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本郷塾で学ぶ英文契約

英文契約書でshallとは?

2024/01/12
 

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英文契約中のshallの意味は?

 

では、早速ですが、以下の英文を日本語に訳すとどうなるでしょうか?

The Company A shall keep any information disclosed by Company B in confidence.

 

ちなみに、「disclose」は、「~を開示する」、「confidence」は「秘密」という意味です。

 

とすると、上記の英文は、

「カンパニーAは、カンパニーBから開示された情報を、秘密として保持・・・。」

 

おそらく、「shall」の意味がわかればこの英文を完璧に訳すことができる、という方は多いのではないでしょうか。

 

では、この「shall」の意味は何だと思いますか?

 

答えは、「義務」を意味します。

つまり、上記の英文は、「カンパニーAは、カンパニーBから開示された情報を秘密として保持しなければならない。」となります。

 

「「義務」って、「must」じゃないの?」

 

「「shall」って、よく見る表現である「Shall we dance?」から考えるに、何か誘うような場合に使う表現なのでは?」

 

こう思う方は多いのではないでしょうか。

 

確かに、英文契約書の中で助動詞として「must」が使用されていれば、それは「義務」を意味すると考えてほぼ間違いないでしょう。

 

しかし、契約書中で「義務」を表す表現として最も多く使われるのは、「shall」なのです。

英和辞典中のshallの記載

 

ためしに今、仕事の関係で何らかの英文契約書がパソコン上に保存されている方は、それを開いてshallで検索してみてください。おそらく、かなりの数がヒットすることになると思います。逆に、その同じ契約書で、「must」で検索をかけてみてください。おそらく、意外にも、1個か2個程度しかヒットしないはずです。

 

ここで、大学受験向けの英和辞典としてよく使われている「ジーニアス」で「shall」を引くと、上から順に、以下のように意味が記載されています。

①    「提案・申し出」

②    「単純未来」

③    「意志未来」

④    「話し手の意志」

そして5つ目の意味としてようやく、「義務:・・・しなければならない」と出てきます。

きっと多くの方は、受験時代に、「単語の意味を調べるときは、一つの意味を確認して満足するのではなく、その下にあるいくつかの意味も確認する癖をつけるようにね」と英語の先生から言われた経験があるかと思いますが、まさか5つ目の意味まで毎回確認するようにしていた人はそう多くはないでしょう。

なので、この「shall」の意味を知らなかったからといって、全くおかしなことではありません。

むしろ、契約書を読んだこともないのにこの意味をご存じの方がいらっしゃるなら、それはものすごいことです。

 

ただ、英文契約書においては、これまで普通に英語を勉強していた過程ではなかなか出会わなかったような意味で使用される文言があります。

ただでさえ難解な英文契約書において、そこで使用されている文言の意味が、それまで自分が出会った意味と異なる意味であるとなると、ますます読むのが苦しくなりますよね。

 

しかし、実はそのような厄介な文言の数は、私たちがこれまでに覚えた英単語の数に比べれば、一部に過ぎません。

そのような文言を覚えていけば、英文契約書はこれまでよりもずっと読みやすいものになると思いますので、今後は、そのような文言を中心に、毎週少しずつ解説をさせていただきたいと思っています。

 

ちなみに、解説の第2回目では「義務」の対概念である、「権利」を表現するために英文契約書中でよく使用される文言をご紹介したいと思います。

 

どんな文言か予想できますでしょうか?ヒントは、「権利」とは、つまり、「~できる」という意味を持つ助動詞です。


おそらく、多くの方々は、「「~できる」なら、あの表現しかない!」と思われて、ある助動詞を頭に思い浮かべられただろうと思いますが・・・。

 

ご参考~willとshallについて~

契約書中では、「will」も義務を表すために使用されることがあります。ここで、一つの契約書の中で、shallとwillが混在して使用されていると、「shallではなく、あえてwillと記載されているということは、ここのwillは義務ではなく、未来を意味しているのか?」という疑義が生じ得ます。また、相手方がドラフトしてくる契約書において、相手方の義務をwill、こちらの義務をshallと書いてくる場合もあります。このような場合には、willをshallに修正した方がよいでしょう。

 

