英語の契約書の”notwithstanding”とは「~にもかかわらず」
今回は、「notwithstanding」という英単語についてご紹介させていただきたいと思います。
これは、「~にもかかわらず」という意味です。
この記事では、この表現の使い方と、類義語について例文を用いて解説いたします!
notwithstanding
この単語は、英語の契約書中では以下のように使用されます。
Notwithstanding anything provided in this agreement, this indemnity clause shall apply.
訳:この契約に定められているいかなる規定にも関わらず、この免責条項は適用されるものとする。
Notwithstanding anything to the contrary in this agreement, the aggregate liability of the Supplier to the Purchaser shall not exceed the contract price of this agreement.
訳:この契約に矛盾するいかなる規定にも関わらず、供給者の購買者に対する累積責任は、この契約の契約金額を超えない。
Notwithstanding the foregoing, the Purchaser shall bear and promptly pay all customs and import duties imposed by the law.
訳:上述にも関わらず、購入者は、法律によって課される全ての関税および輸入税を負担し、直ちに支払うものとする。
notwithstandingの使い方
契約書には、様々なことが記載されます。中には、一見すると、「あれ?ここの条文って、別のところに定められているあの条文の内容と矛盾するんじゃない?」と思えるような場合もあります。
そのような場合に、「この契約の別の箇所に違うことが書いてあったとしても、それにも関わらず、ここに定めたように扱います」ということを明確にするために、このnotwithstandingが使用されます。
よって、ある条文を読んだ際に、自社にとって何か有利になるような記載があったとしても、別の箇所で、このnotwithstandingという表現のもとで、ある特定の場合には、自社にとって不利に扱われることが記載されている可能性もありますので注意が必要です。
具体的には、契約文言のチェックの最後には、特にこの「notwithstanding」という表現について、ワードの検索機能を利用してチェックして、「Notwithstanding anything provided in this agreement」といった表現の後に続く条文中に、自社にとって受け入れがたい、何か不利なことが記載されていないかを確認するようにするとよいと思います。
同様の意味を持つ単語
ちなみに、このnotwithstandingと同様の意味を持つものとして、以下のような表現もありますので合わせて覚えていただければと思います(英英辞典でも、これらは同じ意味であるとされております)。
- regardless of
regardless of Section2(第2条の定めにかかわらず)
- despite
despite any consent or approval under this Clause(本条に基づく承認にもかかわらず)
- irrespective of
irrespective of Article 6.1 of this Agreement(本契約の第6条第1項にかかわらず)
- nevertheless
- nonetheless
- in spite of
なお、このNotwithstandingは、責任制限条項(limitation of liability)との関係で注意すべき点があります。
それは、以下の記事に記載しましたので、ぜひお読みください!
「Notwithstandingと責任制限条項の重要な関係」
英文契約を読むなら、まずはこの英文契約の基本的な表現と型を押さえましょう!
英文契約を読む際に、まずこれだけは押さえておくべき!という英文契約の基本的な型を構成する英単語は以下のようなものです。
・hereto/hereof/herein/hereinafterやthereof/thereby/thereafterなど
・shall 義務
・shall not 禁止
・may 権利
・if, when, whereなど、「~の場合」を表す表現
・unlessやexceptなど、「~でない限り」、「~を除いて」を表す表現
・otherwise「別途」を表す表現
・notwithstanding ~にかかわらず
・regarding, in connection with, in respect ofなど「~に関して」を表す表現
・to the extent ~の範囲で
・pursuant to, in accordance withなどの「~に従って」を表す表現
・provided inやspecified inなど、「~に定められている」を表す表現
・however provided that 「ただし」を表す表現
これを覚えれば英文契約をずっと読みやすくなる!英単語レベル2
3.「~を履行する」
7.「添付資料」
10.「契約の終了」
はじめて契約書を修正する人が知っておくと便利なこと
契約書の修正は、どんな場合にするの?修正理由はどう書けばいい?
そんなお悩みを解決するのがこちらの記事です。→「はじめて契約書の修正をする際に知っておきたいこと」
目次 | ||
第1回 義務 | 第10回 ~に関する | 第19回 知らせる |
第2回 権利 | 第11回 ~の場合 | 第20回 責任 |
第3回 禁止 | 第12回 ~の範囲で、~である限り | 第21回 違反する |
第4回 ~に定められている、~に記載されている | 第13回 契約を締結する |
第22回 償還する |
第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足) | 第14回 契約締結日と契約発効日 | 第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD) |
第6回 ~に従って | 第15回 事前の文書による合意 | 第24回 故意・重過失 |
第7回 ~に関わらず | 第16回 ~を含むが、これに限らない | 第25回 救済 |
第8回 ~でない限り、~を除いて | 第17回 費用の負担 | 第26回 差止 |
第9回 provide | 第18回 努力する義務 | 第27回 otherwise |
第28回 契約の終了 |
第38回 権利を侵害する | 第48回 遅延利息 |
第29回 何かを相手に渡す、与える |
第39回 保証する | 第49回 重大な違反 |
第30回 due |
第40回 品質を保証する | 第50回 ex-が付く表現 |
第31回 瑕疵が発見された場合の対応 | 第41回 補償・品質保証 | 第51回 添付資料 |
第32回 ~を被る | 第42回 排他的な | 第52回 連帯責任 |
第33回 ~を履行する | 第43回 | 第53回 ~を代理して |
第34回 果たす、満たす、達成する | 第44回 | 第54回 下記の・上記の |
第35回 累積責任 | 第45回 瑕疵がない、仕様書に合致している | 第55回 強制執行力 |
第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害を表す表現 | 第46回 証明責任 | 第56回 in no event |
第37回 補償・免責 | 第47回 indemnifyとliableの違い | 第57回 for the avoidance of |
第58回 無効な | 第68回 representations and warranties | |
第59回 whereについて | 第69回 material adverse effect | |
第60回 in which event, in which case | 第70回 to the knowledge of | |
第61回 株主総会関係 | 第71回 GAAP | |
第62回 取締役・取締役会関係 | 第72回 covenants | |
第63回 indemnifyとdefendの違い | ||
第64回 Notwithstandingと責任制限条項 | ||
第65回 M&Aの全体の流れ | ||
第66回 conditions precedent | ||
第67回 adjustment |
【私が勉強した参考書】