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本郷塾で学ぶ英文契約

契約書によく出てくる納期遅延LDとその算定方法を学ぼう!

2024/02/20
 

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英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
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LD・リキダメとは何か?

コントラクターの原因で決められた納期にプラントを完成させることができなかった。

 

この場合、コントラクターは、オーナーに対して損害を賠償しなければならなくなります。

 

通常、損害賠償は、損害を被った者が、「これだけの損害を被りました!」ということを証明しなければなりません。つまり、オーナーが損害額を証明するのです。

 

しかし、EPC契約では、オーナーは、被った損害額を証明する必要はない、とされている場合が多いです。

 

それは、liquidated damagesというものを定めているからです。

 

これは、LDと省略して書き、「エルディー」とか、「リキダメ」などと呼ばれます。

日本の法律上、このLDに該当するのは、「予定された損害賠償金額」と呼ばれるものです。

 

民法第420条に定められています。

 

これは、損害賠償金額を予め当事者間で合意したものです。

 

実際に生じた損害額を契約違反の後に算定しようとしても著しく難しい場合に採用されます。

 

EPC契約においてこのLDが採用されるケースが多いのは、プラントの完成が遅れた場合にオーナーが実際に被る損害を算定するのが難しいからです。

 

そして、EPC契約では、プラントの完成が1日遅れるといくらの損害賠償金額となるかが定められているものが多いです。すると10日遅れるとその10倍、30日遅れるとその30倍、というように、損害賠償額が決まります。

オーナーは、単に、納期に何日遅れたのかを示すだけでよく、実際にどれだけの損害額が生じたのかを証明する必要はないのです。

 

こうしてみると、このLDは、オーナーにとってとても有利な制度に思えますね。

 

ただ、日本の民法の定めに従うと、このLDを契約書に定めると、実際に生じた損害がこのLDより多くても、少なくても、裁判所ですら、LDとして定めた金額とは異なる金額を損害賠償として支払うようにコントラクターに求めることはできなくなります。これは、他の国の法律の下でもそうなのかどうかはわかりません。そのためか、EPC契約書にこの点が明記されていることが多いです。

 

補足(2016年11月16日)

もっとも、日本で損害賠償額の予定について争われたいくつかの裁判では、当事者間で合意されていた損害賠償額の予定の金額が、実際の損害とあまりにかけ離れている場合には、裁判所が実際の損害額を払えばよい、と判断しているものもあります。

よって、日本に限定していえば、仮にコントラクターが納期に遅れても、コントラクター側でオーナーが実際に被った損害を算定し、それが納期LDの金額よりも低い場合には、判例を根拠にしてオーナーと交渉するべきだと思います。また、海外の案件であっても、現地の法律事務所に相談して、納期LDの支払い金額を減額できるとする判例がないか相談してみてはいかがでしょうか。

納期LDの算定方法は?

では、この1日遅れた場合の損害賠償金額は、どのように決められるのでしょうか?

 

そもそも、実際に納期に遅延した場合の損害額を証明することができないからという理由でこのLDを採用しているので、「1日遅れたらいくらの損害賠償金額とする」というのを決めるのも難しそうに思えますよね。

 

そのため、「前の契約の時はいくらとしたから、今回も同じでよいだろう」という感じで決めてしまうことも多いのではないでしょうか。

 

この点、納期遅延のLDを契約に定める場合には、「納期に遅れると、オーナーはいかなる損害を被るか?」を実質的に考えることが重要になります。

 

この点、納期に遅れるということは、プラントの運転開始が遅れるということです。

 

プラントの運転開始が遅れると、オーナーがプラントの運転から得られるはずだった利益を得られなくなります。

 

ここで、オーナーはEPC契約の対価を、銀行などの金融機関から融資を受けている場合が多いです。というのも、EPC契約の対価は莫大な金額であることが多く、自己資金だけで賄うことは難しいためです。

 

オーナーはその融資分を返済する義務を負っているのですが、プラントの運転開始が遅れると、プラントの運転から得られる利益を得るのが遅れます。その分、返済するだけの資金を得るのも遅れます。その結果、返済が遅れるでしょう。

