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本郷塾で学ぶ英文契約

初めて教育係(メンター)に選ばれた方へ②~実践するべきことは?~

2022/05/22
 
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英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
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前回は、メンターとしての重要なマインドについてお話ししました。

 

今回は、そのマインドに基づいて、メンター期間中に私が心がけたことについてです。

 

 

知識を与えるよりも機会を与える

 

自分が到達したレベルに1年でも早く到達させるにはどうしたらよいか?

 

それは、色々なことを教えることだと思われるでしょう。

 

では、自分がこれまで学んだ知識をとにかく教えればよいのか?

 

実は私は、私にとてもよくしてくださった先輩や上司の方々から、何か特定の知識そのものを教わったことは、あまり多くありません。

 

では、その先輩方は私に何をしてくれたのか?

 

それは、数え切れないほどの、「経験する機会」を与えることです。

 

小さな案件から大きな案件まで、その中には、他の部員の人がそうそう経験できないような貴重な案件で、本来なら誰にも任せずに、自分がやってしまいたいと考えるのではないかと思えるような案件も含まれていました。

 

その案件に取り組む過程で、私は多くの知識を得ました。このブログに乗せている「EPCのポイント」も「英語の勉強の仕方」も全て与えていただいた案件を通して自ら得た知識です。

 

経験から学んだ知識は、自分のものです。

 

一方、与えられた知識は、他人のものです。

 

どんなものでも、他人のものを使いこなすのは、なかなかうまくいきません。しかし、自分のものなら容易に使えるようになるでしょう。

 

 

 

相談されたときの対応

 

繰り返しになりますが、新人は何かとわからないものです。

 

そのため、おそらく、頻繁にあなたに質問や相談をしてきます。

 

そのときに取る対応は、大きく2つに分かれます。

 

一つは、「今手が離せないから、後で声かけるからそれまで待ってて」といってしばらくの間放置。ときには数時間に及ぶ放置の末、「さっきの話、何?」ということもある。

 

二つ目は、「いいよ」といって即座に話を聞く。

 

職場を見ていると、一つ目の対応が多いように思います。

 

私が新人の頃も、実際、一つ目が多かったです。

 

これはなぜなのでしょう?

 

それは、「新人の相談に乗るよりも、今自分が取り組んでいる仕事の方が重要だ」と思っているからではないでしょうか。

 

それはそうですよね。新人にそんな重要な仕事を任せるわけないのだから、新人が相談してくる内容なんて、中身を聞かなくても、自分がやっている仕事の方が断然重要だと思いますよね。

 

私もそう思っていました。なので、一つ目の対応をされても、なんとも思いませんでした。それが普通だと思っていました。そして、「自分が先輩になってもそうしよー」と思っていました。

 

しかし、私がある先輩に相談しに行ったとき、その先輩はこう言いました。

 

「うん、いいよ」

 

そして、席を立って、少し離れた商談机のところまで行き、「どんな相談?」と言いました。

 

私は、即座に話を聞いてもらえたのが初めてだったので、かなり驚き、あれから10年以上たった今でも、そのとき相談した契約書の概要を覚えているくらいです。

 

その先輩は、そのときたまたま暇だったのでしょうか?

 

いえ、違います。

 

その先輩は、いつも余裕をもって仕事をしていました。

 

「期限ぎりぎりだ!」といったように慌てて仕事をしている姿を見たことがほとんどありませんでした。

 

そのため、後輩から相談を持ち掛けられても、大抵の場合、すぐに対応できていたのでしょう。

 

また、おそらく、いつも私が「今忙しいからあとでね」と後回しにされていたのを見ていて、その先輩は自分の新人時代を思い出し、何かを感じていたのかもしれません。

 

このことがあったため、私はメンターに選ばれたときに、後輩から相談を受けた場合にどちらの対応をするべきか考えました。

 

そして出した結論は、次の通りです。

 

「自分がそのとき取り組んでいる仕事の期限が迫っており、後輩の相談にのっていたらそれに間に合わなくなるという事情がない限り、速攻で相談にのる」

 

その理由は、以下の通りです。

 

・部長は、部下が報告・相談をしてきた際、大抵の場合、その場で話を聞いている。

 

部長は判断をする人です。その部長のところに報告・相談をしに行ったのに、「あとでいい?」と頻繁に言っていたら、途端に部の仕事は回らなくなり、大勢の部下が残業に陥るばかりか、それが重要案件であった場合、会社の事業の円滑な進行の妨げにもなってしまいます。ここで、メンターに選ばれたときのマインドとして、「自分は部長候補に選ばれたと思い込む」というものがありました。そう。部長候補は、部長になったときの練習を、メンターを通してしなければならないのだ!と自分に言い聞かせました(大袈裟ですか?)。

 

 

・新人が相談してくる内容は、メンターにとって大した相談ではない。

 

新人の方々にはムッとくることかもしれませんが、これは間違いありません。新人に、やたら難しい仕事が与えられることなんてないんです。少なくとも、メンターに選ばれるような人なら、話を聞けば即答できるようなものばかりです。つまり、新人の相談のために取られる時間なんて、ほとんどかからないのです。そして、その場で新人がどう対応すればよいのか教えるのか、あるいは教えずに「自分でもっと調べなさい」と言うのかはメンター次第ですが、いずれにしろそれを速攻で指示してあげたほうが、新人も次のアクションに素早く移れるでしょう。結果として、多くの場合、待ち時間がなくなるので、新人は仕事を早く終わらせられるようになります。

 

 

・あらゆる仕事を前倒しで取り組んでいれば、新人に相談されたときに期限ギリギリで相談にのっていられない、なんていう事態は滅多に起きない。

 

私が新人のときに、初めて速攻で相談にのってくれた先輩がそうであったように、仕事を前倒しで行うようにすると、時間に常に余裕が出てきます。そうすれば、新人が相談に来ても、速攻で対応できます。結果として、自分も新人も仕事を早く終わらせることができるようになります。私はメンターに選ばれてから、それまでよりもずっと普段の仕事を前倒しで終わらせるようにしていました。そうすることで、新人への相談にも余裕をもってとりくむことができ、その分、相談への対応も充実させられます。これは「自分が到達したレベルに1年でも早く到達してもらうようにする」ということに資することにもなったように思います。

 

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