EPC契約における債務不履行

      2017/08/23

 

「あれやれ、これやれ、ということが、EPC契約にはたくさん書いてある。」

 

EPC契約を読んでいて、そう思って、うんざりしてしまった方もいるのではないでしょうか。

 

EPC契約は、短いものでも60ページを超える契約がほとんどです。

 

そこに色々な添付資料が付きますと、100ページを超える書類になります。

 

このEPC契約のモデルフォームの一つに、ENAAというものがあります。

 

この発電所建設向けのENAAについて、当事者の義務を表すshallで検索を書けると、なんと、400件以上もヒットします。

 

つまり、そのくらいの数だけ、「義務」が定められているのです。

 

特に、注文者であるオーナーの義務よりも、請負人であるコントラクターの義務の方が多いです。

 

オーナーの義務の代表的なものは、契約金額を支払うこと、プラントを建設する場所やそこまでのアクセス権の確保くらいですが、請負人は、プラントを完成させるために必要なほぼ全ての仕事を行う義務があるからです。

 

このたくさんのコントラクターの義務は、一見、バラバラのもののように見えるかもしれませんが、実は、ある目的を果たすために定められています。

 

それは、次の目的です。

 

コントラクターが、①決められた納期までに、②第三者の権利や利益を侵害することなく、③決められた仕様を満たしたプラントをオーナーに納入すること

 

この目的を果たすために必要となることを詳細に定めているのが、EPC契約書です。

 

よって、この視点を持ってEPC契約書を読むと、定められている義務の意味をよりよく理解できるようになると思います。

 

そして、コントラクターがEPC契約に違反する場合というのは、上記に示した①~③のどれかに違反した場合がほとんどです。

 

そのため、EPC契約の中では、上記の3つに違反した場合の扱いが、詳細に定められています。

 

具体的には、次の通りです。

契約違反の内容 コントラクターに生じる責任の内容
①    決められた納期までにプラントを納入できない場合 ・納期遅延の場合の損害賠償・契約解除
②    契約上の義務の履行の過程で第三者の権利や利益を侵害してしまった場合 ・第三者の生命・身体・財産への侵害によって、オーナーが被る損害の補償

 

・第三者の知的財産権の侵害によって、オーナーが被る損害の補償

③    決められた仕様を満たしたプラントを納入できない場合 ・性能未達の場合の修理・交換・損害賠償・契約解除

 

・瑕疵担保保証責任(修理・交換・損害賠償・契約解除)

 

次回からは、上記に示した契約違反とその場合のコントラクターの責任について、解説していきたいと思います。

 

 

EPC契約の流れ

Scope of Work

サイトに関する情報

オーナーの義務

契約金額の定め方と追加費用の扱い

追加費用の負担について

ボンドについて

入札保証ボンド

前払金返還保証ボンド

履行保証ボンド

瑕疵担保保証ボンド

ボンドのon demand性を緩和する方法

コントラクターによる仕事の開始時期(納期の起算点)は?

仕事の遂行

設計(design)の条文について①

設計(design)の条文について②

仕様変更① 仕様変更とは?

仕様変更② クレーム手続きと仕様書に書かれていない事項

仕様変更③ 納期延長と追加費用の金額が合意に至らない場合の扱い

プラントの試験①

プラントの試験②

プラントの検収条件と効果

危険の移転時期とその例外

債務不履行

納期延長の場合のコントラクターの責任① 納期延長になる場合

納期延長の場合のコントラクターの責任② LD/リキダメ

納期延長の場合のコントラクターの責任③ 納期LDの上限

納期延長の場合のコントラクターの責任④ sole and exclusive remedy

納期延長の場合のコントラクターの責任⑤ 中間マイルストーンLD

性能未達の場合のコントラクターの責任① 性能保証と性能確認試験

性能未達の場合のコントラクターの責任② 最低性能保証・性能LD

責任制限条項① Limitation of Liability/LOL

責任制限条項② 適用される場合と適用されない場合

瑕疵担保責任① 総論

瑕疵担保責任② オーナーの通知義務とコントラクターのアクセス権

瑕疵担保責任③ 保証期間の延長

瑕疵担保責任④ Disclaim(免責)条項

作業中断権① 中断権の存在意義

作業中断権② 中断権行使の効果

不可抗力の扱い① Force Majeureとは何か?

不可抗力の扱い② Force Majeureの効果

不可抗力の扱い③ Force Majeureの効果を得るための手続き

不可抗力の扱い④ Force Majeureが長期間継続した場合

法令変更について

契約解除① なぜ解除の理由によって解除の効果が異なるのか?

契約解除② オーナーの義務違反に基づくコントラクターによる契約解除

契約解除③ オーナーの自己都合解除

契約解除④ コントラクターの債務不履行に基づくオーナーによる契約解除

契約解除⑤ 不可抗力事由が長期間継続した場合

私がEPC契約で真っ先に確認する点①

私がEPC契約で真っ先に確認する点②

私がEPC契約で真っ先に確認する点③

 

 - EPC契約のポイント