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本郷塾で学ぶ英文契約

EPC契約における色々な契約金額の定め方と追加費用の扱い

2024/02/20
 

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英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
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EPC契約においては、契約金額の定め方について、いくつかの種類があります。

ここでは、EPC契約においてよく採用される契約金額の種類について、初心者にもわかりやすく解説いたします!

 

契約金額の定め方

私自身は、EPC契約の契約金額として、ほぼ、「ランプサム契約」(lump sum contract)または「固定価格」(fiwed price)と呼ばれている形態のものしか経験したことがありません。

 

ランプサム契約とは、「一括総額請負契約」といった訳になると思います。

 

この契約の下では、契約金額として合意された金額で、コントラクターが全ての仕事を行い完成する義務を負います。

 

この場合、コントラクターは、コストを削減して仕事を完成させることができれば、それだけ多くの利益を生み出すことができます。

 

一方で、コントラクターによる入札時の見積もりに誤りがあり、その見積金額よりも多い費用が契約締結後に生じた場合でも、その追加でかかった費用はコントラクターが負担しなければならないことになります。

 

そのため、オーナーは、契約締結時点で、プラント完成にかかる費用を確定させることができるため、オーナーが最も望む形態であると言えます。

 

「これって、普通の契約じゃないの?」

 

「これ以外に契約金額の定め方ってあるの?」

 

そう思われたかたもいらっしゃるかと思います。

 

あります。

 

その代表的なものは、「コスト・プラス・フィー契約」(cost plus fee contract)と呼ばれる契約です(詳しい内容と例文はこちらをご参照)。

コスト・プラス・フィー契約

これは、コントラクターが実際に行った作業について生じたコストに加え、オーナーが利益分を支払うことになる契約です。

 

コントラクターとしては、かかった費用にプラスアルファで対価をもらえるので、コスト・オーバーランになるリスクが少ない契約形態であると言えます。

 

しかしこの形態だと、コントラクターがコスト削減の努力をしようと思わない可能性があり、請負金額が当初の予想以上に増加してしまいかねません。これはオーナーにしてみると大きなリスクでしょう。

 

そこで考え出されたのが、「コスト・インセンティブ契約」・「Target Price契約」(例文はこちらを参照)です。

 

コスト・インセンティブ契約・ターゲットプライス契約

これは、オーナーとコントラクター間で目標コストをあらかじめ合意し、最終的にかかったコストがその目標を下回った場合には、その差額分を、オーナーとコントラクターとで事前に合意した比率で分け合う、というものです。

 

この方法なら、コストを削減しようという気持ち(インセンティブ)がコントラクター側に生じます。

 

一方で、この目標コストを超えるコストが生じた場合には、コントラクターとオーナーで負担しあうというものや、コントラクターのみが全額負担するものもあります。

 

上記の3つ、つまり、「ランプサム契約」、「コスト・プラス契約」、そして「コスト・インセンティブ契約」の中で、最もオーナーに有利なのは「ランプサム契約」、最もコントラクターに有利なのは「コスト・プラス契約」、そしてその中間が、「コスト・インセンティブ契約」ということが一般的には言えると思います。

 

追加費用の負担

「ランプサム契約」が、コントラクターにとって最も不利な契約ということになりますが、このランプサム契約においても、契約締結後に何があっても、契約金額で定められた以上の金額をオーナーから支払ってもらえないわけではありません

 

例えば、オーナーの契約違反が原因でコントラクターに追加費用が生じた、という場合には、その追加費用分の金額はオーナーに支払ってもらうのが公平ですよね。

 

その他にも、コントラクターに生じた追加費用をオーナーに負担してもらうべき場合というのがあります。

 

それらについて、EPC契約の中に適切に具体的に定められる必要があります。

その定めがないと、コントラクターがその追加費用分を自分で負担させられることになりかねません。

 

そのため、契約金額についてもっとも重要なチェックポイントは、「契約金額の増加がなされることになる場合がEPC契約中に適切に明記されているか」という点です。

 

