実務で必要なスキルを24時間どこにいても学べる!

本郷塾で学ぶ英文契約

同時遅延とは?

2024/01/06
 
オンラインセミナーの年度末大幅割引のご案内(お申込み期限:3/31)

本郷塾のオンラインセミナーの中から、13講座について、大幅割引価格でご提供いたします。

お申込み期限は3/31(日)です。

受講方法やカリキュラムの詳細は以下のページでご確認いただけます。

ぜひ、この機会をご利用ください。

来年4月から企業に入社予定の方々も大歓迎です!

大幅割引価格の受講方法とカリキュラム

この記事を書いている人 - WRITER -
英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
詳しいプロフィールはこちら

同時遅延とは?

同時遅延とは、「請負者が納期延長を得られる遅れ(請負者に原因がない遅れ)」と、「請負者が納期延長を得られない遅れ(請負者に原因がある遅れ)」が同時に生じる場合をいいます。

 

例えば、発注者がサイトへのアクセス権を請負者に与えるのに遅れることや、Force Majeureが原因で納期に遅れが生じる場合は、請負者が納期延長を得られる旨が契約に定められる代表的なケースです。

 

このとき、同時に請負者が自分の原因で工事に必要となる機械や材料を調達できないでいるために、工事の開始が遅れ、それが原因で納期に遅れたという場合が同時遅延に当たります。

 

このような同時遅延が生じた場合に、

  • 請負者に納期延長を与えるべきか否か
  • 仮に納期延長を与えるとして、その期間は何日間とするか、
  • 遅れによって請負者に生じる追加費用を発注者に請求できるか否か

が問題となります。

 

というのも、請負者に原因がない遅れの場合には、請負者は納期延長を得られるべきですが、請負者のせいで遅れた場合には、逆に納期延長を与えられるべきではないからです。

 

この両方が同時に起こったら・・・というのが同時遅延の問題です。

 

同時遅延とクリティカルパスの関係

まず、押えていただきたいのは、同時遅延は、あくまで2つ以上の遅れがクリティカルパス上の仕事に生じている場合をいうという点です。

 

例えば、以下の問題は、仕事Xがクリティカルパス上にあり、この1つの仕事Xが遅れた原因が2つある場合です。

問題

建設工事において、クリティカルパス上にある仕事Xを請負者が建設スケジュール通りに開始するためには、以下の2つの条件が満たされている必要があった。

・発注者が契約に定められている期限までに建設サイトに請負者が入れるようにすること、つまり、建設サイトへのアクセス権を請負者に与えること。

・仕事Xを行うために必要な建設用の材料が、仕事Xの開始予定日までに請負者が準備できていること。

今、上記2つについて、どちらも建設スケジュールから10日遅れた。

この場合、請負者は、発注者に対して、納期遅延LDを支払う責任を負うのだろうか?

図①

これとは異なり、2つの異なる仕事がどちらもクリティカルパス上にあり、それぞれの仕事が同時に遅れる場合もあります。

 

どちらの場合も、「2つ以上の遅れがクリティカルパス上の仕事に生じている」といえるので、正真正銘の同時遅延です。

 

一方、仮に2つ以上の遅れが生じたのが時期的に同時であっても、どちらか片方の仕事でもクリティカルパス上にない場合には、それは同時遅延ではありません。

 

下の図②と図➂で、上記を目で確認しましょう。

図②

ここでは、a、b、およびcの全ての仕事はクリティカルパス上にあります。

 

仕事aと仕事bがそれぞれ遅れた結果、最後になされるべき仕事cが納期である10/1に遅れた状況を表しています。

 

ここで、仕事aが請負者の原因で遅れ、仕事bが発注者の原因で遅れた場合、両方ともクリティカルパス上の仕事に遅れているので、同時遅延となります。

 

一方、下の図➂では、aおよびcはクリティカルパス上にありますが、bはクリティカルパス上にはありません

図➂

仕事bは最終的には仕事cと同じタイミングで終われば、納期に影響を与えないからです。

 

よって、仕事aにおける請負者に原因がある遅れと仕事bにおける発注者に原因がある遅れは同じタイミングで生じた場合でも、仕事bの遅れは納期に何ら影響を与えていないので、仕事aと仕事bに生じた遅れは、同時遅延には当たらないということになります。

 

