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本郷塾で学ぶ英文契約

英文契約で頭に「ex-」が付く表現

2023/07/26
 

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これまで英文契約書で使われる色々な表現について紹介してきました。

 

その中で、英文契約書では、ex-が頭につく表現がやたらと多いことにお気づきでしょうか?

 

私は、英文契約の仕事に携わるようになって、「どうしてこんなに似たような表現がたくさんあるのか!?ややこしくてしょうがない!(怒)」と思っていました。

 

今でこそ、それらex-がつく表現同士を混同することはなくなりましたが、初めの頃はよく混乱しました。

 

そこで今回は、頭にex-がつく表現を整理しておきたいと思います。

 

 

1.     execute

 

まずは、executeです。

 

これが英文契約書の中で使われるのは、主に二つの場面があります。

 

一つは、「契約を締結する」という意味で使うときです。

 

この場合、executeの他にも、makeenter intoconcludeという表現も「(契約)を締結する」という意味を持っています(詳しくは第13回 「make, enterinto, conclude, executeとはどんな意味?」をご参照ください)。

 

二つ目は、「義務を履行する」という意味で使うときです。

 

この場合、executeの他にも、performcarry out、conductという表現も「(義務)を履行する」という意味を持っています(詳しくは第33回 「~を履行する」をご参照ください)。

 

 

2.     except

 

exceptは、「~を除く」という意味で使われます。

 

具体的には、「except for 名詞」や、「except as otherwise provided herein」(本契約に別途定められている場合を除いて)といった形で使われることが多いです。

 

詳しくは、第8回 「~でない限り」「~を除いて」をご参照ください。

 

 

3.     exempt

 

exemptは、まだこのブログで紹介していませんが、これは、「人・法人を~から免除する」という意味です。

 

「税金を免除する」とか、「義務を免除する」という場面でこのexemptがよく使われます。

 

 

4.     extent

 

extentは、範囲や程度を表す表現で、「to the extent that 主語+動詞」や「to the extent of 名詞」といった形で使われ、「~の範囲で」「~である限り」という意味で使われることが多いです。

 

つまり、範囲を限定する際に使われることが多いと言えます。

 

詳しくは第12回「~の範囲で」「~である限り」をご参照ください。

 

 

5.     exclusive

 

exclusiveは、「排他的な」または「独占的な」という意味で使われる表現です。

 

主に、以下の3つの場面で使われます。

 

1.契約相手に対してある権利・特権を与える場合に、「この権利・特権は、あなたにだけ与えますよ(他には与えません!)」と約束する場合

この場合は、exclusive rightとか、exclusive licenseという表現がよく使われます。

 

2.複数の契約当事者が何かを一緒に協力してやっていこうとする場合に、「他の企業や他の人と組まないでね。俺たちだけでこの件はやっていこうね!」と約束する場合

 

3.一方当事者による契約違反によって損害を被った他方当事者が相手方に対して持ち得る救済方法が一つしかないことを明記する場合(「あなたが得られる救済方法はそれだけです!」ということ)

この場合は、sole and exclusive remedyという表現が有名です。

 

詳しくは、第42回 「排他的な表現 その1」をご参照ください。

 

 

6.     express

 

expressは、「明示的な」という意味の表現です。

 

これは、品質保証、つまりwarrantyに関して、「明示の保証」を表す際に、express warrantyという表現でよく使われます。

 

他には、expresslyという副詞の形で、unless otherwise expressly provided hereinというように、「本契約に別途明確な定めがない限り」という条文で使われます。

 

詳しくは、第40回「品質を保証する」をご参照ください。

 

 

上記のように、似た形の表現をまとめて整理して比べながら覚えると、記憶にも定着しやすく、混乱も起きにくくなると思いますので、この機会に復習として各表現についての詳しい解説ページも読んでいただければと思います。

 

目次
第1回 義務 第10回 ~に関する 第19回 知らせる
第2回 権利 第11回 ~の場合 第20回 責任
第3回 禁止 第12回 ~の範囲で、~である限り 第21回 違反する
第4回 ~に定められている、~に記載されている 第13回 契約を締結する  

第22回 償還する

第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足) 第14回 契約締結日と契約発効日 第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD)
第6回 ~に従って 第15回 事前の文書による合意 第24回 故意・重過失
第7回 ~に関わらず 第16回 ~を含むが、これに限らない 第25回 救済
第8回 ~でない限り、~を除いて 第17回 費用の負担 第26回 差止
第9回 provide 第18回 努力する義務 第27回 otherwise

 

 

第28回 契約の終了

第38回 権利を侵害する 第48回 遅延利息
 

第29回 何かを相手に渡す、与える

第39回 保証する 第49回 重大な違反
 

第30回 due

第40回 品質を保証する 第50回 ex-が付く表現
第31回 瑕疵が発見された場合の対応 第41回 補償・品質保証 第51回 添付資料
第32回 ~を被る 第42回 排他的な 第52回 連帯責任
第33回 ~を履行する 第43回 第53回 ~を代理して
第34回 果たす、満たす、達成する 第44回 第54回 下記の・上記の
第35回 累積責任 第45回 瑕疵がない、仕様書に合致している 第55回 強制執行力
第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害を表す表現 第46回 証明責任 第56回 in no event
第37回 補償・免責 第47回 indemnifyとliableの違い 第57回 for the avoidance of
 
第58回 無効な 第68回 representations and warranties
第59回 whereについて 第69回 material adverse effect
第60回 in which event, in which case 第70回 to the knowledge of
第61回 株主総会関係 第71回 GAAP
第62回 取締役・取締役会関係 第72回 covenants
第63回 indemnifyとdefendの違い
第64回 Notwithstandingと責任制限条項
第65回 M&Aの全体の流れ
第66回 conditions precedent
第67回 adjustment

 

【私が勉強した参考書】

基本的な表現を身につけるにはもってこいです。

ライティングの際にどの表現を使えばよいか迷ったらこれを見れば解決すると思います。

アメリカ法を留学せずにしっかりと身につけたい人向けです。契約書とどのように関係するかも記載されていて、この1冊をマスターすればかなり実力がupします。 英文契約書のドラフト技術についてこの本ほど詳しく書かれた日本語の本は他にありません。 アメリカ法における損害賠償やリスクの負担などの契約の重要事項についての解説がとてもわかりやすいです。

 

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