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本郷塾で学ぶ英文契約

英文契約書における「知らせる」という表現

2023/07/19
 

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英文契約の基本的な表現 第19回です!

 

今回は、「~を知らせる」を表す表現についてご紹介します。

 

契約は、複数の当事者間で締結されるものです。

 

決して当事者が一人の契約というものはありません。

 

なぜなら、当事者間の権利義務を確認するのが契約書の主たる目的だからです。

 

そのため、複数の当事者間の間で、契約締結後も、連絡を取り合うことがよくあります。

 

連絡を取り合う方法は、実際に当事者同士がどこかで会って話をする方法もありますし、メールや電話、そして書面による通知で連絡をすることもあるでしょう。

 

ここで、連絡を取るとは、つまり、「何かを知らせる」ということです。

 

そのため、契約書に中には、「何かを相手に知らせる」という表現がよく使われるのです。

 

では、「何かを相手に知らせる」とは、どのような表現が使われるでしょうか?

 

let 人 know ~

 

で、「人に事を知らせる」という意味になりますね。

 

しかし、私は契約書中でこの表現で「何かを相手に伝える」という意味を表している条文を見たことがありません。

 

次の二つの表現が多いように思います。

 

inform 人 of ~

 

notify 人 of ~

 

以下、例文です。

 

The Contractor shall inform the Owner of the completion of the Plant in written.

訳:コントラクターは、オーナーに、プラントが完成完成したことを書面で知らせなければならない。

 

The Purchaser must notify the Seller of the defect in the Product in written no later than 5 days after the Purchaser finds the defect.

訳:買主は、売主に対して、欠陥を発見してから5日以内に製品の欠陥を書面で知らせなければならない。

 

この他にも、次のような表現も契約書ではよく見かけます。

 

the Purchaser must issue to the Seller the written notice stating the nature of the defective part in detail.

訳:買主は、売主に対して、欠陥部分の性質を詳細に記載した書面の通知を発行しなければならない。

 

これは、issue to 人 the written notice stating~で、「~を記した書面による通知を相手に発行する」という意味です。先ほどご紹介したinformやnotifyとは違う表現ですが、これも、「何かを相手に伝える」という意味を表すことができますね。ちなみに、the notice statingの後には、名詞を置いてもよいし、that節、つまり、that 主語+動詞を置いてもよいです。

 

なお、相手方にあることを伝えることが求められている場合には、そのための期限が定められていることがあります。その期限内に相手に通知を出さないと、本来受けられるはずの利益を受けられないことになります。

 

よって、契約書の中で、何かを相手方に知らせることが求められている場合には、その知らせるための期限が何日なのか、そして、「現実的にその期間内に通知を出すことが可能なのか」をよく検討するようにしてください。そして、もしも現実的にその期間内に通知をすることが難しいと感じた場合には、その期間をもっと長くしてもらえるように相手と協議するべきです。そうしないと、本来得られるはずの利益を失い、その結果、思わぬ損失を自社が被ることにもなりかねません。

 

目次
第1回 義務 第10回 ~に関する 第19回 知らせる
第2回 権利 第11回 ~の場合 第20回 責任
第3回 禁止 第12回 ~の範囲で、~である限り 第21回 違反する
第4回 ~に定められている、~に記載されている 第13回 契約を締結する  

第22回 償還する

第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足) 第14回 契約締結日と契約発効日 第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD)
第6回 ~に従って 第15回 事前の文書による合意 第24回 故意・重過失
第7回 ~に関わらず 第16回 ~を含むが、これに限らない 第25回 救済
第8回 ~でない限り、~を除いて 第17回 費用の負担 第26回 差止
第9回 provide 第18回 努力する義務 第27回 otherwise

 

 

第28回 契約の終了

第38回 権利を侵害する 第48回 遅延利息
 

第29回 何かを相手に渡す、与える

第39回 保証する 第49回 重大な違反
 

第30回 due

第40回 品質を保証する 第50回 ex-が付く表現
第31回 瑕疵が発見された場合の対応 第41回 補償・品質保証 第51回 添付資料
第32回 ~を被る 第42回 排他的な 第52回 連帯責任
第33回 ~を履行する 第43回 第53回 ~を代理して
第34回 果たす、満たす、達成する 第44回 第54回 下記の・上記の
第35回 累積責任 第45回 瑕疵がない、仕様書に合致している 第55回 強制執行力
第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害を表す表現 第46回 証明責任 第56回 in no event
第37回 補償・免責 第47回 indemnifyとliableの違い 第57回 for the avoidance of
 
第58回 無効な 第68回 representations and warranties
第59回 whereについて 第69回 material adverse effect
第60回 in which event, in which case 第70回 to the knowledge of
第61回 株主総会関係 第71回 GAAP
第62回 取締役・取締役会関係 第72回 covenants
第63回 indemnifyとdefendの違い
第64回 Notwithstandingと責任制限条項
第65回 M&Aの全体の流れ
第66回 conditions precedent
第67回 adjustment

【私が勉強した参考書】

基本的な表現を身につけるにはもってこいです。

ライティングの際にどの表現を使えばよいか迷ったらこれを見れば解決すると思います。

アメリカ法を留学せずにしっかりと身につけたい人向けです。契約書とどのように関係するかも記載されていて、この1冊をマスターすればかなり実力がupします。 英文契約書のドラフト技術についてこの本ほど詳しく書かれた日本語の本は他にありません。 アメリカ法における損害賠償やリスクの負担などの契約の重要事項についての解説がとてもわかりやすいです。
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