英文契約書の中で、「権利」を表す表現は何?

      2017/06/21

 

英文契約の中でmay/be entitled toの意味は?

 

前回は、義務を表すshallを紹介させていただきました。

 

今回は、義務の対概念である「権利を表す表現」を紹介させていただきたいと思います。

 

おそらく、多くの方は、こう考えられたのではないでしょうか?

 

権利=「~することができる」=can

 

実は、これは誤りです。canは、何かをすることが物理的に可能なことを表現するためのもので、権利を表す意味はありません。

 

では、権利を表す表現として一般的に使われている文言は何か?

 

答えは、「be entitled to」または「may」です。

 

mayと聞くと、真っ先に思いつくのは、「~かもしれない」でしょう。つまり、「可能性」の意味ですね。確かに中学校でそう習いました。

 

実際、英和辞典ジーニアスでmayを引くと、最初に記載されている意味は「可能性」です。

 

実は、ジーニアスによれば、mayの原義は「~できる」とされています。(ちなみに、前回ご紹介させていただいたshallの原義は「義務がある」です。とはいえ、契約書で用いられる単語が全てその原義の意味で使用されるわけではありません)

 

具体例としては、ある契約に定められている以下のような条文があります。

 

“The Owner may terminate this agreement at any time by giving a thirty (30) days advance written notice to the Contractor”

 

(訳:オーナー(注文者)は、コントラクター(請負人)に対して30日前の事前通知を送付することで、いつでもこの契約を解除することができる。)

 

 

mayは「可能性」という意味でも使われる

 

もっとも、契約書中に出てくるmayが権利ではなく、「可能性」を意味する場合もあります。

 

例えば、以下のような条文です。

 

“The performance test of the plant shall be conducted within 6 months from the date of taking over of the plant or within such other period as may be agreed between Contractor and Owner”

 

これは、「プラントの性能試験は、プラントの検収日から6ヶ月以内、または、コントラクターとオーナー間で合意されうる他の期間内に実施されなければならない。」という意味の条文です。赤色のmayが「可能性」の意味を持っています。

 

というわけで、契約書中でmayに遭遇したとしても、必ずしもそれは「権利を表現している」とは言えませんので、文脈の中でその意味を判断する必要があります。ただ、その判断は、さほど難しくないと思います。

 

ちなみに、私は、自分で契約書をドラフトする際に権利を表現したい場合には、ほぼbe entitled toを使用するようにしています。理由は、mayを権利の意味として使うと、可能性の意味か?それとも権利の意味か?と読み手が一瞬考えてしまうことがあると思うからです。be entitled toを権利として使うと決めておけば、少なくとも、自分が作成した契約書では、そのような誤解を生じさせることはなくなります。

 

 

be entitled toについて

 

ところで、なぜbe entitled toが「権利」を表すのでしょうか?

 

まず、entitleとは、「~する権限を与える」という意味です。

 

これが受動態の形をとると、「~する権限が与えられる」という意味になります。

 

「~する権限を与えられる」ということは、簡単に言えば、「~することができる」となりますよね。

 

よって、be entitled to doは「~することができる」、つまり「権利」を表すことになります。

 

義務はshall、権利はbe entitled toまたはmayというのは、英文契約書では基本の表現であり、かなり頻繁に出てきますので、覚えていただければと思います。

 

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第11回 ~の場合

第12回 ~の範囲で、~である限り

第13回 契約を締結する

第14回 契約締結日と契約発効日

第15回 事前の文書による合意

第16回 ~を含むが、これに限らない

第17回 費用の負担

第18回 努力する義務

第19回 知らせる

第20回 責任

第21回 違反する

第22回 償還する

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英文契約書の基本的な表現 第33回 「~を履行する」

英文契約の基本的な表現 第34回 果たす、満たす、達成する

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英文契約の基本的な表現 第41回 補償・保証債務の負担・品質の保証の表現のまとめ

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 - 英文契約の基本的な表現の習得