プラント・インフラ・その他の建設案件におけるコストオーバーラン(巨額損失発生)の原因と対策

      2020/06/14

日系企業も海外企業も、時々、コストオーバーランに陥ります。

 

これは、今に始まったことではありません。

 

ずっと昔からコストオーバーランは起こっています。

 

例えば、オーストラリアにあるオペラハウス

 

これは世界遺産の中でも最も新しい建造物として有名です。オペラハウスにより、シドニーは有名になりました。

 

このオペラハウスも、建設開始時に想定していた金額の10倍以上の金額にまで費用が増えてしまったコストオーバーランだったのです。ちなみに、納期も当初の想定から10年以上も遅れてようやく完成しました。

 

最近では、東芝の子会社であったウェスチングハウスのコストオーバーランが注目を集めました。これにより、東芝は1兆円近い損失を被り、主力事業を売却しなければならない事態となりました。

 

では、このような世間を驚かせるような巨額損失の原因とは何なのでしょうか?

 

ケースバイケース。

 

確かにそうです。どの事例も全く同じではありません。

 

ただ、ある傾向があります。

 

それは、「初めての案件」であったことです。

 

ここでいう初めてとは、世界で初めてという意味ではなく、その企業にとって初めてったということです。それまで経験がない案件だったのです。

 

実際、ウェスチングハウスのコストオーバーランについて、東芝はホームページで次のように述べていました。

 

初めての案件で、ベンチマークがなかったことが原因である

 

また、ある日系の重工企業の社長も、自社が被ったコストオーバーランについて、次のように述べています。

 

本件は、初めての案件であった

 

そうです。「初めての案件」というのは、要注意なのです。

 

もっとも、なぜ、初めての案件は危ないのか。具体的に初めての要素がどのように影響したのか、という点はあまり知られていません。

 

この点について、『英文EPC契約の実務』では、その3において、実際にあった3つの事例を用い、「初めて」の案件で企業がどのような失敗に陥ったのかを解説しています。

 

また、「初めての案件」であるということの他に、コストオーバーランに陥らせる要素としては、「想定外の外部的事象」というものがあります。想定していなかったことが突発的に起こってしまったために、工程が乱される、ということです。

 

これについても、『英文EPC契約の実務』の中で、4章や章と章との間のコラムにおいて、日系企業や海外の企業が陥った事例を紹介しています。

 

ちなみに、「初めての案件」への対策は、契約文言というよりも、極めて実務的なものが必要となります。

 

一方、「想定外の外部的事象」への対策は、実務的な対策も重要ですが、契約上の手当も重要です。特に、外部的事象が生じた場合の契約上の定めの「運用」が大切になります。単に契約締結時に適切な条文を定めるだけでは足りないのです。その定められた条文をいかに使うか、が重要となります。

 

こういった点について、拙著『英文EPC契約の実務』では、プラント・インフラ・その他の建設業界に入ったばかりの人やまだ実務経験が浅い若手の方々にも理解できるように、丁寧に解説しております。

※ちなみに、このホームページにもコストオーバーランについていくつか記事を掲載しておりますが、『英文EPC契約の実務』に掲載されているのは、それらと異なる事例の検討です。

 

ぜひ、読んでみてください。

シドニー・オペラハウスのコストオーバーランの原因

フランスの原子炉メーカー・アレバ社のコストオーバーランの原因

EPC契約をチェックする際に持つべき3つの視点

 - EPC契約のポイント, EPC契約におけるコストオーバーランの原因と対策について