・請負人は、明示の保証と黙示の保証をしないこと、代わりに契約書に定められている事項についてしか保証しない旨を明記するのが一般的です。そしてそれは、目立つように全て大文字で記載されます。これをdisclaim条項と呼びます。

 

 

4. その他

 

・第三者の知的財産権を侵害する条文の中で使われる「知的財産権の侵害」という場合の「侵害」はinfringementという表現です。この動詞はinfringeです(詳しくは第38回「権利を侵害する」をご参照)。

 

・保証期間は、warranty periodと表現するのが一般的です。

 

guaranteeは、最近では、「保証債務を負う場合」に限らず、「品質の保証」の場合にも使われることもあるようです(例えばENAAではそのように使われております)。

 

 

目次
第1回 義務 第10回 ~に関する 第19回 知らせる
第2回 権利 第11回 ~の場合 第20回 責任
第3回 禁止 第12回 ~の範囲で、~である限り 第21回 違反する
第4回 ~に定められている、~に記載されている 第13回 契約を締結する  

第22回 償還する

第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足) 第14回 契約締結日と契約発効日 第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD)
第6回 ~に従って 第15回 事前の文書による合意 第24回 故意・重過失
第7回 ~に関わらず 第16回 ~を含むが、これに限らない 第25回 救済
第8回 ~でない限り、~を除いて 第17回 費用の負担 第26回 差止
第9回 provide 第18回 努力する義務 第27回 otherwise

 

 

第28回 契約の終了

第38回 権利を侵害する 第48回 遅延利息
 

第29回 何かを相手に渡す、与える

第39回 保証する 第49回 重大な違反
 

第30回 due

第40回 品質を保証する 第50回 ex-が付く表現
第31回 瑕疵が発見された場合の対応 第41回 補償・品質保証 第51回 添付資料
第32回 ~を被る 第42回 排他的な 第52回 連帯責任
第33回 ~を履行する 第43回 第53回 ~を代理して
第34回 果たす、満たす、達成する 第44回 第54回 下記の・上記の
第35回 累積責任 第45回 瑕疵がない、仕様書に合致している 第55回 強制執行力
第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害を表す表現 第46回 証明責任 第56回 in no event
第37回 補償・免責 第47回 indemnifyとliableの違い 第57回 for the avoidance of
 
第58回 無効な
第59回 whereについて
第60回 in which event, in which case
第61回 株主総会関係
第62回 取締役・取締役会関係

 

【私が勉強した参考書】

基本的な表現を身につけるにはもってこいです。

ライティングの際にどの表現を使えばよいか迷ったらこれを見れば解決すると思います。

アメリカ法を留学せずにしっかりと身につけたい人向けです。契約書とどのように関係するかも記載されていて、この1冊をマスターすればかなり実力がupします。 英文契約書のドラフト技術についてこの本ほど詳しく書かれた日本語の本は他にありません。 アメリカ法における損害賠償やリスクの負担などの契約の重要事項についての解説がとてもわかりやすいです。

 

 - 英文契約の基本的な表現の習得