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本郷塾で学ぶ英文契約

私がEPC契約で真っ先に確認する点③

2024/01/12
 
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英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
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コントラクターが追加費用を請求できる場合

 

今回は、オーナーの資金面は問題なく手当てできたことを前提に、引き続き、「契約締結時に予定していた利益を適切に得られるようにするための注意点」についてお話ししたいと思います。

 

EPC契約における契約金額の定め方として、オーナーが最も好むのは、「lump sum契約」です。

 

これは、プラントの設計から建設完了までの全てのコントラクターの仕事に対して一括して契約金額を決める方法です。

 

この場合、原則として、オーナーは一度合意された契約金額以上の金額をコントラクターに支払う義務はありません。

 

もっとも、どんな場合でも、「契約金額が変更されない」、というわけではありません。

 

ある条件が満たされた場合には、コントラクターはオーナーから追加費用を支払ってもらうことができるようにEPC契約上の手当てをするべきです。

 

ここで、EPC契約をチェックする際には、「追加費用をオーナーに負担してもらうべき場合はこういう場合である」とあらかじめ知っておく必要があります。それを知らないと、オーナーがドラフトしたEPC契約中にコントラクターが追加費用を支払ってもらうべき場合が適切に定められているかのかいないのか、何を追記するべきなのかもわからないからです。

 

以下に、コントラクターが追加費用を負担してもらうべき主な場合を列挙します。

 

 

・オーナーが仕様変更を求めた場合

 

・法令変更があった場合

 

・税金の変更があった場合

 

・予見不能な出来事が起きた場合

 

・不可抗力が起きた場合(ケースによる。詳しくは「EPC契約のポイント」の不可抗力の記事を参照)

 

・オーナー都合の作業中断権が行使された場合

 

・オーナーのEPC契約違反があった場合(サイトの占有権の取得、サイトへのアクセス権の取得、その他必要な許認可の取得等に遅延があった場合)

 

追加費用を請求するための手続き

 

この追加費用の請求について特に気を付けていただきたいのが、「手続き」です。

 

通常、オーナーからドラフトされてくるEPC契約書には、以下のような条文があるのが一般的です。

 

「コントラクターは、追加費用を請求できると考える事象が生じてから○日以内にオーナーに対して書面でその事象と追加費用金額について通知しない場合には、その請求権を失うものとする」

 

つまり、何らの手続きもせずに黙っていると、コントラクターは追加費用を得ることはできなくなりえるのです。

 

とはいえ、上記のような条文を削除してもらうのは、オーナーによっては難しいかもしれません。せいぜい、通知をするための猶予期間を延ばすという修正はできるかもしれません。

 

この「オーナーに対する通知」を行うのは、現場で作業を監督するプロジェクトマネージャーの方になることが多いのではないでしょうか。その方がEPC契約の本文に定められているこの条文をしっかりと読んで覚えていないと、うっかりこの通知をオーナーに出すことを忘れてしまうかもしれませんので、社内でのプロジェクトマネージャーの方への教育で対応する必要があると思います。

 

この追加費用の支払いによる契約金額の変更をコントラクターが受けられないようだと、コントラクターのコストが膨らみ、コントラクターが期待していた利益を得られなくなることになるので、①いかなる場合に追加費用を得られるか、②どのような手続きを経なければならないか、を十分に理解し、必要に応じてEPC契約を修正していただければと思います。

これでEPC契約をチェックする優先順位がわかる!

私がEPC契約で真っ先に確認する点①

私がEPC契約で真っ先に確認する点②

私がEPC契約で真っ先に確認する点③

この記事をご覧になった方は、以下もお勧めです。

「EPCコントラクターからみたプロジェクトファイナンス

①企業による資金調達にはどんなものがあるか?

②発電所建設事例

③EPCコントラクターが注意するべき点

英文EPC契約の実務』は、お陰様で出版から6度の増刷となっております。

この本は、

・重要事項についての英語の例文が多数掲載!

・難解な英文には、どこが主語でどこが動詞なのかなどがわかるように構造図がある!

・もちろん、解説もこのブログの記事よりも詳しい!

・EPCコントラクターが最も避けたい「コストオーバーランの原因と対策」について、日系企業が落ちいた事例を用いて解説!

・英文契約書の基本的な表現と型も併せて身につけることができる!

ぜひ、以下でEPC契約をマスターしましょう!

