英文契約の基本的な表現 第48回 遅延利息の定め方

      2017/11/17

売買契約や請負契約では、売主・請負人(以下、「売主」)が納期に遅れたり、製品に欠陥があったりした場合には、売主が損害賠償を支払うことが定められていることが多いですよね。

 

では、逆に、買主・注文者(以下、「買主」)が売主に対して損害賠償を支払うことはあるのでしょうか?

 

この点、あまり意識されないことが多いのですが、買主にも契約上の義務があります。

 

なので、買主がその義務に違反した場合には、それによって売主が被った損害を賠償する責任が生じます。

 

では、売買・請負契約における「買主の義務」とは一体何でしょうか?

 

それは、当然、「対価を支払う義務」ですよね。

 

よって、買主が対価を支払う義務を怠った場合には、買主は売主に対して損害賠償を支払う責任が生じるのです。

 

では、買主が支払う責任を負う損害賠償とは、具体的には何でしょう?

 

それは、「遅延利息」と呼ばれるものです。

 

買主が契約書に定められた支払い時期に対価を売主に支払ったなら、売主はその対価を銀行に預けておけば、利息が得られたはずです。

 

しかし、買主が支払いに遅れると、売主はその利息を得ることができなくなってしまうのです。

 

そのため、買主は、支払いに遅れた場合には、その遅れの間の利息分を遅延利息として売主に支払わなければならないことになります。

 

売主にとってこの遅延利息請求は、買主の支払い遅延を抑止するための大事な武器ですので、契約書には忘れずに記載するようにしましょう。

 

遅延利息を表す表現

 

では、この遅延利息は、英語ではどのように表現するのでしょうか?

 

それは、interestです。

 

そして、利息を算出するためには、「利率」を決める必要があります。

 

その利率は、rateと書きます。

 

通常、この利率は「年率」で表します。

 

「年率X%」は、at the rate of X% per yearと書きます。

 

この点、at the rate of X% per annumとも書きます。

 

このannumは英語ではありません。ラテン語です。

 

英文契約では、時々ラテン語が出てくることがあります。そしてこのper annumは遅延利息の条文でよく使われるので覚えておきましょう。

 

そして、遅延利息の利率は年率で表すものの、このことは、年単位で支払いが遅延しないと買主には売主に遅延利息を支払う義務が生じない、というわけではなく、1日でも支払い期日に遅れたら遅延利息が生じるのが原則です。

 

そこで、年率を使って日毎に遅延利息を算出することになります。

 

その点を正確に表現すると、次のようになります。

 

interest computed daily at the rate of X % per annum

訳:年率X%で日々計算される利息

 

利息制限法に注意

 

遅延利息の利率は、当事者間で決めることができます。

 

当事者間で利率を決める際の注意点は、「「利息制限法」で定められる上限を超える利率は無効となる」ということです。

 

利息制限法とは、利率の設定に上限を付ける法律です。この法律は日本にもありますし、海外の多くの国にもあると思います。

 

よって、その契約の準拠法として定められた国の法律で利息の上限が定められていれば、当事者間でそれを超える利率を合意したとしても、それは無効となります。

 

無効になった場合、いくらの利率とされることになるのかというと、おそらくそれは、準拠法として定めた国の法律の「法定利息」となると思われます。

 

この点、法定利息は割と低めになっているかもしれません。

 

よって、売主としては、当事者間で合意した利率が無効とされ、低めの利率である法定利息とされないように遅延利息を設定するか、または、以下の例文のように、「契約で合意した利率か、または法律が認める最大利率のどちらか低い方で算出する」としておけば、法律で許容される利率の最大値を遅延利息とすることができます。

 

If the Purchase fails to make any payment of the Contract Price under this Agreement by the due date, the Purchaser shall pay to the Seller interest on the delay payment from the due date until paid in full computed daily (i) at the rate of X % per annum or (ii) the maximum rate of interest permitted by applicable law, which is lower.

 

上記の下線部分のpayは「負担する」という意味のbearでもよいです。

 

 

 

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