英文契約書で責任(liability/responsibilityの違い)とは?
今回は、「責任」についての表現をご紹介します。
契約書には、当事者の義務が数多く定められています。
その義務に違反した場合、何が起きるでしょうか?
義務に違反した当事者は、「責任」を取らされます。
具体的には、金銭的な賠償だったり、欠陥の無償での修理だったりします。
これら金銭賠償および修理等を、義務違反の場合の「責任」といいます。
この責任を意味する表現には、以下のようなものがあります。
liability
responsibility
この両者の間に、何か違いはあるのでしょうか?
あります。
英英辞典を見てみるとその違いがよくわかります。
liability: the state of being legally responsible for something
responsibility: a duty to deal with or take care of somebody/something, so that you may be blamed if something goes wrong
つまり、以下のように言えるでしょう。
liability:法的な責任
responsibility:法的な責任に加えた道義的な責任
responsibilityの方が広い概念です。
もっとも、契約書は、道義的な責任を問題にするのではなく、法的な責任を問題にする文書なので、liabilityの方を使えば十分です。もっとも、この区別はネイティブの人たちの作成する英文契約の中でも明確に区別はされておらず、responsibilityも英文契約書中によく使われております。
以下、liabilityを使った例文を記載します。
The aggregate liability of the Seller to the Purchaser under this Agreement does not exceed the amount of the Contract Price.
訳:本契約に基づく売主の買主に対する累積責任は、契約金額を超えない。
the defect liability period
訳:瑕疵担保期間(直訳すると「欠陥責任期間」ですが、これは、「欠陥について責任を負う期間」ですので、「瑕疵担保期間」と訳しました)
英文契約の頻出英単語レベル3! 契約違反と責任関係の表現です!
1.契約に違反する
4.(損害等)を被る
5.故意・重過失
6.保証
7.契約不適合
8.不適合がない
9.保証・免責する
10.権利を侵害する
これを覚えれば英文契約をずっと読みやすくなる!英単語レベル2
3.「~を履行する」
7.「添付資料」
10.「契約の終了」
英文契約を読むなら、まずはこの英文契約の基本的な表現と型を押さえましょう!レベル1
英文契約を読む際に、まずこれだけは押さえておくべき!という英文契約の基本的な型を構成する英単語は以下のようなものです。
・hereto/hereof/herein/hereinafterやthereof/thereby/thereafterなど
・shall 義務
・shall not 禁止
・may 権利
・if, when, whereなど、「~の場合」を表す表現
・unlessやexceptなど、「~でない限り」、「~を除いて」を表す表現
・otherwise「別途」を表す表現
・notwithstanding ~にかかわらず
・regarding, in connection with, in respect ofなど「~に関して」を表す表現
・to the extent ~の範囲で
・pursuant to, in accordance withなどの「~に従って」を表す表現
・provided inやspecified inなど、「~に定められている」を表す表現
・however provided that 「ただし」を表す表現
目次 | ||
第1回 義務 | 第10回 ~に関する | 第19回 知らせる |
第2回 権利 | 第11回 ~の場合 | 第20回 責任 |
第3回 禁止 | 第12回 ~の範囲で、~である限り | 第21回 違反する |
第4回 ~に定められている、~に記載されている | 第13回 契約を締結する |
第22回 償還する |
第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足) | 第14回 契約締結日と契約発効日 | 第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD) |
第6回 ~に従って | 第15回 事前の文書による合意 | 第24回 故意・重過失 |
第7回 ~に関わらず | 第16回 ~を含むが、これに限らない | 第25回 救済 |
第8回 ~でない限り、~を除いて | 第17回 費用の負担 | 第26回 差止 |
第9回 provide | 第18回 努力する義務 | 第27回 otherwise |
第28回 契約の終了 |
第38回 権利を侵害する | 第48回 遅延利息 |
第29回 何かを相手に渡す、与える |
第39回 保証する | 第49回 重大な違反 |
第30回 due |
第40回 品質を保証する | 第50回 ex-が付く表現 |
第31回 瑕疵が発見された場合の対応 | 第41回 補償・品質保証 | 第51回 添付資料 |
第32回 ~を被る | 第42回 排他的な | 第52回 連帯責任 |
第33回 ~を履行する | 第43回 | 第53回 ~を代理して |
第34回 果たす、満たす、達成する | 第44回 | 第54回 下記の・上記の |
第35回 累積責任 | 第45回 瑕疵がない、仕様書に合致している | 第55回 強制執行力 |
第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害を表す表現 | 第46回 証明責任 | 第56回 in no event |
第37回 補償・免責 | 第47回 indemnifyとliableの違い | 第57回 for the avoidance of |
第58回 無効な | 第68回 representations and warranties | |
第59回 whereについて | 第69回 material adverse effect | |
第60回 in which event, in which case | 第70回 to the knowledge of | |
第61回 株主総会関係 | 第71回 GAAP | |
第62回 取締役・取締役会関係 | 第72回 covenants | |
第63回 indemnifyとdefendの違い | ||
第64回 Notwithstandingと責任制限条項 | ||
第65回 M&Aの全体の流れ | ||
第66回 conditions precedent | ||
第67回 adjustment |
【私が勉強した参考書】