納期遅延の場合のコントラクターの責任④ 必ず明記!sole and exclusive remedy!!

      2017/06/18

 

sole and exclusive remedy

 

このような表現を見たことがあるでしょうか?

 

これは、LDを定める際には、必ずセットでEPC契約に定められるべき表現です。

 

sole and exclusive remedyとは、「唯一の排他的な救済」という意味になります。

 

これがLDについて定められた場合の意味は、「LDを支払えば、それ以上、オーナーはコントラクターに対して責任を追及できません」というものになります。

 

以前、LDは、「その金額が実際に生じた損害額よりも少ない場合でも、裁判所ですら、LDとして定められた金額以上の損害賠償をするようにコントラクターに対して言えない」と説明しました。

 

しかし、これはあくまで日本の民法に従う場合です。

 

他の国の法律で、このLDがどのような扱いになるのかは、わかりません。

 

つまり、そのEPC契約が従う国の法律(「準拠法」といいます)を見ないと、その法律の下でLDがどのように扱われるのかはわからないのです。

 

そこで、EPC契約には、「LDを支払えば、それ以上、コントラクターは損害賠償を支払う必要はない」ということを明確にするために、「このLDは、sole and exclusive remedyだ」と定めるのです。

 

もしもこの定めがないと、準拠法によっては、LDも支払い、かつ、実際にオーナーが被った損害がLDよりも大きい金額だということをオーナーが証明できた場合には、コントラクターはその差額も支払わなければならないことになりかねません。

 

それでは、LDは、単に、オーナーの立証責任を緩和するためにしか機能しなくなるので、圧倒的にオーナーに有利な制度ということになってしまいます。そうすると、コントラクターにとっては、LDを定めるメリットがまるでなくなります。

 

LDを定めれば、オーナーは損害額の証明責任がなくなる一方、実際に生じた損害がLDより大きくても、コントラクターはそれ以上の賠償責任を負わない。

 

このような立て付けになっている場合にのみ、納期遅延のLDを定めることがコントラクターにとってメリットが生じるのです。

 

FIDICとENAAの記載(2016年11月16日追記)

 

なお、FIDICにも、ENAAにも、sole and exclusive remedyという文言そのものではないものの、同趣旨の定めがなされております。

 

FIDICでは8.7(Delay Damages)に、ENAA2010ではGC 26.2に定められています。

 

したがって、このLDがsole and exclusive remedyであることは、EPC契約には、必ず明記するようにするようにご注意ください。

 

オーナー側がこれに抵抗を示した場合には、ENAAやFIDIC等のモデルフォームを例に出して、「LDとは一般的にそういうものだ」という説明をするべきです。

 

なお、この納期LDのsole and exclusive remedyの条文とほぼセットで定められている条文があります。

 

それは、「納期LDを支払いは、コントラクターを本EPC契約上の義務から解放するものではない」といったような条文です。

 

この点、「sole and exclusive remedyであることと矛盾するのでは?」と思ってしまう方が時々いらっしゃるようです。

 

しかし、両者は何ら矛盾していません。というのも、この、「納期LDを支払いは、コントラクターを本EPC契約上の義務から解放するものではない」という条文が言っているのは、「コントラクターには、とにかく最後までプラントを完成させる義務が依然として残っているよ。納期LDを支払ったからといって、プラントを完成させる必要がなくなった、という意味ではないよ」ということを定めているに過ぎないからです。

 

 

 

 

 

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