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英文契約で「無効な」とは?

2023/07/26
 

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英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
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今回は、「無効な」という意味を表す表現をご紹介します。

 

無効とは?

 

無効とは何か?

 

これは、漢字から意味をイメージすることができると思います。

 

そう、「効力が無い」という意味です。

 

では、この「無効」とは、契約書の中ではどのような場面で使われるのでしょうか?

 

具体的に見てみます。

 

具体例1

 

契約書に次のような定めがあるとします。

 

「契約当事者は、相手方当事者の事前の書面よる同意なくして、契約上の権利義務を第三者に譲渡することはできない

 

では、この条文に違反して、相手方当事者の事前の書面による同意を得ないで第三者に権利義務を譲渡した場合、一体どうなるのでしょうか?

 

「ダメ」と言っているのにも関わらず、してしまったら、「効力がない」ということにしたいですよね。

 

つまり、一方の当事者が、勝手に自分の義務を第三者に譲渡したとしても、相手方当事者は引き続き、一方当事者に対して義務の履行を求めることができる、ということにしたいはずです。

 

このことを明確にするために、次のような条文が定められることがあります。

 

「上記に違反して第三者に譲渡した場合には、無効とする

 

これは、「ある行為をしても、その行為の結果として、何らの効果も生じない」とする場合です。

 

 

具体例2

 

契約書に定められているある条文の内容が違法なものだった場合、その条文はどういう扱いになるのでしょうか?

 

無効となります。

 

違法な内容の条文を有効であることにしてしまうと、その条文にしたがって違法な行為がそのまま履行されかねないからです。

 

そんなことは、決して望ましいことではないですよね。

 

その場合、契約書の一部が無効でも、残りの部分はどうなるのか?無効になるのか?有効になのか?という問題が生じます。

 

この点について、「残りの部分は有効だ」とする一般条項があります。

 

それは、以下のような条文です。

 

「本契約の一部の条項が、法律により無効、違法、または執行不能と判断された場合でも、本契約上のその他の条項の有効性、合法性または執行力は何らの影響も受けない。」

 

これは、「条文そのものが無効である」というものです。

 

 

無効を表す表現

 

英文契約でよく使われる「無効な」という表現は、以下の3つです。

 

  • null
  • void
  • invalid

 

例文1

 

Either party shall not transfer, assign, or delegate all or any of its rights or obligations hereunder without the other party’s prior written consent. Any transfer, assignment, or delegation without such consent shall be null and void.

 

いずれの当事者も、相手方当事者の事前の書面による同意なくして、本契約に基づく自己の権利または義務の全部または一部を、移転・譲渡・委任してはならない。当該同意なく移転・譲渡・委任がなされた場合、それらは無効とする。

 

例文2

 

If any of the provisions contained in this Agreement is declared invalid, illegal, or unenforceable in any respect under any applicable law, then the validity, legality, and enforceability of the remaining provisions contained in this Agreement is not in any way affected or impaired.

 

本契約の一部の条項が、法律により無効、違法、または執行不能と判断された場合でも、本契約上のその他の条項の有効性、合法性または執行力は何らの影響も受けない。

 

目次
第1回 義務 第10回 ~に関する 第19回 知らせる
第2回 権利 第11回 ~の場合 第20回 責任
第3回 禁止 第12回 ~の範囲で、~である限り 第21回 違反する
第4回 ~に定められている、~に記載されている 第13回 契約を締結する  

第22回 償還する

第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足) 第14回 契約締結日と契約発効日 第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD)
第6回 ~に従って 第15回 事前の文書による合意 第24回 故意・重過失
第7回 ~に関わらず 第16回 ~を含むが、これに限らない 第25回 救済
第8回 ~でない限り、~を除いて 第17回 費用の負担 第26回 差止
第9回 provide 第18回 努力する義務 第27回 otherwise

 

 

第28回 契約の終了

第38回 権利を侵害する 第48回 遅延利息
 

第29回 何かを相手に渡す、与える

第39回 保証する 第49回 重大な違反
 

第30回 due

第40回 品質を保証する 第50回 ex-が付く表現
第31回 瑕疵が発見された場合の対応 第41回 補償・品質保証 第51回 添付資料
第32回 ~を被る 第42回 排他的な 第52回 連帯責任
第33回 ~を履行する 第43回 第53回 ~を代理して
第34回 果たす、満たす、達成する 第44回 第54回 下記の・上記の
第35回 累積責任 第45回 瑕疵がない、仕様書に合致している 第55回 強制執行力
第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害を表す表現 第46回 証明責任 第56回 in no event
第37回 補償・免責 第47回 indemnifyとliableの違い 第57回 for the avoidance of
 
第58回 無効な 第68回 representations and warranties
第59回 whereについて 第69回 material adverse effect
第60回 in which event, in which case 第70回 to the knowledge of
第61回 株主総会関係 第71回 GAAP
第62回 取締役・取締役会関係 第72回 covenants
第63回 indemnifyとdefendの違い
第64回 Notwithstandingと責任制限条項
第65回 M&Aの全体の流れ
第66回 conditions precedent
第67回 adjustment

 

【私が勉強した参考書】

基本的な表現を身につけるにはもってこいです。

ライティングの際にどの表現を使えばよいか迷ったらこれを見れば解決すると思います。

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英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
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