英文契約書でよく見かける”notwithstanding”とは?

      2019/11/23

 

今回は、「notwithstanding」という英単語についてご紹介させていただきたいと思います。

 

notwithstanding

 

これまでに、この英単語を見たことがあるという方はどれほどいらっしゃるでしょうか?

 

私は、当社に入社して英文契約書を読むようになるまで、この英単語を見たことがありませんでした。

 

そして、初めて見た時は、「・・・これって、not…with…standingという3つの英単語なんじゃないの?意味は・・・「共に並び立たない」、とか?」

 

と思いました。

 

しかし、この英単語は、まちがいなくnotwithstandingという一つの英単語でした。

 

では、このnotwithstandingとは、いかなる意味でしょうか?



これは、契約書中では、以下のように使用されます。

 

Notwithstanding anything provided in this agreement, this indemnity clause shall apply.

訳:この契約に定められているいかなる規定にも関わらず、この免責条項は適用されるものとする。

 

Notwithstanding anything to the contrary in this agreement, the aggregate liability of the supplier to the purchaser shall not exceed the contract price of this agreement.

訳:この契約に矛盾するいかなる規定にも関わらず、供給者の購買者に対する累積責任は、この契約の契約金額を超えない。

 

Notwithstanding the foregoing, the purchaser shall bear and promptly pay all customs and import duties imposed by the law.

訳:上述にも関わらず、購入者は、法律によって課される全ての関税および輸入税を負担し、直ちに支払うものとする。

 

 

つまり、「~にも関わらず」という意味です。



 

英英辞典における意味

 

ちなみに英英辞典には、次のように意味が定義されております。

 

「without being affected by something/despite something」

 

契約書には、様々なことが記載されます。中には、一見すると、「あれ?ここの条文って、別のところに定められているあの条文の内容と矛盾するんじゃない?」と思えるような場合もあります。

 

そのような場合に、「この契約の別の箇所に違うことが書いてあったとしても、それにも関わらず、ここに定めたように扱います」ということを明確にするために、このnotwithstandingが使用されます。

 

よって、ある条文を読んだ際に、自社にとって何か有利になるような記載があったとしても、別の箇所で、このnotwithstandingという表現のもとで、ある特定の場合には、自社にとって不利に扱われることが記載されている可能性もありますので注意が必要です。

 

具体的には、契約文言のチェックの最後には、特にこの「notwithstanding」という表現について、ワードの検索機能を利用してチェックして、「Notwithstanding anything provided in this agreement」といった表現の後に続く条文中に、自社にとって受け入れがたい、何か不利なことが記載されていないかを確認するようにするとよいと思います。



 

同様の意味を持つ単語

 

ちなみに、このnotwithstandingと同様の意味を持つものとして、以下のような表現もありますので合わせて覚えていただければと思います(英英辞典でも、これらは同じ意味であるとされております)。

 

  • nevertheless
  • nonetheless
  • in spite of
  • despite

 

なお、このNotwithstandingは、責任制限条項との関係で注意すべき点があります。それは、こちらの記事に記載しましたので、ぜひお読みください!「Notwithstandingと責任制限条項の重要な関係

 

【英文契約の典型的な条文に用いられる表現のまとめ】

1.英文契約の条文の骨子となる表現 2.英文契約の条文の骨子に付随する頻出表現
(1)権利

(2)義務(作為義務禁止

(3)契約に違反する重大な契約違反

(1)~に定められている

(2)~に従って

(3)~に関して

(4)~に関わらず

(5)~を除く

(6)~の範囲で

(7)~の場合

(8)~を含むがそれに限られない

3.英文契に定められる重要な事項
(1)義務の履行

(i)~を履行する

(ii)~を満たす

(2)責任

①損害賠償

(i)(損害)を被る

(ii)liquidated damagesliquidated damagesとpenaltyの違い

(iii)責任上限

(iv)逸失利益

間接損害と逸失利益

Notwithstandingと責任制限の重要な関係

(iv)故意・重過失重過失と結果の重大性の関係

(v)遅延利息

②瑕疵担保(保証)

(i)保証する

(ii)瑕疵を修理・交換

第三者への損害

(i)indemnifyとbe liable for

(ii)indemnifyとdefend

契約解除

【英文契約の条文をドラフトする際に知っておくと便利なこと】の目次

ごあいさつ 名詞よりも動詞で書く
12個のルール 名詞よりも動詞で書く練習
良い条文とは? there is~、it is ~to doを使わない
権利ではなく、義務を中心にして書く! ofを削除する
義務を中心に書く練習 ofを削除する練習
不要なshallを削除する here-を使って書く
不要なshallを削除する練習 「~に従って」を使って書く
能動態で書く 「~に従って」を使って書く練習
受動態の条文を能動態に直す練習 原則と例外を表す表現を使う
主語・動詞・目的語を一塊に! 原則と例外を表す表現を使いこなす練習
英文契約の条文の基本類型を覚える 英文契約の条文の基本類型を使いこなす練習

【私が勉強した参考書】

基本的な表現を身につけるにはもってこいです。

ライティングの際にどの表現を使えばよいか迷ったらこれを見れば解決すると思います。

アメリカ法を留学せずにしっかりと身につけたい人向けです。契約書とどのように関係するかも記載されていて、この1冊をマスターすればかなり実力がupします。 英文契約書のドラフト技術についてこの本ほど詳しく書かれた日本語の本は他にありません。 アメリカ法における損害賠償やリスクの負担などの契約の重要事項についての解説がとてもわかりやすいです。

 

目次
第1回 義務 第10回 ~に関する 第19回 知らせる
第2回 権利 第11回 ~の場合 第20回 責任
第3回 禁止 第12回 ~の範囲で、~である限り 第21回 違反する
第4回 ~に定められている、~に記載されている 第13回 契約を締結する  

第22回 償還する

第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足) 第14回 契約締結日と契約発効日 第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD)
第6回 ~に従って 第15回 事前の文書による合意 第24回 故意・重過失
第7回 ~に関わらず 第16回 ~を含むが、これに限らない 第25回 救済
第8回 ~でない限り、~を除いて 第17回 費用の負担 第26回 差止
第9回 provide 第18回 努力する義務 第27回 otherwise

 

 

第28回 契約の終了

第38回 権利を侵害する 第48回 遅延利息
 

第29回 何かを相手に渡す、与える

第39回 保証する 第49回 重大な違反
 

第30回 due

第40回 品質を保証する 第50回 ex-が付く表現
第31回 瑕疵が発見された場合の対応 第41回 補償・品質保証 第51回 添付資料
第32回 ~を被る 第42回 排他的な 第52回 連帯責任
第33回 ~を履行する 第43回 第53回 ~を代理して
第34回 果たす、満たす、達成する 第44回 第54回 下記の・上記の
第35回 累積責任 第45回 瑕疵がない、仕様書に合致している 第55回 強制執行力
第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害を表す表現 第46回 証明責任 第56回 in no event
第37回 補償・免責 第47回 indemnifyとliableの違い 第57回 for the avoidance of
 
第58回 無効な
第59回 whereについて
第60回 in which event, in which case
第61回 株主総会関係
第62回 取締役・取締役会関係

 

 - 英文契約の基本的な表現の習得