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本郷塾で学ぶ英文契約

英文契約でgross negligenceとwillful misconductとは?

2024/02/11
 
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英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
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今回は、「故意・重過失」という表現についてご紹介します。

 

故意・重過失という言葉は、契約の中でさほど頻繁に出てくる文言ではありません。しかし、この故意・重過失という言葉は、契約の中でとても重要な概念です。

 

どのような点で重要かといいますと、この故意・重過失による契約違反の場合には、当事者の合意は無視される可能性があります。

 

例えば、売買契約や請負契約においては、売主側の責任を制限する条文が定められることがあります。

 

具体的には、「契約金額を上限とする」とか、売主は「逸失利益や特別損害を賠償する責任を負わない」といったものです。この二つは、売主の責任を制限する代表的な例です。

 

契約は、当事者間で締結されるものであり、原則として、契約に書いてあることは、法律の定めに優先して適用されます。

 

つまり、「契約当事者が義務違反をした場合、その当事者は、相手方が被った損害を、全額賠償しなければならない」というのが民法の原則(日本の民法では第415条、416条)ですが、契約の中で、上記のような責任を制限する定めがある場合には、それらが優先して適用され、まさにその合意の通り、損害賠償の範囲は契約金額を上限とし、かつ、逸失利益や特別損害は賠償しなくてもよいことになります。

 

しかし、契約の違反が、故意・重過失で行われた場合には、いくら契約当事者間で責任を制限するような合意がなされていたとはいえ、それを優先するべきではない、と裁判所が判断する可能性があります。これは、「故意・重過失で契約違反をしたような、悪質な当事者を保護する必要はない」という考えでしょう。

 

実際、日本の裁判でも、故意・重過失の場合には、当事者間で合意した責任制限条項の適用を認めない、という判例が出たことがあります。

 

そして、このことを、あえて契約に明記することがよくあります。

 

つまり、責任を制限する条項を定めつつも、その条文に、「ただし、故意・重過失の場合には、この条項は適用されない」といった文言が書かれることがあります。

 

この「故意・重過失の場合は責任制限条項の適用は排除する」という条文の中に、「故意・重過失」という表現が登場します。そして、それ以外の場面では、ほとんど「故意・重過失」という表現は出てきません。

 

そこで、自社が買主側の場合には、英文契約においては、この「故意・重過失の場合には、売主の責任は制限されない」という記載がなされているかを確認するべきだと思います。もしも書いていなければ、追加するように取引先に求めることをお勧めします。

 

 

と、ここまで、故意・重過失という文言の使われ方をご説明しましたが、この「故意・重過失」を表す表現は、以下の通りです。

 

故意:willful misconduct

重過失:gross negligence

 

英英辞典によれば、willfulは、done deliberately, although the person doing it knows that it is wrongとあります。つまり、「それが間違ったことだとわかっていながらも、意図的に行うこと」という意味です。まさに、故意ですね。

 

同じく英英辞典によれば、grossとは、very obvious and unacceptableとあります。negligenceは過失を意味するので、gross negligenceとは、「到底受け入れられないレベルの過失」つまり、「重過失」ということですね。

 

英文契約の頻出英単語レベル3! 契約違反と責任関係の表現です!

1.契約に違反する

2.liability

3.リキダメ、LD、liquidated damages

4.(損害等)を被る

5.故意・重過失

6.保証

7.契約不適合

8.不適合がない

9.保証・免責する

10.権利を侵害する

これを覚えれば英文契約をずっと読みやすくなる!英単語レベル2

1.「契約を締結する」

2.契約締結日と発効日の違い

3.「~を履行する」

4.「費用を負担する」

5.例示列挙(非制限列挙)

6.事前の通知と事前の同意

7.「添付資料

8.英文契約でwhereとは?

9.「in which case/event」とは?

10.「契約の終了」

英文契約を読むなら、まずはこの英文契約の基本的な表現と型を押さえましょう!レベル1

英文契約を読む際に、まずこれだけは押さえておくべき!という英文契約の基本的な型を構成する英単語は以下のようなものです。

hereto/hereof/herein/hereinafterやthereof/thereby/thereafterなど

shall 義務

shall not 禁止

may 権利

if, when, whereなど、「~の場合」を表す表現

unlessやexceptなど、「~でない限り」、「~を除いて」を表す表現

otherwise「別途」を表す表現

notwithstanding ~にかかわらず

regarding, in connection with, in respect ofなど「~に関して」を表す表現

to the extent ~の範囲で

pursuant to, in accordance withなどの「~に従って」を表す表現

provided inやspecified inなど、「~に定められている」を表す表現

however provided that 「ただし」を表す表現

目次
第1回 義務 第10回 ~に関する 第19回 知らせる
第2回 権利 第11回 ~の場合 第20回 責任
第3回 禁止 第12回 ~の範囲で、~である限り 第21回 違反する
第4回 ~に定められている、~に記載されている 第13回 契約を締結する  

第22回 償還する

第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足) 第14回 契約締結日と契約発効日 第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD)
第6回 ~に従って 第15回 事前の文書による合意 第24回 故意・重過失
第7回 ~に関わらず 第16回 ~を含むが、これに限らない 第25回 救済
第8回 ~でない限り、~を除いて 第17回 費用の負担 第26回 差止
第9回 provide 第18回 努力する義務 第27回 otherwise

 

 

第28回 契約の終了

第38回 権利を侵害する 第48回 遅延利息
 

第29回 何かを相手に渡す、与える

第39回 保証する 第49回 重大な違反
 

第30回 due

第40回 品質を保証する 第50回 ex-が付く表現
第31回 瑕疵が発見された場合の対応 第41回 補償・品質保証 第51回 添付資料
第32回 ~を被る 第42回 排他的な 第52回 連帯責任
第33回 ~を履行する 第43回 第53回 ~を代理して
第34回 果たす、満たす、達成する 第44回 第54回 下記の・上記の
第35回 累積責任 第45回 瑕疵がない、仕様書に合致している 第55回 強制執行力
第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害を表す表現 第46回 証明責任 第56回 in no event
第37回 補償・免責 第47回 indemnifyとliableの違い 第57回 for the avoidance of
 
第58回 無効な 第68回 representations and warranties
第59回 whereについて 第69回 material adverse effect
第60回 in which event, in which case 第70回 to the knowledge of
第61回 株主総会関係 第71回 GAAP
第62回 取締役・取締役会関係 第72回 covenants
第63回 indemnifyとdefendの違い
第64回 Notwithstandingと責任制限条項
第65回 M&Aの全体の流れ
第66回 conditions precedent
第67回 adjustment

 

【私が勉強した参考書】

基本的な表現を身につけるにはもってこいです。

ライティングの際にどの表現を使えばよいか迷ったらこれを見れば解決すると思います。

アメリカ法を留学せずにしっかりと身につけたい人向けです。契約書とどのように関係するかも記載されていて、この1冊をマスターすればかなり実力がupします。 英文契約書のドラフト技術についてこの本ほど詳しく書かれた日本語の本は他にありません。 アメリカ法における損害賠償やリスクの負担などの契約の重要事項についての解説がとてもわかりやすいです。

 

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英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
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