 

そうすると、返済が遅れたことによる遅延利息が生じます。

 

これが、納期遅延によってオーナーが被る損害の代表的なものです。

 

建設中に生じる利息なので、「建中利息」と呼ばれます。

 

英語では、interest during constructionですので、頭文字だけとって略して、「IDC」とも呼ばれます。

 

よって、この返済遅延によって生じる建中利息を基準にして、納期遅延のLDの金額を検討するというのが一つの方法だと思います。

 

もしも、オーナーが提示する納期遅延のLDの金額が、この建中利息よりもはるかに大きい場合には、「それは実際にオーナーが被る損害よりも高すぎる」として、より小さい金額に修正を申し入れるべきだと思います。

これであなたもLDマスターになれる!

納期延長の場合のコントラクターの責任① 納期延長になる場合

納期遅延の場合のコントラクターの責任② LD/リキダメ

納期遅延の場合のコントラクターの責任③ 納期LDの上限

納期遅延の場合のコントラクターの責任④ sole and exclusive remedy

納期遅延LDの決め方~発電所案件の一例~

懲罰的損害賠償の禁止の原則

中間マイルストーンLDが定められている場合の対処法

性能未達LD

EPC契約の責任関係をもっと知りたい方はこちら!

EPC契約におけるコントラクターの責任関係

海外インフラ系の事業の英文契約書の頻出用語を知りたい方はこちら!

海外インフラ系の事業の英文契約書の頻出用語

 

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EPC契約のポイントの目次

Scope of Work ボンドのon demand性を緩和する方法 プラントの検収条件と効果
サイトに関する情報 コントラクターによる仕事の開始時期(納期の起算点)は? 危険の移転時期とその例外
オーナーの義務 仕事の遂行 債務不履行
契約金額の定め方と追加費用の扱い 設計(design)の条文について① 納期延長の場合のコントラクターの責任① 納期延長になる場合
追加費用の負担について 設計(design)の条文について② 納期延長の場合のコントラクターの責任② LD/リキダメ
ボンドについて 仕様変更① 仕様変更とは? 納期延長の場合のコントラクターの責任③ 納期LDの上限
入札保証ボンド 仕様変更② クレーム手続きと仕様書に書かれていない事項 納期延長の場合のコントラクターの責任④ sole and exclusive remedy
前払金返還保証ボンド 仕様変更③ 納期延長と追加費用の金額が合意に至らない場合の扱い 納期延長の場合のコントラクターの責任⑤ 中間マイルストーンLD
履行保証ボンド プラントの試験① 性能未達の場合のコントラクターの責任① 性能保証と性能確認試験
瑕疵担保保証ボンド プラントの試験② 性能未達の場合のコントラクターの責任② 最低性能保証・性能LD
責任制限条項① Limitation of Liability/LOL 不可抗力の扱い③ Force Majeureの効果を得るための手続き 私がEPC契約で真っ先に確認する点③
責任制限条項② 適用される場合と適用されない場合 不可抗力の扱い④ Force Majeureが長期間継続した場合 LOIの何がリスクなのか?
瑕疵担保責任① 総論 法令変更について LOIへの対処法(対外的)
瑕疵担保責任② オーナーの通知義務とコントラクターのアクセス権 契約解除① なぜ解除の理由によって解除の効果が異なるのか? LOIへの対処法(社内的)
瑕疵担保責任③ 保証期間の延長 契約解除② オーナーの義務違反に基づくコントラクターによる契約解除 EPC契約における支払い条件
瑕疵担保責任④ Disclaim(免責)条項 契約解除③ オーナーの自己都合解除
作業中断権① 中断権の存在意義 契約解除④ コントラクターの債務不履行に基づくオーナーによる契約解除
作業中断権② 中断権行使の効果 契約解除⑤ 不可抗力事由が長期間継続した場合
不可抗力の扱い① Force Majeureとは何か? 私がEPC契約で真っ先に確認する点①
不可抗力の扱い② Force Majeureの効果 私がEPC契約で真っ先に確認する点②

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