英文契約の基本的な表現~customs~

   

customsとは?

customsとはどのような意味でしょうか?

まず、customという単語があります。customsとはsがあるかないかの違いですが、これは、「習慣」とか「風習」という意味です。

では、これにsがつくとどなるか?

意外にも、「関税」という意味になります。習慣や風習とは全く違う意味に変わりますので、間違いやすいですね。

 

関税とは?

関税とは、税金の一種です。

ある国が外国からある製品を輸入する場合に、輸入する国の税務署がその製品に課す税金です。

例えば、日本のある企業がインドにいる買主に対してある製品を輸出するとします。その製品をインドに入れる際に、関税をインドの税務署に納めることになります。ちなみに、関税は、原則として、製品を外国から輸入する者が支払います。

オクスフォード英英辞典によると、customsを次のように説明しています。

“the taxes that must be paid to the government when goods are brought in from other countries

(外国から製品が持ち込まれる場合に、その政府に支払わなければならない税金)

 

ここで、customsでも「関税」という意味ですが、customs duty(duties)としても、「関税」です。dutyは、「税金」という意味ですが、dutyだけでも「関税」という意味で使われます。

 

例文:I had to pay duty on the watch I brought from India.

(私は、インドから持ち帰った時計の関税を支払わなければならなかった。)

 

なお、関税を取り立てる政府機関を税関といいますが、実はこれも関税と同じくcustomsと言います。

つまり、関税(customs)税関(customs)に納めることになります。

 

関税が課されることはビジネスでどういう意味をもつのか?

今、日本国内では100万円で販売している製品をアメリカに輸出する際に、アメリカで関税を課される場合を考えてみましょう。

この場合、アメリカの買主が製品を入手するために支払う金額はいくらになるでしょうか?

100万円?

いや、そうではないでしょう。

というのも、関税をかけられるからです。

今、仮に関税がX円かかるとすると、アメリカの買主は、この関税分と合わせて100万円+X円を負担することになります。つまり、アメリカの買主からしてみれば、100万円+X円で購入するのと同じです。(実際は、さらに輸送費や保険料など、国内で販売していた場合よりも余計にかかる金額が追加されるはずですが、ここでは簡単にこのようにしておきます)。

 

これにより、何が起こるかといいますと、輸出先国におけるその製品の競争力が落ちるんですね。

誰でも、なるべく安い金額で買いたいと思っていますが、関税をかけられると、その分だけ、その製品を手に入れるために必要となる金額が高くなるので、輸出先であるアメリカで製品が売れにくくなるのです。

その結果、アメリカ国内で作られ、そして売られている同種の製品の方が、日本の製品よりも売れやすくなるのです。なぜなら、アメリカ国内で作られ、販売される製品には、関税はかからないので、より安く手に入れられる可能性があるからです。

 

関税をかけることの意味

以上から、関税をかけることの意味がお分かりいただけたかと思います。

外国から製品が入ってくる際、関税をかけることで、製品の買主がいる国では、税収が増えます

加えて、外国の安い製品が大量に入ってくることで自国の製品が売れなくなり、ひいては国内にあるその種の産業が深刻な打撃を受けるという事態を防ぐことができます。

このような高関税をかけて自国産業を守ろうとする政策を保護貿易主義といいます(対概念は自由貿易主義です)。

 

海外に会社を設立して、そこで工場を建設して製品を製造・販売する理由

メーカーでは、ある製品を海外で販売したい場合に、製品を日本から輸出する方法ももちろん取られますが、海外に新しい会社を設立し、そこに工場を建設して、そこで製品を製造・販売することもよく行われます。

このようなことをする理由はいくつかありますが、その1つには、日本から外国への製品の販売の際には関税がかかりますが、外国に工場を立てて、そこで製造・販売する際には、関税がかからないから、というものであることがあります。

こうすることで、関税がかからなくなる分、輸出先である買主に低い費用負担でその製品を入手してもらうことができるようになる=その製品の競争力が高まるのです。

 

歴史上、関税が問題になった例

関税と言えば、私達日本人に馴染みがあるのは、「関税自主権」ではないでしょうか。

幕末に江戸幕府がアメリカやイギリスなどの西洋列強との間で結んだ不平等条約には、日本が自由に関税をかける権利=「関税自主権」がない旨が定められていました。具体的には、西洋列強の製品が日本に入ってくる際にかかる関税が通常よりも低い金額に設定されていたのです。

 

その条約締結後、日本は西洋の様々な製品を輸入するようになりました。その際、関税が低いので、日本国民はそれらの製品を購入しやすかったという利点があったものの、一方で、明治政府としては、関税として入ってくる金額が少ないために、困りました。

というのも、西洋列強に追いつくために軍艦などの軍備を増強するには、当然お金がかかるからです。

日本に関税自主権があれば、それなりの金額の関税をかけることで、豊かな税収を得ることができ、それらを軍備のための費用に充てることができていたはずですが、関税自主権がないばかりに、政府は別途、国民への課税を増やすほかありませんでした

こうして、日清戦争や日露戦争に向けた軍備は、国民の多大な税負担を必要としたのです。ただでさえ貧乏国だった日本にとっては大変だったことでしょう。

 

日本が関税自主権をようやく回復できたのは、1905年に日露戦争に勝利した後の1911年(外相が小村寿太郎のとき)になってからというのは、有名な話ですね。

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