Time is of the Essenceとは?

      2022/05/23

英文契約書の中には、Time is of the Essenceという文言が定められていることが時々あります。これは、直訳すれば、「時間は重要だ」とか「時間は本質的だ」という意味になります。

 

この文言が、例えば売買契約の売主の製品供給義務について定められている場合には、このTimeは「納期」を意味していると考えてよいでしょう。

 

一方、この文言が、買主の対価支払い義務について定められている場合には、このTimeは「買主による支払い期限」と意味していることになります。

 

さらに、例えば建設契約において、注文者が請負人に対して、建設現場のサイトを明け渡すこと、つまり、そこで工事をできるように手配する義務について定める条文にこのTime is of the Essenceが定められている場合には、このTimeは「注文者による請負人へのサイト明け渡し義務の期限」を意味していることになります。

 

このように、Time is of the Essenceといっても、誰のどの義務について定めているかは、契約書を読んでみないとわからないのです。

 

次に、このTime is of the Essenceが定められることで、どのような効果が出るのでしょうか?

 

例えば、売主による製品供給義務についてこの文言が定められていた場合に、売主がTime、つまり納期に遅れたら、どうなるのでしょうか?

 

通常、納期に遅れたら、売主は買主に損害を賠償しなければなりません。もしかして、このTime is of the Essenceという文言がない場合には、売主が例え納期に遅れたとしても、買主に損害を賠償しなくてもよいことになるのでしょうか?「納期は重要だ」とはされていないのだから・・・。

 

そうではありません。この文言があろうがなかろうが、売主は、納期に遅れれば、買主に対する損害賠償責任を負うことに変わりはありません。

 

このTime is of the Essenceは、「納期はとても重要なので、それに間に合わない場合には、買主は契約を解除できる」ということになります。

 

つまり、問題になるのは、「損害賠償」ではなく、「解除」です。

 

ここで、建設契約においては、このTime is of Essenceという文言が納期について定められることは通常はありません。

 

その理由は、多少納期に遅れたというだけで、注文者が契約を解除しようとは考えていないのが通常だからです。

 

もちろん、納期に間に合ってほしいと注文者は考えているでしょうし、別に間に合わなくてもよい、などと考えてはいないはずです。ただ、納期に遅れた場合には、納期遅延のliquidated damages(詳しくはこちら!)を請負人から支払ってもらえればよい、と考えているのです。そのため、Timeは注文者にとって、Essenceとまでは考えられていないのです。

 

もっとも、Time is of the Essenceと契約書に定められていなくても、納期に大幅に遅れ、当事者間で合意した納期遅延LDの上限額(詳しくはこちら!)にまで達したような場合には、注文主には契約を解除する権利が生じると思われます。

 

 

この点、時々、納期に遅れた場合に備えて、納期遅延のLDを定めておきながら、一方で、Time is of the Essenceと定めている契約書も見かけます。

 

それは、おそらく、ドラフトした人が、Time is of the Essenceの使い方をよく理解していないのだろうと思われます。

 

売主や請負人としては、納期に少しでも遅れたからといって契約を解除されるというのは嫌なはずです。よって、もしもTime is of the Essenceという文言が買主・注文者から提示された契約ドラフト中にある場合には、その意図をよく確認したほうがよいでしょう。

 

つまり、買主や注文者は、納期に1日でも遅れたら契約を解除したいと考えているのか?と。もしもそうなら、売主や請負人は、納期に関していつも以上に厳格に考える必要が出てきます。少なくとも、「納期に間に合わない場合には、納期遅延LDを支払えばよい」という考えで契約を締結するのは危険だといえます。1日でも遅れた途端に、「解除する」といわれかねません。

LDについて興味がある方は、こちらの記事もお勧めです。

 

 

 

EPC契約のポイント(『英文EPC契約の実務』で解説している事項の一部です)

 

スコープオブワーク

 

EPC契約の契約金額の定め方と追加費用の扱い

 

コストプラスフィーの注意点

 

ボンドについて

 

前払金返還保証ボンド

 

履行保証ボンド

 

契約不適合責任ボンド

 

リテンションボンド

 

仕様変更

 

プラントの検収条件と効果

 

納期遅延①

納期遅延②

納期遅延③

納期遅延④

納期遅延LDの決め方(発電所建設の一例)

 

Time is of the Essenceとは?

 

性能未達LD

 

EPC契約における保険

 

責任制限①

責任制限②

 

対価をとりっぱぐれるリスクへの対処法

 

プロジェクトファイナンス

 

コンソーシアム契約

 

Delay Analysis関係

必要な立証の程度(balance of probabilities)

 

フロート

 

同時遅延

 

英文契約の基本的な表現

Shall

 

~に定められている

 

「~に定められている」の補足

 

Notwithstanding

 

~を除いて、~でない限り

 

~に従って

 

~に関する

 

~の場合

 

Whereについて

 

~の範囲で

 

例示列挙の方法

 

事前の文書による同意と承認

 

契約締結日と発効日

 

LDとpenaltyの違い

 

Gross negligenceと結果の重大性

 

間接損害(indirect damage)と逸失利益(loss of profit)の違い

 

知らせる

 

Liquidated damages

 

Otherwise

 

~を被る

 

~を履行する

 

累積責任

 

~を補償する、免責する

 

Indemnifyとbe liableの違い

 

~を保証する(guarantee)

 

遅延利息

 

Warranty

 

排他的な

 

to one’s knowledge/to the knowledge of

 

Material adverse effect

 

Covenants

 

Representations and warranties

 

Notwithstandingと責任制限条項

 

Indemnifyとdefend

 

取締役・取締役会関係の単語

 

株主総会関係の単語

 

添付資料

 

連帯責任

 

下記の、上記の

 

一般条項(Notice)

 

一般条項(Term)

仕事関係

これから法律・契約について勉強し始める社会人が陥りやすい勘違い

 

英語はある日突然聞き取れるようになるのか?

 

会社は誰のものか?

 

司法試験に落ちた後の人生とは?

 

休日を楽しめない理由とは?

 

ピカソがその絵で伝えようとしたこと

 

メンター(教育係)に初めてなる人へ①

メンター(教育係)に初めてなる人へ②

 

自分の勝因は相手の敗因にある(日露戦争から学ぶ)

 

Subject toとポツダム宣言の受諾

どうして議論がまとまらないのか?

 

歴史の本の紹介

 - EPC契約のポイント