英文契約書で「~に従って」とは?

      2019/11/23

 

今回は、「~に従って」という意味を表すために英文契約書中で頻出する表現をご紹介します。

 

この「~に従って」は、具体的には、以下のような条文の中で使用されます。

 

  • 供給者は、仕様書に従って、契約を履行しなければならない。

 

  • 買主は、添付の「支払条件」に従って、売主に対して契約金額を支払わなければならない。

 

この「~に従って」には、主に以下の4つがあります。

 

① in accordance with~

② pursuant to~

③ as per~

④ subject to~

 

普通の英文では、あまり見たことがない表現なのではないでしょうか。

 

英英辞典中の意味

 

これらをOxford英英辞典で引いた意味は、以下の通りです。


 

表現 Oxford英英辞典
in accordance with following, agreeing with or depending on a rule or the way that somebody says that something should be done
pursuant to according to or following something, especially a rule or law
as per following something that has been decided
subject to under the authority of something or somebody

 

英文契約書を読むと、上記の表現が頻出します。そのときに注意していただきたいのは、「~に従って」の「~」の部分に何が具体的に記載されているのかを確認することです。

 

例えば、上記の「供給者は、仕様書に従って、その義務を履行しなければならない」というのは、英文では、”The Supplier shall perform the obligation in accordance with the specifications.”となりますが、では具体的にどのように義務を履行しなければならないのかは、下線部分のthe specificationsに記載されているので、それをよく見て確認する必要があります。



「購入者は、本契約に添付されている添付資料に定められている「支払条件」に従って、供給者に対して契約金額を支払わなければならない。」は、英文にすると、”The Purchaser shall pay the contract price to the Supplier pursuant to the payment conditions specified in the attachment attached to this Agreement.”となりますが、この場合は、下線部分のthe payment conditionsは具体的にいかなる内容なのかを確認する必要があります。

 

「〜」の部分は、契約中の別の条文や添付書類であることもあれば、契約に添付されていない文書であることもあります。

 

権利義務に関して本当に重要なことは「〜」の部分に記載されていることがあるので注意が必要です。


【英文契約の典型的な条文に用いられる表現のまとめ】

1.英文契約の条文の骨子となる表現 2.英文契約の条文の骨子に付随する頻出表現
(1)権利

(2)義務(作為義務禁止

(3)契約に違反する重大な契約違反

(1)~に定められている

(2)~に従って

(3)~に関して

(4)~に関わらず

(5)~を除く

(6)~の範囲で

(7)~の場合

(8)~を含むがそれに限られない

3.英文契に定められる重要な事項
(1)義務の履行

(i)~を履行する

(ii)~を満たす

(2)責任

①損害賠償

(i)(損害)を被る

(ii)liquidated damagesliquidated damagesとpenaltyの違い

(iii)責任上限

(iv)逸失利益

間接損害と逸失利益

Notwithstandingと責任制限の重要な関係

(iv)故意・重過失重過失と結果の重大性の関係

(v)遅延利息

②瑕疵担保(保証)

(i)保証する

(ii)瑕疵を修理・交換

第三者への損害

(i)indemnifyとbe liable for

(ii)indemnifyとdefend

契約解除

 

【英文契約の条文をドラフトする際に知っておくと便利なこと】の目次

ごあいさつ 名詞よりも動詞で書く
12個のルール 名詞よりも動詞で書く練習
良い条文とは? there is~、it is ~to doを使わない
権利ではなく、義務を中心にして書く! ofを削除する
義務を中心に書く練習 ofを削除する練習
不要なshallを削除する here-を使って書く
不要なshallを削除する練習 「~に従って」を使って書く
能動態で書く 「~に従って」を使って書く練習
受動態の条文を能動態に直す練習 原則と例外を表す表現を使う
主語・動詞・目的語を一塊に! 原則と例外を表す表現を使いこなす練習
英文契約の条文の基本類型を覚える 英文契約の条文の基本類型を使いこなす練習

【私が勉強した参考書】

基本的な表現を身につけるにはもってこいです。

ライティングの際にどの表現を使えばよいか迷ったらこれを見れば解決すると思います。

アメリカ法を留学せずにしっかりと身につけたい人向けです。契約書とどのように関係するかも記載されていて、この1冊をマスターすればかなり実力がupします。 英文契約書のドラフト技術についてこの本ほど詳しく書かれた日本語の本は他にありません。 アメリカ法における損害賠償やリスクの負担などの契約の重要事項についての解説がとてもわかりやすいです。

 

目次
第1回 義務 第10回 ~に関する 第19回 知らせる
第2回 権利 第11回 ~の場合 第20回 責任
第3回 禁止 第12回 ~の範囲で、~である限り 第21回 違反する
第4回 ~に定められている、~に記載されている 第13回 契約を締結する  

第22回 償還する

第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足) 第14回 契約締結日と契約発効日 第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD)
第6回 ~に従って 第15回 事前の文書による合意 第24回 故意・重過失
第7回 ~に関わらず 第16回 ~を含むが、これに限らない 第25回 救済
第8回 ~でない限り、~を除いて 第17回 費用の負担 第26回 差止
第9回 provide 第18回 努力する義務 第27回 otherwise

 

 

第28回 契約の終了

第38回 権利を侵害する 第48回 遅延利息
 

第29回 何かを相手に渡す、与える

第39回 保証する 第49回 重大な違反
 

第30回 due

第40回 品質を保証する 第50回 ex-が付く表現
第31回 瑕疵が発見された場合の対応 第41回 補償・品質保証 第51回 添付資料
第32回 ~を被る 第42回 排他的な 第52回 連帯責任
第33回 ~を履行する 第43回 第53回 ~を代理して
第34回 果たす、満たす、達成する 第44回 第54回 下記の・上記の
第35回 累積責任 第45回 瑕疵がない、仕様書に合致している 第55回 強制執行力
第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害を表す表現 第46回 証明責任 第56回 in no event
第37回 補償・免責 第47回 indemnifyとliableの違い 第57回 for the avoidance of
 
第58回 無効な
第59回 whereについて
第60回 in which event, in which case
第61回 株主総会関係
第62回 取締役・取締役会関係

 

 - 英文契約の基本的な表現の習得