実務で必要なスキルを24時間どこにいても学べる!

本郷塾で学ぶ英文契約

契約金額の条文で気を付けるべきことは?

2024/01/05
 
オンラインセミナーの年度末大幅割引のご案内(お申込み期限:3/31)

本郷塾のオンラインセミナーの中から、13講座について、大幅割引価格でご提供いたします。

お申込み期限は3/31(日)です。

受講方法やカリキュラムの詳細は以下のページでご確認いただけます。

ぜひ、この機会をご利用ください。

来年4月から企業に入社予定の方々も大歓迎です!

大幅割引価格の受講方法とカリキュラム

この記事を書いている人 - WRITER -
英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
詳しいプロフィールはこちら

 

今回は、売買契約における対価についての条文についてお話しします。

 

「対価なんて、金額があっているかどうかチェックだけだろ?そんなの間違いようがない!」

 

こう思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

でも、本当にそうですか?

 

では、試しに、「直近で海外の企業と取引をした契約の契約金額」を思い出してみてください。

 

 

・・・思い出しましたか?では、質問します。

 

  • その契約金額には、買主の国の港まで製品を届けるための輸送費用は含まれていますか?

 

  • また、製品の輸送について保険を付したと思いますが、その保険料分は含まれていますか?

 

  • そして、その製品について何らかの税金が課せられた場合、その税金は買主が負担するのでしょうか?それとも、あなたの会社が負担する、つまり、契約金額にそれが含まれているという扱いでしょうか?

 

  • さらに、もしも契約締結後、製品を製造するまでの間に、製品を作るために必要になる資材や労務費が高騰した場合には、その高騰した分の費用を買主に負担してもらえるのでしょうか?

 

  • ちなみに、もしかして、製品の対価を思い浮かべたとき、通貨を円とした方もいるかもしれませんが、相手方が支払うのは本当に「円」ですか?「米ドル」などの他の通貨ではなかったですか?

 

上記の事項がはっきりしていないと、その取引で実際にあなたの会社に入る金額が全然違ったものになってきてしまいますよね。

 

よって、上記に列挙したような事項が、契約書に明記されていなければならないのです。いや、そもそも、それらは契約締結前に、相手方当事者間と十分に議論されて合意されていなければいけません

 

そうしないと、いざ契約書を作成する段階で、「あれ?輸送費はどうするんだ?」とか、「保険料を負担するのはどっちだっけ?」なんてことになり、再度相手方とその点について協議をしないといけないことになります。これでは、契約締結までに余計な時間がかかってしまいます。

 

 

対価についての条文

 

では、対価について定める条文の例を見てみましょう。

 

「買主が製品に支払う対価は、C.I.F. San Francisco, USAの条件でX米ドルとする。

 

本契約で別途明記されていない限り、価格と貿易条件「C.I.F.」については、2010年版のインコタームズ(改訂された場合は改訂版)に従って解釈するものとする。

 

本契約に定められた対価は確定的かつ最終のものとする。材料費、労務費、運賃もしくは保険料の変化、または租税もしくは関税の増税、または新規の租税もしくは関税の賦課によって生じる売主のコストの変化を理由にする対価の調整はなされないものとする。

 

船積国または原産地において、製品に対して租税、輸出関税、手数料、銀行手数料またはその他の料金が発生した場合、それらは全て売主が負担するものとする。」

 

上記の条文によると、まず、「X米ドル」との記載から、対価は米ドルであることがわかります。

 

また、買主の国の港までの輸送費と保険料は売主が負担することがわかります。これは、貿易条件を定めるインコタームズである「C.I.F. San Francisco, USA」という記載からわかります(※インコタームズについての詳しい説明は、別の回で行います)。

 

次に、製品について生じる税金については、「全て売主が負担する」とありますので、これも契約金額に含まれていることになります。

 

さらに、資材等が高騰した場合でも、その分の「調整は行われない」と定められていますので、売主は対価に加えて、材料費等の高騰分を買主に対して請求することができないことがわかります。

 

 

というわけで、繰り返しになりますが、取引先から契約書が送付されてきて、対価についての条文をチェックする際には、単に対価の数字をチェックすればよいのではなく

  • 輸送費
  • 保険料
  • 税金
  • 通貨
  • 資材・労務費等が高騰した場合の扱い

についてどうなっているのか?という観点で見る必要があります。

 

そして、契約締結前の協議の段階では、上記の事項について相手方と話をつけてくる必要があります。

 

 

対価についての英語の条文の例

 

ご参考に、英文の売買契約における対価の条文の例を記載します。

 

The contract price of the Product is U.S.$X C.I.F. San Francisco, USA.