以下では、シンプルに理解していただけるように、図①にあるように、クリティカルパス上にある1つの仕事について、2つの原因で遅れる場合を例に解説していきますが、実際には、図②にあるように、クリティカルパス上にある2つの異なる仕事にそれぞれ遅れが生じる場合もある、ということは理解しておきましょう。

 

同時遅延の種類

なお、同時遅延と呼ばれるものは、次の2つの場合に分けられます。

A:原因と効果が同時の場合

B:原因が別のタイミングで発生するが、効果が同時である場合(効果が一部重なる場合

 

ここまで例に挙げた同時遅延は、Aの「原因と効果が同時」の場合です。

Aの場合とBの場合で、処理のされ方が異なります。

 

次の記事では、それぞれの場合の処理のされ方を詳しく見ていきます。

はじめに①一般的なフロー

はじめに②特殊なケース

真の同時遅延の処理方法 立証責任の緩和(Global Claim)
クリティカルパスとは? 納期遅延に伴って生じる追加費用 disruptionとは?
クリティカルパスは時々刻々変化する 本社経費と逸失利益
フロートとは? Delay Analysisとは?
フロートは誰のものか? impacted as-planned analysisの手法
同時遅延とは? 必要な立証の程度(balance of probabilities)

クレームに関する参考書のご紹介

本郷塾からの最新刊『EPC契約の請求実務がわかる本-納期延長・追加費用請求のクレーム』(2,900円+消費税)が本日2022年9月16日から発売されました!

東京駅丸の内丸善さんで平積みいただいております!

本書は、実際に不可抗力・法令変更・仕様変更・発注者の契約違反等のクレーム事由が生じた場合の納期延長・追加費用の請求についての対策をまとめました。国内・海外両方の案件が対象です。

既刊『英文EPC契約の実務』の第3章第4節をより詳しく解説したものです。

ぜひ、本書でEPC契約実務への対応力をアップしていただければ幸いです。

書店さんにも徐々に配送されておりますが、通販では既にご購入いただける状態です。

アマゾンの購入ページはこちら

hontoの購入ページはこちら

紀伊国屋書店の購入ページはこちら

日本橋丸善さんでも!

EPC契約に関する理解度をチェックしてみましょう!

以下の問いに、いくつ答えられますか?

・納期延長を請求できるのはどのような場合?

・クリティカルパスとは?

・クリティカルパスは常に一定?

・フロートとは?

・フロートは誰に帰属する?

・同時遅延とは?

・同時遅延の場合に納期は延長される?どれだけ?

・同時遅延の場合に追加費用を発注者に負担してもらえる?

・発注者に請求できる追加費用にはどのようなものがある?

・本社経費・逸失利益を発注者に負担してもらうためには、何をどのように立証しなければならない?

・遅れた日数と遅れの原因を立証する方法であるDelay Analysisにはどのような手法がある?

・各Delay Analysisの手法の特徴・問題点・注意すべき事項は何?

・立証責任が緩和されるのはどんな場合?(Global Claimとは何?)

・納期が遅延しなくても発注者に請求できる追加費用とはどんなもの?

・Disruption Costとは何?

・Disruption Costはどのように立証する必要がある?

・accelerationとは?

・accelerationとmitigationの違いは?

・米国で認められているconstructive accelerationとは?

・クレームレターに記載しなければならないことは何?

・そのために必要な記録・証拠にはどんなものがある?

 

上記のうち、いくつ回答できたでしょうか?

本書を読めば、上記について全てわかるようになっています!

 

イラスト・図を用いて丁寧に解説しているからわかりやすい!

そしておそらく、Delay Analysisを今まで学んでいない方にとっては、

新鮮かつ面白いと感じる内容だと思います!

書店さんでパラパラめくってみてください!

丸の内丸善、日本橋丸善、新宿紀伊国屋、川崎ラゾーナなど、

首都圏・大都市の大手書店さんで平積みされています!

この2冊で初学者

EPC案件の契約実務に必要となる力短期間に身につけられる!

これまでに増刷6回

海外での翻訳出版が決まりました!

契約締結までの

契約チェック・契約交渉

契約書チェック能力をアップさせる!

契約締結後のクレーム実務・

裁判・仲裁などの紛争対応

実務への対応力をアップさせる!

この記事を書いている人 - WRITER -
英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
詳しいプロフィールはこちら

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Copyright© 本郷塾で学ぶ英文契約 , 2022 All Rights Reserved.