次回では、コントラクターが追加費用をオーナーに負担してもらうべき場合にはどのような場合があるかついて説明したいと思います。

→「コストプラスフィー契約の注意点

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EPC契約のポイントの目次

Scope of Work ボンドのon demand性を緩和する方法 プラントの検収条件と効果
サイトに関する情報 コントラクターによる仕事の開始時期(納期の起算点)は? 危険の移転時期とその例外
オーナーの義務 仕事の遂行 債務不履行
契約金額の定め方と追加費用の扱い 設計(design)の条文について① 納期延長の場合のコントラクターの責任① 納期延長になる場合
追加費用の負担について 設計(design)の条文について② 納期延長の場合のコントラクターの責任② LD/リキダメ
ボンドについて 仕様変更① 仕様変更とは? 納期延長の場合のコントラクターの責任③ 納期LDの上限
入札保証ボンド 仕様変更② クレーム手続きと仕様書に書かれていない事項 納期延長の場合のコントラクターの責任④ sole and exclusive remedy
前払金返還保証ボンド 仕様変更③ 納期延長と追加費用の金額が合意に至らない場合の扱い 納期延長の場合のコントラクターの責任⑤ 中間マイルストーンLD
履行保証ボンド プラントの試験① 性能未達の場合のコントラクターの責任① 性能保証と性能確認試験
瑕疵担保保証ボンド プラントの試験② 性能未達の場合のコントラクターの責任② 最低性能保証・性能LD
責任制限条項① Limitation of Liability/LOL 不可抗力の扱い③ Force Majeureの効果を得るための手続き 私がEPC契約で真っ先に確認する点③
責任制限条項② 適用される場合と適用されない場合 不可抗力の扱い④ Force Majeureが長期間継続した場合 LOIの何がリスクなのか?
瑕疵担保責任① 総論 法令変更について LOIへの対処法(対外的)
瑕疵担保責任② オーナーの通知義務とコントラクターのアクセス権 契約解除① なぜ解除の理由によって解除の効果が異なるのか? LOIへの対処法(社内的)
瑕疵担保責任③ 保証期間の延長 契約解除② オーナーの義務違反に基づくコントラクターによる契約解除 EPC契約における支払い条件
瑕疵担保責任④ Disclaim(免責)条項 契約解除③ オーナーの自己都合解除
作業中断権① 中断権の存在意義 契約解除④ コントラクターの債務不履行に基づくオーナーによる契約解除
作業中断権② 中断権行使の効果 契約解除⑤ 不可抗力事由が長期間継続した場合
不可抗力の扱い① Force Majeureとは何か? 私がEPC契約で真っ先に確認する点①
不可抗力の扱い② Force Majeureの効果 私がEPC契約で真っ先に確認する点②

 

【私が勉強した原書(英語)の解説書】

残念ながら、EPC/建設契約についての日本語のよい解説書は出版されておりません。本当に勉強しようと思ったら、原書に頼るしかないのが現状です。

原書で勉強するのは大変だと思われるかもしれませんが、契約に関する知識だけでなく、英語の勉強にもなりますし、また、留学しなくても、英米法系の契約の考え方も自然と身につくという利点がありますので、取り組んでみる価値はあると思います。

EPC/建設契約の解説書 EPC/建設契約の解説書 納期延長・追加費用などのクレームレターの書き方
法学部出身ではない人に向けて、なるべく難解な単語を使わずに解説しようとしている本で、わかりやすいです。原書を初めて読む人はこの本からなら入りやすいと思います。 比較的高度な内容です。契約の専門家向けだと思います。使われている英単語も、左のものより難解なものが多いです。しかし、その分、内容は左の本よりも充実しています。左の本を読みこなした後で取り組んでみてはいかがでしょうか。 具体例(オーナーが仕様変更を求めるケース)を用いて、どのようにレターを書くべきか、どのような点に注意するべきかを学ぶことができます。実際にクレームレターを書くようになる前に、一度目を通しておくと、実務に入りやすくなると思います。
納期延長・追加費用のクレームを行うためのDelay Analysisについて解説書 海外(主に米国と英国)の建設契約に関する紛争案件における裁判例の解説書 英国におけるDelay Analysisに関する指針
クリティカル・パス、フロート、同時遅延の扱いに加え、複数のDelay Analysisの手法について例を用いて解説しています。 実例が200件掲載されています。実務でどのような判断が下されているのかがわかるので、勉強になります。 法律ではありません。英国で指針とされているものの解説です。この指針の内容は、様々な解説書で引用されていますので、一定の影響力をこの業界に及ぼしていると思われます。
Society of Construction Law Delay and Disruption Protocol

2nd edition February 2017

 

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