初めて教育係(メンター)に選ばれた方へ①~もつべきマインドとは?~
2020/01/19

新入社員が配属されて、もう大分経ちましたでしょうか。
このブログを読んでくださっている方の中には、自分の部門に配属された新入社員の教育係(以下、「メンター」)に選ばれ、日々新人を育てることに力を注いでいる方もいるのではないかと思います。
その中には、うまくやれている人もいれば、そうでもない人もいることでしょう。
特に初めてメンターになった方にとっては、色々な点で、こういうときはどう対応したらいいのか?と悩むこともあるかと思います。
私もメンターを何度か経験しました。メンターとしてではなくても、後輩と一緒に仕事をしたことも何度もあります。
その中で自分なりに色々と気付かされたこともありました。
そこで、今回は、メンターになって思ったことや後輩と仕事をして気付かされたこと等を書いてみたいと思います。
マインド
私は、何かに取り組む際には、どんなときも、それにどのように取り組むべきか、という心の持ち方、マインドが重要だと思っています。マインドが何もないままに取り組むと、漫然と取り組むことになります。マインドがないと、悩んだときにどのように進むべきかの指針がないことになり、その場その場の場当たり的な動き方しかできなくなります。
そのため、私は初めてメンターに選ばれたときに、それまで自分を育ててくれた先輩や上司の方々を参考にし、「メンターとはどうあるべきか」という点を自分なりに考え、以下の三つを必ず守ろうと決意しました。
・「メンターに選ばれたということは、自分は、部長候補に選ばれたということである」と思い込む
・自分がそれまでに到達したレベルに1年でも早く到達できるように導くように心がける
・他の誰を敵に回しても、後輩の味方になると決める
以下、一つずつ説明します。
「メンターに選ばれたということは、自分は、部長候補に選ばれたということである」と思い込む
これは真実なのでしょうか。
必ずしもそうではないでしょう。
もしかしたら、「新入社員の教育なんて面倒だ、誰か手の空いている人にまかせよう」といった非常に安易な理由で任された人もいるかもしれません。
毎年入ってくる新入社員のメンターは、それこそ大勢いるわけです。「メンターになったくらいで部長候補になったと言えるのであれば、一体この会社に部長候補は何人いるんだ?」ということになります。
しかし、真実がどうであるかは、この際関係ありません。
ある仕事をするとき、モチベーションをあげるために、「これはものすごく重要な仕事だ!」と自分に言い聞かせる、ということをしますよね。
それと同じです。
自分は、将来の会社の戦力を育て上げる重要な仕事を任されたと思い込みましょう。そうすれば、手は抜けなくなるはずです。
「適当でいいや、育とうが育たなかろうが、自分には関係ねー」なんて思えないはずです。
「自分の雑用係になってもらおう」とも思えないはずです。
「今日、俺は不機嫌だから、後輩を怒鳴りつけて自分の憂さ晴らしをしてやろう!怒鳴られるのに我慢するのは後輩の仕事だ」なんてことも、まず思えないはずです。
自分がそれまでに到達したレベルに1年でも早く到達できるように導くように心がける
これは、「会社は組織である」ということを考えれば自ずと生まれる考えではないでしょうか。
組織は常に成長しようとしています。
成長とは、より多くの利益を上げられるようになる、ということだと思いますが、数字だけが勝手に伸びていくわけがありません。数字は人の成長の結果ではないでしょうか。
特にこの点が重要になる理由は、優秀な新人のメンターになったときです。メンターと新人の年が割と近いと、メンターは新人の優秀さに気づいた時に、ある種の恐怖を抱くことになるかもしれません。それは、「自分が追い越されるかもしれない」という恐怖です。
そう感じると、中には、「あまり成長させないようにしよう」という考えも浮かぶかもしれません。
しかし、それは組織にとって非常にマイナスです。
「組織なんてカンケーねー!大事なのは自分のことだ!」
と思う方もいるかもしれません。しかし、その優秀な新人は、あなたがメンターである期間はあなたの妨害活動が功を奏して一時は伸び悩むかもしれませんが、あなたから解放された後でメキメキ実力を発揮し、その後あっさり追い抜いていく可能性が高いと思います。そうなったときに、昔の仕返しをされることになるような振る舞いは避けたほうがよいのではないでしょうか?
