コストプラスフィー契約は、「かかった費用全部を支払ってもらえる契約」ではない

      2020/08/26

コストプラスフィー

 

コストプラスフィー契約とは、契約締結時において、オーナーがコントラクターに対して支払う総額が固定されず、コントラクターが仕事を完成するまでに実際に生じた費用に、予め合意された割合分を足した金額をオーナーがコントラクターに対して支払うという方法をとる契約のことをいいます。

 

もっとも、全ての仕事についてコストプラスフィーとするよりも、一部の仕事だけコストプラスフィーとすることが多いかもしれません。

 

なぜなら、仕事の中には、予め総額を決めやすいものと、決めにくいものがあり、前者についてまでコストプラスフィーとする必要はないからです。

 

つまり、ある一定の仕事については固定価格(Fixed Price)とし、残りの仕事をコストプラスフィーとするのです。

 

コストプラスフィーの例文

そのような仕組みとなる例文を見てみましょう。

 

  1. Fixed Price

Owner and EPC Contractor agree that EPC Contractor shall be paid for all Engineering Services and [ ] for a fixed price, as provided in Exhibit X.

  1. Cost plus Fee

Owner and EPC Contractor agree that EPC Contractor shall be paid in accordance with Exhibit Y for all Construction Work, excluding Engineering Services and [ ] included in Exhibit X.

 

まず、上記の1つ目の例文は、Fixed Price部分を定める条文です。ここでは、Engineering Serviceと、添付資料Xに定められる仕事([]内に具体的に仕事の内容を記載します)がFixed Priceとなることを定めています。

そして、2つ目の例文は、Engineering Serviceと添付資料Xに定められている仕事を除くConstruction Workを添付資料Yに従って支払うことを定めています。このConstruction Workがコストプラスフィーで支払われる仕事となるのですが、その点は以下の添付資料Yに具体的に定めています。

 

Exhibit Y

  1. Construction Costs/Pass-Through + 4.5%

For the performance of the Work, EPC Contractor shall be paid the Cost of the Construction Work, plus a fee of four and one half percent (4.5%) of the Cost of the Construction Work (the “Contractor’s Fee”).

  1. As used herein, the term “Cost of the Construction Work” shall mean the following actual costs necessarily and reasonably incurred by EPC Contractor in the performance of the Work.

(a) [具体的に仕事を記載]

(b) [具体的に仕事を記載]

(c) [具体的に仕事を記載]

  1. Owner acknowledges that EPC Contractor’s budget for the Cost of Construction Work, as set forth in Exhibit Z, is merely an estimate and subject to change.

 

添付資料Yの1つめの例文では、コストに載せるフィーを、Construction Workにかかるコストの4.5%と定めています。

 

次に、2つ目の例文では、コストプラスフィーの「コスト」に当たる部分であるConstruction Workのコストとは具体的に何か?を定義しています。ここでは、(a)~(c)に列挙する仕事をConstruction Workとしています。これが、実際に生じた費用を支払ってもらえることになる条文です。

 

さらに、3つ目の例文では、添付資料Zには、Construction Workにかかる費用の予定を記載することにしています。ここに記載された金額は、あくまで予定に過ぎず、これを越えても、コストプラスフィーとしてコントラクターはオーナーから支払いを受けることができます。ただ、この予定よりも増えた場合、オーナーは「なぜ増えたのか?」を説明するようにコントラクターに求めてくることになるでしょう。その理由次第では、オーナーが支払を拒むこともありえます

 

なお、この他に、コントラクターには、コストプラスフィーが適用されるコスト部分の証拠記録の保管とオーナーへの開示義務が定められるのが通常です。

これは、コントラクターが実際にかかったコスト以上の金額を請求していないか、または、本来妥当とされる金額以上のコストがかかっていないかをオーナーが確認できるようにするためです。

 

コストプラスフィーの注意点

ここで注意したいのが、添付資料Yの2つ目の例文の「以下の仕事のためにコントラクターに生じる必要かつ合理的な金額」を、オーナーが支払うべきthe Cost of the Construction Workとしている点です。

記録次第では、「コントラクターに生じる必要かつ合理的な金額」ではない、となる可能性もあるのです。その場合、コストプラスフィーに関する条文の適用を受けない=支払い対象外=コントラクターが負担することになる、という結果になり得ます。

 

以上からわかるように、コストプラスフィーは、「なんでもかんでも、コントラクターに生じた費用を全部オーナーが支払ってくれる方法」ではありません。

必要かつ合理的な費用」が支払われるものです。

コントラクターは、この点を忘れず、適切に仕事を遂行し、下請などからは相見積もりをとり、なぜその金額になったのか、それが合理的といえるのかをしっかり説明できるようにしましょう。

Target Price方式の例文

 - EPC契約のポイント