英文契約書で「~に定められている」「~に記載されている」とは?~補足~

      2019/11/22

 

今回は、前回の「第4回 「~に定められている、「~に記載されている」という表現」の補足をしたいと思います。

 

…written in~

 

「こんなに色々な表現を使うことが許されるなら、「~に書かれた」という意味になりそうな…written in~でもよいのでは?」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

しかし、契約書中で「~に定められた系」として…written in~という表現が使用されているのを私はこれまでに一度も見たことがありません。それはなぜか?

 

実は …written in~は、「~に書かれた」という意味にはならないようなのです。といいますのも、ここで使用される“in”は、書く「方法」や「手段」を表すinとして使用されるもののようです。

 

つまり、…written in Englishであれば、「英語で書かれた…」という意味になり、…written in inkであれば、「インクで書かれた…」という意味になります。

 

したがって、「~に定められた系」の表現として、…written in~は使われないようです(「written in は「~に書かれた」という意味には絶対になりません!」と断言できなくて申し訳ありません)。

 

なお、writtenが契約書中に使用される場合としては、以下のようなものがあります。

written agreement 書面による合意

written consent 書面による同意

written notice 書面による通知



 

ご参考①~Oxford現代英英辞典[第9版]における各表現の意味~

 

以下に、「~に定められている」「~に記載されている」という意味を表すときに使う表現について、Oxford現代英英辞典で調べた意味を記載しますので、ご参考ください。

表現 Oxford現代英英辞典[9]での意味
specify to state something, especially by giving an exact measurement, time, exact instructions, etc. ~に定められる系の意味でのspecify provide

stipulateそしてprescribesynonym(同じ意味)と記載されています。

provide to state that something will or must happen
stipulate to state clearly and firmly that something must be done, or how it must be done
prescribe to say what should be done or how something should be done
state to formally write or say something especially in a careful and clear way
set forth to present something or make it know
define to describe or show something accurately
describe to say what something is like
list to write a list of things in a particular order

specify、provide、stipulate、prescribeは他と比較してよりフォーマルな場面で使用されるイメージが伺えますね。



 

ご参考②~英英辞典の勧め~

 

私は高校時代に、英語の先生から「英英辞典は勉強になるからちゃんと使うように!」と頻繁に言われていたときに、「そもそも英語の意味が分からないから辞書を引くのに、英英辞典なんて引いたら、そこで出てきた英語をまた英英辞典で引かないといけなくなって永久に意味が分からなくなるに決まっている。時間の無駄だから英和辞典で十分だ!」と思い、先生のアドバイスを完全に無視して使いませんでした。

 

しかし、英英辞典を実際に使ってみると、上記の表からもお分かり頂けると思いますが、難しい英単語を、中学生にもわかるような基本的な単語で見事に説明してくれています。このことは、「中学3年間で学ぶ英語の文法と英単語で、言いたいことのほとんどを表現できる」と言われていることが確かに正しいのだろうな、と思わせてくれます。これは、英語のスピーキングの練習のヒントにもなりそうですね。

 

さらに、英英辞典を使うと、今回のような複数の表現がある場合にも、自信を持ってそれらを使用できるようになります。


【英文契約の条文をドラフトする際に知っておくと便利なこと】の目次

ごあいさつ 名詞よりも動詞で書く
12個のルール 名詞よりも動詞で書く練習
良い条文とは? there is~、it is ~to doを使わない
権利ではなく、義務を中心にして書く! ofを削除する
義務を中心に書く練習 ofを削除する練習
不要なshallを削除する here-を使って書く
不要なshallを削除する練習 「~に従って」を使って書く
能動態で書く 「~に従って」を使って書く練習
受動態の条文を能動態に直す練習 原則と例外を表す表現を使う
主語・動詞・目的語を一塊に! 原則と例外を表す表現を使いこなす練習
英文契約の条文の基本類型を覚える 英文契約の条文の基本類型を使いこなす練習

【私が勉強した参考書】

基本的な表現を身につけるにはもってこいです。

ライティングの際にどの表現を使えばよいか迷ったらこれを見れば解決すると思います。

アメリカ法を留学せずにしっかりと身につけたい人向けです。契約書とどのように関係するかも記載されていて、この1冊をマスターすればかなり実力がupします。 英文契約書のドラフト技術についてこの本ほど詳しく書かれた日本語の本は他にありません。 アメリカ法における損害賠償やリスクの負担などの契約の重要事項についての解説がとてもわかりやすいです。

 

目次
第1回 義務 第10回 ~に関する 第19回 知らせる
第2回 権利 第11回 ~の場合 第20回 責任
第3回 禁止 第12回 ~の範囲で、~である限り 第21回 違反する
第4回 ~に定められている、~に記載されている 第13回 契約を締結する  

第22回 償還する

第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足) 第14回 契約締結日と契約発効日 第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD)
第6回 ~に従って 第15回 事前の文書による合意 第24回 故意・重過失
第7回 ~に関わらず 第16回 ~を含むが、これに限らない 第25回 救済
第8回 ~でない限り、~を除いて 第17回 費用の負担 第26回 差止
第9回 provide 第18回 努力する義務 第27回 otherwise

 

 

第28回 契約の終了

第38回 権利を侵害する 第48回 遅延利息
 

第29回 何かを相手に渡す、与える

第39回 保証する 第49回 重大な違反
 

第30回 due

第40回 品質を保証する 第50回 ex-が付く表現
第31回 瑕疵が発見された場合の対応 第41回 補償・品質保証 第51回 添付資料
第32回 ~を被る 第42回 排他的な 第52回 連帯責任
第33回 ~を履行する 第43回 第53回 ~を代理して
第34回 果たす、満たす、達成する 第44回 第54回 下記の・上記の
第35回 累積責任 第45回 瑕疵がない、仕様書に合致している 第55回 強制執行力
第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害を表す表現 第46回 証明責任 第56回 in no event
第37回 補償・免責 第47回 indemnifyとliableの違い 第57回 for the avoidance of
 
第58回 無効な
第59回 whereについて
第60回 in which event, in which case
第61回 株主総会関係
第62回 取締役・取締役会関係

 

 - 英文契約の基本的な表現の習得