他の誰を敵に回しても、後輩の味方になると決める
新入社員の多くは、無力です。
会社に慣れた人からしてみれば当たり前のことも、新人には全くわからないものです。何が正しくて何が正しくないのかも驚くほどわからなかったりします。逆に言えば、それだけ会社は特殊な世界であるともいえると思います。「○○の常識、世間の非常識」なんて言葉があるくらいです。世間の常識を学生が知っていても、会社の常識を知らないなんてことは普通にあるでしょう。
そんな新入社員に会社の常識を教えることができるのは、まさにメンターではないでしょうか。
そして会社の常識は知らないが、それでもやる気のある新人であればあるほど、仕事では挑戦しようと思っていると思います。その結果、失敗することもあるでしょう。それが会社の常識を無視した失敗であれば、余計に怒られることになると思いますが、その時にメンターまで一緒になって、「オラー!何やってんだ!!(自分は悪くないもんね)」と周りと混ざって非難しまくったら、新人は一体どう思うでしょうか。
新人の味方になれるのは、メンターだけです。そういうときは、自分も一緒に怒られ、後で個室ででも、じっくり新人に会社の常識を教えるのがよいのではないでしょうか。
次のページ:初めて教育係(メンター)に選ばれた方へ②~実践するべきことは?~
記事をお読みいただき、ありがとうございました。
この本郷塾のブログの中に掲載されている記事の80%以上は、英文契約に関するものです。その中で、あえて上記の様な記事を読んでいただけたということは、おそらく、仕事の仕方・働き方について悩まれているのではないでしょうか。
私も、2006年に電機メーカーに入社したばかりのころは、本当に何もできないみじめな状態でした。プロフィールにも書いてある通り、2007年の1月には、「海外案件なんて自分にはこなせるようになるとは思えない・・・」と悩み、会社を辞めようとしたほどです。
その理由は、英語ができない、英文契約書を読みこなせない、というのもありますが、同時に、仕事の仕方がよくわからなかったのです。どう振舞えばよいのか、何が正解なのか、まるでわかっていないことも大きな原因でした。後にも先にも、あの時以上に手も足も出ないと感じたことはありません。そして、仕事がつらいと、人生全般も苦しいものになると、そのときよくわかりました。
そこで、英語の勉強、英文契約書をチェックできるようになるための努力をするのと同時に、「働き方」や「生き方」についても模索するようになりました。具体的には、歴史上の人物達が困難に遭遇したときに、どのようにそれを乗り越えたのか?彼らはどのようなことを考えて、積極的に生きようとしたのか?を学ぼうとしました。
はじめは、歴史上の人物なんて、自分とはかけ離れた英雄・偉人なのだから、自分などが彼らから学べるもの、真似をすることができるものなどないのではないか?という思いもありました。しかし、読み重ねていくうちに、こう思うようになりました。
「彼らも、結局は自分と同じ人間で、ただ、様々な条件が重なった結果、あのようなすさまじい結果を出すに至ったが、本当は、自分とそう変わりないのではないか?」
そして、「彼らの前に立ちはだかった困難な状況は、現代の社会人に当てはめるとどういう場面なのか?」と自分なりに捉え直すようにしました。すると、歴史がそれまでよりもずっと身近になりました。
もしかすると、このような考え方、つまり、歴史上の人物も普通の人たちなのだ、という考え方は、傲慢なのかもしれません。しかし、これによって誰に迷惑をかけるものでもありません。「あくまで自分の中だけで、過去の人から学び取ろうという気持ちになり、それで人生が好転するのなら、構わないのではないか?」こう思うようになりました。
初めは歴史小説を中心に読んでいたのですが、その後、「これは真実なのだろうか?」と思い、本当のところを調べるために、大学教授などの歴史専門家が書いている本を読むようになりました。
そして、いつのまにか、「仕事や生き方のヒントになるもの」を集めるようになりました。それが認められて本になったのが、今回出版した2冊目の著書『歴史が教えてくれる働き方・生き方』です。
実際、私は歴史上の人物たちの考え方や振る舞い方に励まされ、少しずつですが成長できました。そして、入社して5年目以降には、当時の社内で最大規模の発電プラント建設プロジェクトの法務部主担当になることができました。その仕事を任されなければ、おそらく、ここまで英文契約、特に海外プラント建設契約に詳しくなることはなかったはずです。当然、英文契約の参考書など、出版できなかったと思います。
会社の中での仕事では、英語ができる、または契約書を読みこなせる、といったスキルだけでは解決できない困難に出会うことがあります。そんなときに、今回の『歴史が教えてくれる働き方・生き方』がヒントになればと思います。
全部で50個のエピソードを掲載しました。1つ1つは短く、簡単に読めるものなので、書店でパラパラ試しに読んでみてください。その中に、1つでも、役立つものがあれば幸いです。
仕事に関する記事の目次
何かに挑戦したいと思っているのに、そのための一歩が踏み出せないでいる人へ
「会社って、そもそも誰のものだっけ?」と疑問を抱いている人へ
仕事における段取りや根回しってどんなものかよくイメージできない!という人へ
何かの資格試験に落ちて、「もう人生終わりだ!」と思っている人へ
新しいことをしようとしたら、周りから猛烈な反対を受けて、しょんぼりしている人へ
「完璧にできないくらいなら、初めからしないほうがよい」と思っている人へ
本当は主役になりたいのに、いつも主役になれないと落ち込んでいる人へ
上司に取り入っていろうとしている人を見ると、寒気がしてきてしまう人へ
いつも残業しているが、そんな現状をなんとか変えたいと本気で思っている人へ
「仕事で評価される人は自分とは何が違うんだろう?」と疑問に思っている人へ
「社会人になると、学生の時と一番何が違うんだろう?」と疑問を抱いている学生の方へ
「仕事って、どんなときに楽しさを感じられるんだろう?」と疑問を持っている人へ
「部内の飲み会なんて、どんなに遅刻してもよい、なぜなら仕事じゃないんだから」と考えている人へ
学生時代に頑張ったことが「勉強」だと、就活に不利だと思い、やりたくもないサークルに今から入ろうかな、と考えている学生の方へ
「社会人は、一体何に一番力を入れるべきなんだろう?」と悩んでいる人へ
いつも、「先輩に言われたことをしっかりやろう!」と考えている人へ
今日も自分の案があっさりと却下され、「もう提案なんかしない!」と思ってしまった人へ
正しいことを主張するときは、普段よりも力を込めて語ってしまう人へ
人間は機械にその仕事をいつか全部奪われる日が来るんじゃないか?とおびえている人へ
会社で役員に案件を説明するのが嫌で嫌でしょうがない、という人へ
靖国神社ができたのは、太平洋戦争での戦没者の慰霊のためだと思っている人へ