 

Unless otherwise expressly provided herein, the price and trade terms “C.I.F” is interpreted in accordance with INCOTERMS 2010, as amended.

 

The contract price of the Product as set forth in this Agreement shall be firm and final and not be subject to any adjustment due to a change in the Seller’s cost which might occur due to any change in material or labor cost, freight rate or insurance premium, or any increase in tax or duty or imposition of any new tax or duty.

 

The Seller shall bear all taxes, export duties, fees, bank charges, or any other charges incurred on the Product arising in the country of shipment or origin.

売買契約・製造物供給契約の検討方法① 売買の流れを理解する! 売買・製造物供給契約の検討方法② 仕様については完全な理解を目指そう! 売買・製造物供給契約の検討方法③ 契約金額の条文で気を付けるべきことは?
売買・製造物供給契約の検討方法④ FOBやCIFはコンテナ輸送には不向き! 売買・製造物供給契約の検討方法⑤ 試験・検収に関する条文はこんなに重要!

2023年12月22日から、7冊目の著書、『1日15分で習得 契約類型別英単語1100』(中央経済社、価格:2,530円(税込み))が出版されました!

全国の大手書店さんで販売を開始しております。

ぜひ、書店さんにお立ち寄りの際に、パラパラとめくってみてください。

もちろん、アマゾンなどの通販でもお買い求めいただけます。

→アマゾンはこちらから!

→楽天はこちらから!

→紀伊国屋さんはこちら

→hontoはこちら

 

今回は、これまで以上に、見やすさと使いやすさを重視して本を作りました。

 

本書で学ぶことで得られる効果

自分の業務に必要な範囲に絞って効率よく英文契約書で頻出する英単語を身につけることができます。

 

それは、本書が以下に記載する特徴を備えているからです。

1.英文契約で頻出する英単語を契約類型毎に分類して掲載しています。

これにより、ご自分の業務でよく触れる機会がある契約で頻出する英単語に絞って取り組むことができるので、必要な分だけ効率よく契約英単語を身につけることができます。

具体的には、以下のように分類しています。

第一章 絶対に押さえておきたい英単語

第二章 英文契約の条文の基本的な型を構成する英単語

第三章 秘密保持契約の英単語

第四章 売買・業務委託契約の英単語

第五章 販売店契約の英単語

第六章 共同研究契約の英単語

第七章 ライセンス契約の英単語

第八章 合弁契約の英単語

第九章 M&A契約の英単語

第十章 一般条項に関する英単語

第十一章 その他の英単語

 

なお、どの分野の契約書を読む場合でも、まずは第一章~第4章の英単語を集中的に身につけることをお勧めします。これらの章に掲載されている英単語は、第五章~第九章までのどの種類の契約書にも頻出する英単語だからです。

2.同義語・類義語・反義語の英単語を近くに配置しています。

そのため、それらをまとめて覚えることができます。

バラバラに覚えようとするよりも、記憶に定着しやすいはずです。

3.単語の単純な意味を知っているだけでは業務を行う上では十分とはいえない50を超える単語について、重要事項として解説をしています(P162以降をご参照)。

例えば、liquidated damagesは「予定された損害賠償金額」ですが、これは具体的にどのようなものなのか?という点について、業務を行う上で最低限押さえておくべき事項を記載しております。

この記事を書いている人 - WRITER -
英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
詳しいプロフィールはこちら

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Copyright© 本郷塾で学ぶ英文契約 , 2017 All Rights Reserved.