努力する義務

      2017/08/07

 

 

今回は、「努力する」という意味を表す表現についてご紹介します。

 

「~するように努力する」

 

このような言葉を聞いた時、みなさんはどう思われますか?

 

もっと具体的に書いてみます。

 

「契約金額を支払うように努力します」

 

こんな表現が契約書に書いてあったらどう思いますか?

 

「いや、努力するじゃなくて、とにかく支払ってよ」

 

こう思いますよね。

 

そうです。努力することは尊いです。百年以上前に、「努力することは、成功することよりも大切だ」と、オリンピック会長のクーベルタンは言ったくらいです。

 

しかし、契約においては、「努力する」では心もとないです。

 

つまり、「~するように努力する」という表現が契約書中に出てきたら、それは、相手は、「義務」にまではしたくなかった、ということです。「できないかもしれないが、その場合でも契約違反にはしたくない」という気持ちがあるときに、この「努力する」という表現を使ってきます。

 

これは、次のように表します。

 

make a reasonable effort

make a commercially reasonable effort

make a best effort

 

 

 

 

上記のように、いろいろな書か方がありますが、どこまで行っても、努力義務です。

 

この努力義務と通常の義務の違いは何でしょうか。

 

それは、「自分が破産してでも、果たさなければならないか」、という点です。

 

努力義務の場合には、仮にmake a best effortという表現であっても、自社がつぶれるほどの経済的な努力をすることまでは求められていません。

 

しかし、通常の義務は、それをすることが法令に違反しない限り果たすことが求められます。

 

契約金額を支払う義務は、何が何でも果たさなければなりません。製品を納入する義務も同じです。

 

しかしこれが努力義務になった場合には、そうではなくなります。

 

とにかく一生懸命に頑張ればよい、ということになります。

 

よって、取引先から送付されてきた契約書の中に、この努力義務が定められているのを見つけたら、本当にそれでよいのかよく検討する必要があります。

 

一方で、自社にとって、義務までにはしたくないものがあるが、完全にしない、というのはどうか、と思える義務が契約書に書いてある場合には、この努力義務に修正する、ということで取引先に打診する、という方法があります。

 

以下、例文です。

 

The Contractor shall make its reasonable efforts to minimize any delay in the performance of its obligations under the Agreement.

 

訳:コントラクターは、本契約に基づく義務の履行の遅れを最小限にするために合理的な努力をしなければならない。

 

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英文契約の基本的な表現 第45回 売買・請負契約の保証に関する条文における「瑕疵がない」「仕様書に合致している」という表現

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