 

EPC契約のポイントの目次

Scope of Work ボンドのon demand性を緩和する方法 プラントの検収条件と効果
サイトに関する情報 コントラクターによる仕事の開始時期(納期の起算点)は? 危険の移転時期とその例外
オーナーの義務 仕事の遂行 債務不履行
契約金額の定め方と追加費用の扱い 設計(design)の条文について① 納期延長の場合のコントラクターの責任① 納期延長になる場合
追加費用の負担について 設計(design)の条文について② 納期延長の場合のコントラクターの責任② LD/リキダメ
ボンドについて 仕様変更① 仕様変更とは? 納期延長の場合のコントラクターの責任③ 納期LDの上限
入札保証ボンド 仕様変更② クレーム手続きと仕様書に書かれていない事項 納期延長の場合のコントラクターの責任④ sole and exclusive remedy
前払金返還保証ボンド 仕様変更③ 納期延長と追加費用の金額が合意に至らない場合の扱い 納期延長の場合のコントラクターの責任⑤ 中間マイルストーンLD
履行保証ボンド プラントの試験① 性能未達の場合のコントラクターの責任① 性能保証と性能確認試験
瑕疵担保保証ボンド プラントの試験② 性能未達の場合のコントラクターの責任② 最低性能保証・性能LD
責任制限条項① Limitation of Liability/LOL 不可抗力の扱い③ Force Majeureの効果を得るための手続き 私がEPC契約で真っ先に確認する点③
責任制限条項② 適用される場合と適用されない場合 不可抗力の扱い④ Force Majeureが長期間継続した場合 LOIの何がリスクなのか?
瑕疵担保責任① 総論 法令変更について LOIへの対処法(対外的)
瑕疵担保責任② オーナーの通知義務とコントラクターのアクセス権 契約解除① なぜ解除の理由によって解除の効果が異なるのか? LOIへの対処法(社内的)
瑕疵担保責任③ 保証期間の延長 契約解除② オーナーの義務違反に基づくコントラクターによる契約解除 EPC契約における支払い条件
瑕疵担保責任④ Disclaim(免責)条項 契約解除③ オーナーの自己都合解除
作業中断権① 中断権の存在意義 契約解除④ コントラクターの債務不履行に基づくオーナーによる契約解除
作業中断権② 中断権行使の効果 契約解除⑤ 不可抗力事由が長期間継続した場合
不可抗力の扱い① Force Majeureとは何か? 私がEPC契約で真っ先に確認する点①
不可抗力の扱い② Force Majeureの効果 私がEPC契約で真っ先に確認する点②

 

【私が勉強した原書(英語)の解説書】

残念ながら、EPC/建設契約についての日本語のよい解説書は出版されておりません。本当に勉強しようと思ったら、原書に頼るしかないのが現状です。

原書で勉強するのは大変だと思われるかもしれませんが、契約に関する知識だけでなく、英語の勉強にもなりますし、また、留学しなくても、英米法系の契約の考え方も自然と身につくという利点がありますので、取り組んでみる価値はあると思います。

EPC/建設契約の解説書 EPC/建設契約の解説書 納期延長・追加費用などのクレームレターの書き方
法学部出身ではない人に向けて、なるべく難解な単語を使わずに解説しようとしている本で、わかりやすいです。原書を初めて読む人はこの本からなら入りやすいと思います。 比較的高度な内容です。契約の専門家向けだと思います。使われている英単語も、左のものより難解なものが多いです。しかし、その分、内容は左の本よりも充実しています。左の本を読みこなした後で取り組んでみてはいかがでしょうか。 具体例(オーナーが仕様変更を求めるケース)を用いて、どのようにレターを書くべきか、どのような点に注意するべきかを学ぶことができます。実際にクレームレターを書くようになる前に、一度目を通しておくと、実務に入りやすくなると思います。
納期延長・追加費用のクレームを行うためのDelay Analysisについて解説書 海外(主に米国と英国)の建設契約に関する紛争案件における裁判例の解説書 英国におけるDelay Analysisに関する指針
クリティカル・パス、フロート、同時遅延の扱いに加え、複数のDelay Analysisの手法について例を用いて解説しています。 実例が200件掲載されています。実務でどのような判断が下されているのかがわかるので、勉強になります。 法律ではありません。英国で指針とされているものの解説です。この指針の内容は、様々な解説書で引用されていますので、一定の影響力をこの業界に及ぼしていると思われます。
Society of Construction Law Delay and Disruption Protocol

2nd edition February 2017

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