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本郷塾で学ぶ英文契約

Covenants 誓約

2024/02/28
 

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英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
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コベナンツとは?

covenantsも、前回紹介したrepresentations and warrantiesと同様に、M&A契約でよく登場する表現です。

 

これは、コベナンツと読みます。

 

コベナンツは、簡単に言えば、義務です。

 

義務なら、単にobligationと言えばよいのに、なぜ、わざわざ異なる表現が用いられるのでしょうか?

 

実は、M&A契約における主たる義務、つまり、「株式の譲渡」や「その対価の支払」といった取引のメインとなる義務(obligation)に付随する義務のことを、covenantsといいます。

 

例えば、

「売主は、買収の対象となる会社の財産が減ることになるような行為をクロージングまでの間にしてはいけない

「売主は、クロージングに必要となる行為を適切に行わなければならない」、さらには、

「クロージング後、売主は対象となる会社と競合する事業を行ってはいけない

といったものがコベナンツの例です。

 

ちなみに、コベナンツの中でも、不作為を求められるもの、つまり、「~してはいけない」というものは、negative covenants(ネガティブコベナンツ)と呼ばれています。

 

レプワラとコベナンツの違い

前回紹介したレプワラ(representations and warranties)とコベナンツ(covenants)は似ており、時々混同してしまいますが、両者は全く別物です。

 

レプワラは、契約締結時、またはクロージング時点といった特定の時点における対象となる会社の状態がいかなるものであるかについて述べ、そしてそれが真実であると保証することです。

ここでは、契約当事者になんらかの作為や不作為を求めるものではありません

「今、この会社はこういう状態である。それを保証する」と述べるのだけです。

 

一方、コベナンツは、契約締結時以降、またはクロージング時以降に、何らかの作為・不作為を行うことが求められるのです。

「~しなければならない」「~してはいけない」というものです。

コベナンツ違反の効果

コベナンツに違反するということは、つまり、義務違反です。

 

通常の契約では義務違反の場合には、損害賠償と契約解除権が生じるのが一般的ですが、コベナンツ違反の場合も同じです。

 

特に損害賠償に関しては、M&A契約の条文としては、レプワラ違反の条文と一緒に、「レプワラまたはコベナンツに違反した場合には、相手方を補償する」といった定めがなされることが多いです。

 

通常の売買とM&Aの比較

こうしてみると、M&A契約においても、通常の売買契約と似ていると感じていただけるのではないでしょうか。

 

契約当事者は、お互いに義務通常の売買であれば製品やサービスの提供、または契約金額の支払であるobligation、M&Aであれば、株式の譲渡・対価の支払であるobligationとそれに付随する義務であるcovenants)を負っています。

 

取引の対象となる物(通常の売買であれば製品やサービス、M&Aであれば会社)がどのような状態のものであるかを保証する(通常の売買であればwarranty/defect liability(契約不適合責任=従来の瑕疵担保責任)、M&Aであればrepresentations and warranties)

 

上記に違反した場合には、どちらも損害賠償(M&Aのレプワラ・コベナンツ違反の場合には特に補償(indemnify)という)・契約解除権(termination)が生じる。

 

若干の違いはありますが、本質としては同じですね。

M&Aで登場する重要な表現を以下にまとめたので、そちらもご参考ください。

M&Aの全体像 conditions precedent adjustment
representations and warranties material adverse effect to the knowledge of ~
GAAP covenants

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1.M&A契約とは何か?

2.M&A契約の全体像

3.M&A契約の重要ポイント

(1)取引の対象である株式の特定

(2)対価の決定~DD→クレージング時の価格調整(正味運転資本と純有利子負債の関係)

(3)表明保証

①株式、②財務状態、➂クレーム・訴訟など

(4)誓約

(5)補償

①補償期間、②責任上限

(6)表明保証・その補償と価格調整の関係

コラム~M&Aにおける成功とは何か?~

 

目次
第1回 義務 第10回 ~に関する 第19回 知らせる
第2回 権利 第11回 ~の場合 第20回 責任
第3回 禁止 第12回 ~の範囲で、~である限り 第21回 違反する
第4回 ~に定められている、~に記載されている 第13回 契約を締結する  

第22回 償還する

第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足) 第14回 契約締結日と契約発効日 第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD)
第6回 ~に従って 第15回 事前の文書による合意 第24回 故意・重過失
第7回 ~に関わらず 第16回 ~を含むが、これに限らない 第25回 救済
第8回 ~でない限り、~を除いて 第17回 費用の負担 第26回 差止
第9回 provide 第18回 努力する義務 第27回 otherwise

 

 

第28回 契約の終了

第38回 権利を侵害する 第48回 遅延利息
 

第29回 何かを相手に渡す、与える

第39回 保証する 第49回 重大な違反
 

第30回 due

第40回 品質を保証する 第50回 ex-が付く表現
第31回 瑕疵が発見された場合の対応 第41回 補償・品質保証 第51回 添付資料
第32回 ~を被る 第42回 排他的な 第52回 連帯責任
第33回 ~を履行する 第43回 第53回 ~を代理して
第34回 果たす、満たす、達成する 第44回 第54回 下記の・上記の
第35回 累積責任 第45回 瑕疵がない、仕様書に合致している 第55回 強制執行力
第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害を表す表現 第46回 証明責任 第56回 in no event
第37回 補償・免責 第47回 indemnifyとliableの違い 第57回 for the avoidance of
 
第58回 無効な 第68回 representations and warranties
第59回 whereについて 第69回 material adverse effect
第60回 in which event, in which case 第70回 to the knowledge of
第61回 株主総会関係 第71回 GAAP
第62回 取締役・取締役会関係 第72回 covenants
第63回 indemnifyとdefendの違い
第64回 Notwithstandingと責任制限条項
第65回 M&Aの全体の流れ
第66回 conditions precedent
第67回 adjustment

【私が勉強した参考書】

基本的な表現を身につけるにはもってこいです。

ライティングの際にどの表現を使えばよいか迷ったらこれを見れば解決すると思います。

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英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
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