英文契約の基本的な表現 第24回 故意・重過失

      2017/06/21

 

第24回です!

 

今回は、「故意・重過失」という表現についてご紹介します。

 

故意・重過失という言葉は、契約の中でさほど頻繁に出てくる文言ではありません。しかし、この故意・重過失という言葉は、契約の中でとても重要な概念です。

 

どのような点で重要かといいますと、この故意・重過失による契約違反の場合には、当事者の合意は無視される可能性があります。

 

例えば、売買契約や請負契約においては、売主側の責任を制限する条文が定められることがあります。

 

具体的には、「契約金額を上限とする」とか、売主は「逸失利益や特別損害を賠償する責任を負わない」といったものです。この二つは、売主の責任を制限する代表的な例です。

 

契約は、当事者間で締結されるものであり、原則として、契約に書いてあることは、法律の定めに優先して適用されます。

 

つまり、「契約当事者が義務違反をした場合、その当事者は、相手方が被った損害を、全額賠償しなければならない」というのが民法の原則(日本の民法では第415条、416条)ですが、契約の中で、上記のような責任を制限する定めがある場合には、それらが優先して適用され、まさにその合意の通り、損害賠償の範囲は契約金額を上限とし、かつ、逸失利益や特別損害は賠償しなくてもよいことになります。

 

しかし、契約の違反が、故意・重過失で行われた場合には、いくら契約当事者間で責任を制限するような合意がなされていたとはいえ、それを優先するべきではない、と裁判所が判断する可能性があります。これは、「故意・重過失で契約違反をしたような、悪質な当事者を保護する必要はない」という考えでしょう。

 

実際、日本の裁判でも、故意・重過失の場合には、当事者間で合意した責任制限条項の適用を認めない、という判例が出たことがあります。

 

そして、このことを、あえて契約に明記することがよくあります。

 

つまり、責任を制限する条項を定めつつも、その条文に、「ただし、故意・重過失の場合には、この条項は適用されない」といった文言が書かれることがあります。

 

この「故意・重過失の場合は責任制限条項の適用は排除する」という条文の中に、「故意・重過失」という表現が登場します。そして、それ以外の場面では、ほとんど「故意・重過失」という表現は出てきません。

 

そこで、自社が買主側の場合には、英文契約においては、この「故意・重過失の場合には、売主の責任は制限されない」という記載がなされているかを確認するべきだと思います。もしも書いていなければ、追加するように取引先に求めることをお勧めします。

 

 

と、ここまで、故意・重過失という文言の使われ方をご説明しましたが、この「故意・重過失」を表す表現は、以下の通りです。

 

故意:willful misconduct

重過失:gross negligence

 

英英辞典によれば、willfulは、done deliberately, although the person doing it knows that it is wrongとあります。つまり、「それが間違ったことだとわかっていながらも、意図的に行うこと」という意味です。まさに、故意ですね。

 

同じく英英辞典によれば、grossとは、very obvious and unacceptableとあります。negligenceは過失を意味するので、gross negligenceとは、「到底受け入れられないレベルの過失」つまり、「重過失」ということですね。

 

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第7回 ~に関わらず

第8回 ~でない限り、~を除いて

第9回 provide

第10回 ~に関する

第11回 ~の場合

第12回 ~の範囲で、~である限り

第13回 契約を締結する

第14回 契約締結日と契約発効日

第15回 事前の文書による合意

第16回 ~を含むが、これに限らない

第17回 費用の負担

第18回 努力する義務

第19回 知らせる

第20回 責任

第21回 違反する

第22回 償還する

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第24回 故意・重過失

第25回 救済

第26回 差止

第27回 otherwise

第28回 契約の終了

第29回 何かを相手に渡す、与える

第30回 due

 

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