また、一般的に言えば、mustは、物が主語になる場合に使用されるべきものです。なお、物が主語になっている条文では、当然、義務を負うのは物である主語ではなく、別の者(人であったり会社であったりします)になりますので、誰が義務者となるのかを明確にしておくことが重要です。

 

その他の義務を表す表現

・be requird to do ~することを求められている→~する義務がある

・be obliged to do

・agree to do ~することを合意する→合意したのだから、「~する義務がある」ということになります。

上記のように色々な表現があり得るものの、shallが一語で済むので、一番簡単に使える表現です。

 

なお、以下のyoutube動画でも、英文契約で「義務・禁止」を表す表現について、例文を用いて詳しく解説しておりますので、ご覧ください。

英文契約で「義務・禁止」を表す表現のyoutube解説動画

 

英文契約を読むなら、まずはこの英文契約の基本的な表現と型を押さえましょう!

英文契約を読む際に、まずこれだけは押さえておくべき!という英文契約の基本的な型を構成する英単語は以下のようなものです。

shall 義務

shall not 禁止

may 権利

if, when, whereなど、「~の場合」を表す表現

unlessやexceptなど、「~でない限り」、「~を除いて」を表す表現

otherwise「別途」を表す表現

notwithstanding ~にかかわらず

regarding, in connection with, in respect ofなど「~に関して」を表す表現

to the extent ~の範囲で

pursuant to, in accordance withなどの「~に従って」を表す表現

provided inやspecified inなど、「~に定められている」を表す表現

however provided that 「ただし」を表す表現

これを覚えれば英文契約をずっと読みやすくなる!英単語レベル2

1.「契約を締結する」

2.契約締結日と発効日の違い

3.「~を履行する」

4.「費用を負担する」

5.例示列挙(非制限列挙)

6.事前の通知と事前の同意

7.「添付資料

8.英文契約でwhereとは?

9.「in which case/event」とは?

10.「契約の終了」

はじめて契約書を修正する人が知っておくと便利なこと

契約書の修正は、どんな場合にするの?修正理由はどう書けばいい?

そんなお悩みを解決するのがこちらの記事です。→「はじめて契約書の修正をする際に知っておきたいこと

英文契約の基本的な表現の解説の目次

目次
第1回 義務 第10回 ~に関する 第19回 知らせる
第2回 権利 第11回 ~の場合 第20回 責任
第3回 禁止 第12回 ~の範囲で、~である限り 第21回 違反する
第4回 ~に定められている、~に記載されている 第13回 契約を締結する  

第22回 償還する

第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足) 第14回 契約締結日と契約発効日 第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD)
第6回 ~に従って 第15回 事前の文書による合意 第24回 故意・重過失
第7回 ~に関わらず 第16回 ~を含むが、これに限らない 第25回 救済
第8回 ~でない限り、~を除いて 第17回 費用の負担 第26回 差止
第9回 provide 第18回 努力する義務 第27回 otherwise

 

 

第28回 契約の終了

第38回 権利を侵害する 第48回 遅延利息
 

第29回 何かを相手に渡す、与える

第39回 保証する 第49回 重大な違反
 

第30回 due

第40回 品質を保証する 第50回 ex-が付く表現
第31回 瑕疵が発見された場合の対応 第41回 補償・品質保証 第51回 添付資料
第32回 ~を被る 第42回 排他的な 第52回 連帯責任
第33回 ~を履行する 第43回 第53回 ~を代理して
第34回 果たす、満たす、達成する 第44回 第54回 下記の・上記の
第35回 累積責任 第45回 瑕疵がない、仕様書に合致している 第55回 強制執行力
第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害を表す表現 第46回 証明責任 第56回 in no event
第37回 補償・免責 第47回 indemnifyとliableの違い 第57回 for the avoidance of
 
第58回 無効な 第68回 representations and warranties
第59回 whereについて 第69回 material adverse effect
第60回 in which event, in which case 第70回 to the knowledge of
第61回 株主総会関係 第71回 GAAP
第62回 取締役・取締役会関係 第72回 covenants
第63回 indemnifyとdefendの違い
第64回 Notwithstandingと責任制限条項
第65回 M&Aの全体の流れ
第66回 conditions precedent
第67回 adjustment

 

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