実務で必要なスキルを24時間どこにいても学べる!

本郷塾で学ぶ英文契約

英文契約でmaterial breachとは?

2023/07/22
 

youtubeで英文契約の頻出英単語の解説を始めました!よろしければ、チャンネル登録をよろしくお願いいたします!

こちらから!

11月26日(火)EPC契約の初心者に向けたオンラインセミナーを開催いたします!

セミナーの概要および申し込み方法など、詳しくはこちらをご覧ください。

この記事を書いている人 - WRITER -
英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
詳しいプロフィールはこちら

契約や法律に違反することをbreachと言います。

 

このbreachに、materialfundamentalがつくことがあります。

 

つまり、

 

  • material breach

 

  • fundamental breach

 

という表現です。

 

これはらは、「重大な違反」という意味になります。

 

「重大な契約違反」という文言が使われる場面

 

この「重大な違反」とは、一体どのような場面で使われるのでしょうか?

 

そもそも、違反は、「するかしないか」であって、その違反が軽微なのか重大なのかによって、効果が変わってくるものなのでしょうか。

 

例え軽微な違反に過ぎない場合でも、相手方が損害を被ったなら、違反した当事者はその損害を賠償しなければならないでしょう。

 

とすると、違反が軽微か重大かなんて、関係ないようにも思えますよね?

 

しかし、契約書では、「重大な違反」という文言が使われることがあります。

 

それはどのような時かと言いますと、「契約を解除する条件」を表すときです。

 

契約の解除は、締結された契約が無かったことになるというものです。

 

その影響は、単なる損害賠償の支払い以上に大きいものになりそうですよね。

 

よって、契約解除権の行使が認められるのは、単なる契約違反の場合ではなく、重大な契約違反の場合に限定しようとする場合があるのです(もちろん、そのような限定をしなければならないわけではありません)。

 

そこで、解除権が生じる契約違反とそれ以外の契約違反を分ける意味で、「重大な契約違反」という文言が使われます。

 

「重大な契約違反」を設ける場合の注意点

 

この重大な契約違反という文言を使う際に注意したいのは、「一体何が重大な契約違反に当たるのかを明確に定めておく必要がある」ということです。

 

例えば、解除の条文に、「契約当事者が契約の重大な違反をした場合には、相手方当事者は契約を解除することができる」という条文があったとします。

 

しかし、これだけだと、何をしたら重大な違反に当たるのかがわかりません。

 

その場合、当事者が契約違反をした際に、都度、「これは重大な違反なのか否か」という議論が生じてしまいます。

 

そこで、もしも解除の条件として重大な契約違反という文言を使う場合には、できる限り、「重大な契約違反とは何か?」を契約書に定めるべきです。

 

ここで、何を重大な契約違反とするかは、「それが果たされない場合には、契約を締結した意義が失われるような大事な事項の違反」と抽象的には言えると思います。

 

例えば、

 

  • 売主が単に納期に遅れることだけでは重大な違反ではないが、納期遅延の結果、納期LDの上限に到達した場合

 

  • 買主がLCを期日までに解説しない場合

 

  • 支払方法としてLCを使わない場合には、買主が期日から何日以内に対価を支払わない場合

 

といったようなことを「重大な契約違反」と定義して、その場合には契約を解除することができる、と定めることが考えられます(この他にも、個別の契約の事情に応じて、「重大な違反」を設定してください)。

 

上記はどれも、契約を締結した意義を失わせるようなレベルの違反と言えるでしょう。

 

補足

 

なお、material breachfundamental breachの間に差はないと考えてよいです。

 

また、「重大な契約違反」を、「重大な義務の違反」=breach of material (fundamental) obligationと書く場合もあります。これは、material (fundamental) breachと同じ意味だと考えてよいです。

 

目次
第1回 義務 第10回 ~に関する 第19回 知らせる
第2回 権利 第11回 ~の場合 第20回 責任
第3回 禁止 第12回 ~の範囲で、~である限り 第21回 違反する
第4回 ~に定められている、~に記載されている 第13回 契約を締結する  

第22回 償還する

第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足) 第14回 契約締結日と契約発効日 第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD)
第6回 ~に従って 第15回 事前の文書による合意 第24回 故意・重過失
第7回 ~に関わらず 第16回 ~を含むが、これに限らない 第25回 救済
第8回 ~でない限り、~を除いて 第17回 費用の負担 第26回 差止
第9回 provide 第18回 努力する義務 第27回 otherwise

 

 

第28回 契約の終了

第38回 権利を侵害する 第48回 遅延利息
 

第29回 何かを相手に渡す、与える

第39回 保証する 第49回 重大な違反
 

第30回 due

第40回 品質を保証する 第50回 ex-が付く表現
第31回 瑕疵が発見された場合の対応 第41回 補償・品質保証 第51回 添付資料
第32回 ~を被る 第42回 排他的な 第52回 連帯責任
第33回 ~を履行する 第43回 第53回 ~を代理して
第34回 果たす、満たす、達成する 第44回 第54回 下記の・上記の
第35回 累積責任 第45回 瑕疵がない、仕様書に合致している 第55回 強制執行力
第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害を表す表現 第46回 証明責任 第56回 in no event
第37回 補償・免責 第47回 indemnifyとliableの違い 第57回 for the avoidance of
 
第58回 無効な 第68回 representations and warranties
第59回 whereについて 第69回 material adverse effect
第60回 in which event, in which case 第70回 to the knowledge of
第61回 株主総会関係 第71回 GAAP
第62回 取締役・取締役会関係 第72回 covenants
第63回 indemnifyとdefendの違い
第64回 Notwithstandingと責任制限条項
第65回 M&Aの全体の流れ
第66回 conditions precedent
第67回 adjustment

 

【私が勉強した参考書】

基本的な表現を身につけるにはもってこいです。

ライティングの際にどの表現を使えばよいか迷ったらこれを見れば解決すると思います。

アメリカ法を留学せずにしっかりと身につけたい人向けです。契約書とどのように関係するかも記載されていて、この1冊をマスターすればかなり実力がupします。 英文契約書のドラフト技術についてこの本ほど詳しく書かれた日本語の本は他にありません。 アメリカ法における損害賠償やリスクの負担などの契約の重要事項についての解説がとてもわかりやすいです。

 

この記事を書いている人 - WRITER -
英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
詳しいプロフィールはこちら

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Copyright© 本郷塾で学ぶ英文契約 , 2017 All Rights Reserved.